カヤの水見式
水が上に降る
ティアナの水見式
葉が沈み、水は色を変えながら溢れ出る
机の上にリボルバーが置かれ、その銃身に光の線が走る。
焼き付けるように文字が刻まれていくたび、金属がかすかに鳴いた。
こうして完成した作品は、鉛ではなく使用者のオーラを弾丸とする──念弾式の銃。
だが、このままではただの銃に過ぎない。オーラを無駄に消費するだけの、半端な玩具だ。
カヤは手を止めず、追加の符を刻んでいく。
エネルギーを高め、障害物を貫く。念弾に貫通効果を付与する構成。
結びつきを生み、流れを作る。標的を追尾する力を付与する。
火を介し、破壊の衝動を具現する。着弾点に爆発を起こすルーンの連結。
電気エネルギーを生み、標的へ導く。着弾と同時に放電効果を発生させる。
そして、シリンダーには
それぞれのパーツが生み出した効果を、念弾に転写する中継機構。
この工程にも、緻密な"想像"が求められる。
能力の間接付与は、もはや応用というより芸術だ。
紙に直接絵を描くのではなく、版画の"版"を彫るように──能力を付与する"ための能力"を刻む。
この技術を確立したことで、作品の幅は格段に広がった。
本来、弾丸が収まる
銃身の念弾発射に加え、フレームに強度上昇とグリップにオーラ貯蓄の効果を刻んだ。
シリンダーにはまだ空きがあるが、ひとまず必要十分だ。
──念弾に多様な効果を付与し、時に複合する回転式拳銃。
複数の
ケルトの太陽神ルーの槍。複数のそれに付けられた後世での総称だが、この銃にはこれが相応しい。
完成したそれは、冷徹な機能美と神秘的な造形を併せ持ち、照明の光を鈍く反射した。
「……よし」
角度を変えて観察し、カヤは満足げに頷く。
現代社会において、銃は力の象徴として最も優れた道具だ。
念能力者の拳が銃弾よりも遥かに致命的であっても、凡人にはそれが理解できない。
だからこそ、脅すなら銃を突きつけたほうが早い。
──そして、手放すことで"偽りの安心"を与えることもできる。
気軽な遠距離攻撃手段はあって困るものでもない。
多くの距離では走って殴るほうが早い上、そうではない距離ではオーラの減衰でまともな威力にならないが。
変装した上でこれを具現化すると偽れば、戦闘スタイルの"偽装"にも使えるだろう。
カヤは独りごちるように言い訳を思い浮かべ、わずかに口元を緩めた。
マフィアに売っている強化拳銃で済ませてもいいのだが、自分用となるとこだわりたくなってしまった。
あるいは、
「さて……今年はどうしましょうか」
視線を奥の予定表へ向ける。
ヨークシンで毎年開催される、世界最大のオークション──合法非合法を問わず、あらゆる品が集う十日間。
カヤはここ数年、必ず参加していた。
商売は軌道に乗り、資金にも余裕ができた。
何より、珍しい素材を手に入れやすい。研究し、再現すべき特性を持つ品が出品されることも多い。
だが、希少品を競り落とすには心許ない資金だと言わざるを得ない。この世界の富豪はそれだけの金を持っている。
「……旅団の襲撃、でしたね」
原作でのヨークシン編。
細部は朧げでも、血の匂いと混沌だけは記憶している。
その中で、どう立ち回るべきか。
「ひとまず、参加はしましょうか」
旅団に関わるか否か──その判断は、もう少し先でもいい。
「そうだ。占ってもらいましょうか」
ネオン・ノストラード。
四行詩の形式で未来を示す、特質系の能力者。
予知としては最高峰。だが、その詩をどう解釈し、どう行動するかで結果は変わる。
以前、彼女の能力を模倣しようとしていくつか"微妙な作品"を生み出したこともあった。
ならば、今回は本物に頼るのも悪くない。
「ノストラードに占いの依頼。それと……ティアナも誘いますかね。あの子、今は何をしているんだったかな」
カヤは卓上の手帳をめくりながら、弟子の顔を思い浮かべる。
ハンター試験を終えてから、何かと忙しそうにしていた彼女を──また、少し巻き込んでみるのも悪くない。
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未来予知の再現レポート
人がもとから持つ予測能力を強化することで、未来予知の領域に押し上げる。
本人が知らないことは一切考慮されていない未来しか見えず、使用後の消耗も大きい。
運命と言うべき流れから情報を入手する。
情報の選別ができず、情報の濁流を眺めることしかできない。情報処理に優れた念能力者なら使える可能性がある。
結論
特質系の専用の発でなければ実用域にするのは困難。