占いって週ごとに別れてる以外の時系列的なルールってありましたかね?
ネタバレになるのを諦めて書くか、予言に書かれてるシーンで占いは出ると思います。
「こいつでいいな?」
「ああ。ついでにもう何人か連れてくぞ」
荒い声と共に腕を掴まれた。
反射的に腕を払った。
それだけで、掴んでいた手は簡単に引き剥がされる。自分の力に驚いている間にも、体は
「ゔっ」
気づいたときには手を掴んでいた男の腹に私の拳が突き刺ささっていた。予想だにしなかった反撃に、男はまともに受けて後ずさる。
「おいおい何やってんだよ」
「ゴホッゴホッ……はぁはぁ」
「……本当に大丈夫か?てめぇ何しやがった!」
最初は茶化そうとした相方も、膝をついて咳き込む男に心配げにしながら銃を取り出す。10歳に満たないような幼女の拳が厳つい大男を沈めた非現実的な光景に、安直な答えを求めて銃を向ける。
それに対する返答は──ただの逃走だった。
目覚めてすぐの異常事態。意志とは関係なく対処する身体。それらで深まった混乱は、銃を向けられたことで限界に達し、がむしゃらにその場から逃げ出す。
幸い、
1週間も経てばそれなりに状況を把握する。
ここは流星街と呼ばれる場所で、あの日自分は誘拐されかけた。ヨークシンやハンターといった単語も耳にした。
そこから推測できるのは、ここがHUNTER×HUNTERの世界だと言うこと。ならば自分が扱う力が念能力なのだろう。
全身から溢れ出るエネルギーを
一連の流れで四大行をこなし、足元にあった石を拾い上げて
これが直感的に分かった自分の能力。自分で設計したわけではないので詳しくは分からないが、使い方は理解した。
世界を把握し、自身の能力を把握し、それでも浮かんできたのは──恐怖。
キメラアント、五大災厄。制約と誓約による奇跡のような理不尽。人間の悪意と暗黒大陸の未知。
作中に描写されたものだけでも、脅威となるものが数多ある。
終わりとも思えない終わりを迎えたくない。人生の最後には納得が欲しい。ゲームクリアと言えなくとも、ゲームセットを迎えたい。
一度死を経験していたら踏ん切りをつけられただろう。全く死を経験していなければ他人事のままでいられただろう。気づけば白い部屋に居て、死を中途半端に経験したからこそ余計にそう感じる。
贅沢な望みなのかもしれない。前世でも理不尽な死はありふれていたのかもしれない。
けれど、抗ってはいけない道理はないはずだ。
前提として、人間は弱い。
牙を捨て、爪を捨て、戦う術を知恵に集中させて進化してきたのが人間だ。捨てた爪牙を武器で補い、数の力をより活かして繁栄し、文明を築いて霊長となった。
しかし、それは種の力であって個の力ではない。
見ただろう、ネテロ会長の戦いを。念を極め、武を極め、人類の到達点とも言える域へと達したあの益荒男でさえ、産まれて一月程度の
潜在能力が足りない。基礎スペックが足りない。鍛え上げるにも限界がある。理不尽を拒絶するにはさらなる理不尽が必要だ。
ならば、外から持ち込むしかない。
強者を取り込もう。怪物を取り込もう。災厄を取り込もう。
そうすればいつか──
「この前は随分コケにしてくれたな?あぁ!」
声の方を見れば、厳つい大男。こちらを睨みつけ、怒りを隠そうともしていない。
「あの日から1週間さんざんだった!簡単なはずの仕事に失敗し!女に怖気づいたと罵られた!」
苛立ちをぶつけるように叫ぶ彼に目を"凝"らせば、オーラを纏っていることが分かる。揺らぎが大きく、安定していないように見える。念を覚えて間もないのだろう。
「だが!天は俺に味方した!この力でお前を殺してやる!」
そうだ。こいつで試せばいい。
強者とは呼べない未熟者で、光るものがあるとは思えないけれど、最初には丁度良さそうだ。
「がっ!」
呑気にこちらを威嚇する男の腹に拳が突き刺さる。
最初の日の焼き直しのように、されど今度は明確な意思の元で。
「ゔっ……やめっ……このっ……あ"あ"っ!」
一撃では足りなかったので、何度も、何度も。
やがて声は無くなり、手は血にまみれ、命の火は消える。
それを確認して、グチャグチャになった体から毛髪を1本抜き取る。直感のままにそれを口に運び、飲み込む。
具現化するのは"記憶媒体"。
情報を保持し、自らに刻みこむための
それは白く艷やかな毛並みを持ち、炎のように揺らめいて見える。しかし尋常のものではないと主張するように中程で眼を開き、
それはこちらを見据え──
「はっ!」
目を覚ます。
ホテルの1室。毛布を蹴り飛ばしながら飛び起きる。
カヤはオークションに参加するために、前乗りしてヨークシンで1泊していた。カーテンの隙間から光は見えず、時計を確認すればまだ4時台。
「シャワーでも浴びますか」
二度寝をする気にもなれず、気分転換を試みる。
それにしても、転生したばかりの頃を夢に見るとは。こんなことは初めてで、意味深に思える。
──余裕をこきすぎましたかね。
シャワーの熱を浴びながら、ゆっくりとそう考える。
おおよそ20年も前のことだ。一つの感情を保持し続けるには長すぎた。力を磨き、地位を築いたことで危機感が薄れていたのかもしれない。
物語は始まった。世界の動きは加速し始める。
ならば自らも走り出さなければ。
◆◇◆◇◆
ヨークシン郊外の廃墟にて。十字の男は淡々と宣言する。
「──全部だ。
団員たちに走る衝撃。しかしそれは恐怖を意味しない。
普段は独自に活動する全団員を集めたのだ。生半可な目的では役不足というもの。
歓喜に震える団員へ、団長クロロ=ルシルフルは上位者として許しを与える。
「──殺せ。邪魔する奴は一人残らずな」
与えられた演目のもとで、
「ところで、カヤの依頼は受けるのかい?団長」
各々決行に向けて動き出す中で、シャルナークがクロロへと切り出す。
柔らかな微笑みを浮かべ、爽やかな好青年にも見える彼は旅団の頭脳担当。クロロの参謀である彼は、先日の連絡にどう対応するか意見を仰ぐ。
「たしか──オーダーメイドを受け付けるから緋の眼を融通してほしい、だったか?」
暫し思考を挟みつつ、認識に齟齬がないかを確認するクロロ。久しく会っていない昔馴染みの顔を想起しつつ、それによる利益を計算する。
「そうそう。昔は気軽に頼めたけど、今じゃ刻印師なんて呼ばれる有名人だ。彼女のオーダーメイドは中々手に入らないからね」
「だが、緋の眼は全て売ったはずだ。売った連中から盗むのか?」
クロロの蒐集欲は強くない。盗んだ宝はひとしきり愛でた後に売ってしまうことが殆どで、緋の眼も例外ではなかった。
確かにカヤの作品を手に入れられる。それも特注品となれば魅力的だが、取引材料がなければ意味がない。
「それが今回のオークションに出品されるらしくてね。全てを掻っ攫うんだろう?ならどうかなと思ってね」
「そうだな……確かにそれも良さそうだ」
クロロの下した結論は――団長としてではなく、“クロロ=ルシルフル”という一人の人間のものだったのかもしれない。
感想いただけるととても嬉しいです。
カヤはクロロの同い年くらい。
なので20後半ですが念能力者らしく20歳くらいに見える