カヤの口調を修正しました。内容は変わっていないので、気になる方は読み返していただけると幸いです。
作者は無限に推敲を繰り返してしまうタイプなので、頻繁めに編集履歴がつくと思いますが、内容は変えないので、基本的に読み返さなくても読み進めるのに支障はないです。
カヤの商売は、武器から始まった。
今でも主力商品のひとつであるそれは、強さを求める者たちが絶えることなく手に取っていく。
とりわけ銃は、念に馴染まぬ凡人たちにとって最もわかりやすい「力」だった。
結界を張る装飾品や、呪いを退ける護符よりも──引き金ひとつで結果をもたらす道具のほうが、よほど信頼できる。
やがて、カヤの名は裏社会の上層へと静かに広がっていった。
配下に念能力者を抱える彼らは、念で強化された武器の真価を誰よりも理解していた。
当然、欲に目が眩む者も現れる。
「道具を作る能力なら、本人は戦えまい。女ひとり、脅せば従う」
あるマフィアのボスは、そう浅はかに推測した。
そして送り込まれた刺客たちを、カヤは容赦なく叩き潰した。
彼らがムキになってさらに刺客を重ねれば、そのたびに叩き返した。
最終的に、彼女は一つのマフィアを壊滅させるに至った。
暴力こそが共通言語の裏社会において、彼女は自らの価値を証明する。
その日を境に、裏社会の均衡は静かに塗り替えられた。
──誰も、刻印師を軽んじる者はいなくなった。
十老頭との取引さえ噂されるカヤは、静かに武装のメンテナンスをしていた。
その手の動きには一片の淀みもなく、的確に歪みを見抜き、整えていく。
石化を振りまくバジリスク──
それは無機物、生物を問わず天敵となる幻獣だった。
対抗のため、周を用いて装備を強化したが、想定以上の出力を引き出した結果、付与部分に綻びが生じている。
特にアイギスの損傷は酷い。
元来は小手調べの攻撃や操作系の干渉を防ぐための補助装備にすぎない。
強打による破損は想定内だったが、結界そのものを侵食し石化させられるとは、さすがに想定外だった。
「……新造した方がいいですね」
小さく呟くと、迷いなくそれを火に投げ入れる。
青白い炎が走り、残滓ひとつ残さず焼き尽くした。
次いで、新しいインナーを手に取り、長期加工専用の部屋へと向かう。
その部屋は、まるで儀式の準備が整った聖域のようだった。
壁面には精緻な術式が刻まれ、空気そのものが微かに脈動している。
一角には黒曜石で造られた水槽──
その内壁には神字が刻まれ、液体の中にオーラを留めるための“定着陣”として機能していた。
カヤは、血で満たされたその中に新しいインナーを沈める。
液面がわずかに揺れ、赤が深く染み渡っていく。
しばらくして、彼女は血の中に手を差し入れた。
指先が掴み取ったのは、一つの金属球。
加工の準備を終えたそれを取り上げ、冷たい光を確かめるように眺める。
血の赤が金属の表面に薄く滲み、まるで呼吸をしているかのように微かに脈動していた。
「……いい仕上がり」
小さく呟き、カヤは再び作業部屋へと戻る。
次に彼女が刻むのは、
その刃が持つ神秘を描きあげるために。
そも、
神話にあるような素材を使えば別だろうが、基本は戦闘中に一度しか使わないのだから、それで十分とも言える。
したがって、フラガラックの制作は慣れた作業だ。
血を混ぜたインクで、金属球へと書き込んでいく。
オーラを込めながら、曲面へと文字を書き込んでいく。それらは
完成した
意図していない変容であり、初めて作った時には驚いたことを思い出せる。
性能に問題はなく、むしろ想定よりも高いくらいだ。
私の
何かを見落としている。
今生の全てを付き添ってきた能力に、まだ秘密がある。
カヤは指先でその透明な表面をなぞる。
宝珠の奥で、光がゆらりと揺れた。
まるで、呼吸するように。
何かが隠れているのだろう。
やはり、更なる探求が必要だ。
感想をいただけるととても嬉しいです。
法則刻印(アッサンブラージュ)
具現化+放出系
文字を介して意味を具現化する能力
主に物体に刻んで使っており、その物質は超常の機能を帯びる
道具作成以外にも使えるが、即時発動は苦手としている
作者の理解なのですが、神字はオーラを自動で動かす文字。オーラをその場に留めたり、繊細な操作を補助する機能。そういう認識で、少なくともこの作品は行きます。