美人女神に転生してしまった俺。いや・・・私は、今日も追放ショタを愛でまくる。 作:雨を呼ぶてるてる坊主
騎士団長様に見送られた私達は、冒険者ギルドが集まる集会場に来ていた。そこには、筋骨隆々の男性達や歴戦の魔導士であろう女性達が集っていた。
どうやら、セルジオのパーティは居ないようだね。別の国のギルド会場に居るのだろうか・・・?まぁ、私達には関係の無い事だがな。
そう思いながら、私達がギルド会場の中に入ると冒険者達の視線が突き刺さるのを感じる。しかし、その視線には悪意の様なものは無いようで安心する。ルルが、怖がらなくて済むようだ。
「なぁ、見ろよ。あの僧侶っぽい服の姉ちゃん、すっげー美人じゃねぇか?」
「分かる!ってか、オーラからして別格だよな!」
「隣に居る男の子も可愛くない?私の好みかも~。」
周囲からは私達の容姿を称賛する声が溢れるが、いちいち気にはしていられない。私が興味を持つのは、腕の中で恥ずかしそうにしているこの子だけなのだから・・・。そうこうしていると、受付嬢という奴に話し掛けられる。頭から耳が生えているが、獣人族か・・・?
「初めまして~。ギルドの新規登録の方ですか~?」
「あ、あぁ・・・。だが、ギルドという奴は初めてでな。どうすればいいのか、分からないんだ。」
「分かりました~。ギルドは低ランクから順に、EからSSにまで分類されています。とは言えども、SSランク冒険者なんて見た事無いんですけどね~。取り敢えず、種族名と御名前。使用属性を、記入していただけますか~?」
その言葉に、私は一瞬戸惑ってしまう。名前を書くのはまだ良い。だが・・・、種族名と属性魔法をどうすればいいか迷ってしまう。
私の場合、属性魔法に関しては偽らなくても問題は無い。だが、種族名が問題だ。なんせ、五大属性神が人間界でパーティを作るなど前代未聞だろう。
ルルの場合は種族名は問題は無いが、属性魔法が問題だ。二属性を保有するセカンドウィザードでさえ、現れただけで大騒ぎされるというのに、マルチウィザードと書いてしまえば大騒ぎどころではない。ルルを利用しようとする輩も出て来るだろう。
「・・・仕方が無い。」
考えていても仕方が無いので、私は自身とルルの素性を隠す事無く記す事にする。そして受付嬢に提出をすると、初めは笑顔だった彼女は分かりやすいように目を見開いて驚き始めた。
「確かに受け取り・・・!?こっ!?これは何故、五大属・・・ムッ!?」
そう驚く彼女が『五大属性全てを持っているの!?』と言おうとしたのか、『五大属性神の一人が!?』と言おうとしたのかは分からないが騒がれると面倒なので、私は人差し指を彼女の唇に優しく押し当てる。
「シーッ・・・、驚かせてすまなかったね。だが、此処に記している事は全て真だ。疑うのなら、このギルド会場の頭でも呼ぶと良い。」
「しょ、少々お待ちくださいませ!!皆!こちらの新規冒険者の方々を、ギルドマスターに御会いさせて!!」
その言葉と共に、受付を担当していた獣人族の受付嬢達が慌ただしく動き始める。そして暫くすると、見事な髭を蓄えた偉丈夫が私達の前に現れた。どうやら彼が、この国のギルドマスターらしい。
「どうぞ、こちらに御越しくださいませ・・・。」
「・・・だそうだよ。ルル、行こうか。」
「は、はい・・・。」
そして私はギルドマスターに着いて行くと、彼は厳重そうな扉を開いて招き入れてくれる。そして、私達が部屋に入ると扉は重い音を立てて閉まってしまう。
「この部屋は、防音結界を張っております故に御安心を。外部に漏れる事はありませぬ。水の五大属性神様。」
「その言葉、信じていいんだろうね?」
「はい・・・。ですが・・・無礼を承知で申し上げたいのですが、五大属性神様とは
「構わないよ。疑われる事は承知の上だ。それに、この子の属性魔法についても疑っているんだろう?」
「如何にも・・・。今まで数々の冒険者を見てきましたが、五大属性全てを操る者など・・・。まるで、おとぎ話の様なものです・・・。」
「では、少し証明して見せようか。」
そう言うと、私は空間転移魔法を使用してぺパットンの肉を取り出して見せる。そんな私の魔法に、ギルドマスターは驚いた顔をしたが信じるほかなくなったようだ。
「人間では、せいぜい使用できる魔法は五大属性のいずれかのみ・・・。にも拘らず、空間転移魔法を使われるなど・・・。信じるしかないようですね。そして、神々は嘘を吐かぬ種族としても有名です。ならば、その子供の五大属性を操る件も真なのでしょうね・・・。」
そう言いながらルルの方を見る彼に、私はつい殺気を当ててしまう。その殺気は、ギルドマスターの部屋を摂氏0℃以下まで下げてしまう程だった。我ながら、やり過ぎたかな・・・。
「一つ言っておくが・・・。この子が五大属性全てを操るという事を言い触らしたり、この子を利用しようなどと考えてみろ・・・。君はもちろんの事だが、この国の人間がどうなるかは分からないからな・・・。」
しかし、流石はギルドマスターだ。確かに少し顔を引き締める事になったが、その表情には恐れなどは存在せずに私の顔を見据えていた。
「・・・分かりました。御安心ください、ギルド間での個人情報の取り扱いには細心の注意を払っております故に。」
「その言葉を聞けて安心したよ。こちらこそ申し訳なかった、怪我は無かったかい?」
「御心遣い、感謝いたします。それにしても、この少年の来歴に"不死鳥ノ爪"と有りましたが・・・?」
「不死鳥ノ爪の事を知っているのか!?」
その言葉に、私は思わずギルドマスターに詰め寄ってしまう。そんな私達に戸惑いながら、ギルドマスターは大きく頷いた。
「え、えぇ・・・。つい先日、この国を出立されましたが・・・。」
「出立の理由は?」
「どうやら・・・。極東のダンジョンに対する依頼を遂行しようとしたところ、あえなく敗走してしまった様です。・・・ところで何故、五大属性全てを操れるほどの逸材が不死鳥ノ爪を抜けられたのですか?」
その言葉に私は説明すべきか迷ってしまう・・・。そのとき、私の腕の中から声が響いた。
「ひ、ヒサメさん・・・。僕・・・自分で説明します・・・。」
何とルルが説明をしたいと言い始めたのだ。そんな彼に心配になってしまうが、私は彼の意思を尊重する事にする。そんな彼は、思い出す事も酷であろうに一生懸命に自分の言葉を使って説明をしていた。
そして、そんな彼の説明を聞いたギルドマスターはハンカチで涙を抑えていた。どうやら、涙脆い性格のようだね・・・。
「そのような酷い事が・・・!!たしかに、彼はギルド会場で大勢の女性を
「だが、この事を申告しても信じる者は少ないだろう。だからこそ、ここぞというときに奴の悪行をバラす事にするよ。」
「・・・それが宜しいでしょうね。しかし、彼は惜しい事をしましたね。まさか、追放した少年が幻とも言える程の、魔術の才能を持っているとは・・・。」
「才能云々以前に、ルルの様な可愛らしい子を追放したことが奴の何よりの失態だ。」
「違いありませんね。この様な素直な子は、見ているだけで癒されますからね。・・・では、これにてギルド登録は終了となります。ギルド名は、こちらの名前で宜しかったでしょうか?」
そう言って手続きを終えてくれた彼に、私達は礼をする事にする。そして、その登録証には私とルルのギルド名が書かれていた。そして、ギルド名はルルが考えてくれたのだが・・・。
「私達のギルド名は、"純白ノ
「ど、どうでしょうか?」
「いや、良い名前だと思うよ。ただ、索冥なんて言葉をよく知っていたね。」
索冥というのは、五色の霊獣と呼ばれる神獣の一種だ。そんな霊獣達には五行思想に基づく毛色の異なる幾つかの種があり、黄色い毛を持つ
その霊獣達の特徴といえば、その性格にあるだろう。無益な殺生を好まず、善人に対しては何がなんでも守り抜く仁義に熱い性格をしている一方で、悪人に対しては容赦無い裁きを下すと知られている。
そんな中でも索冥は、慈悲と正義に重んじた性質をしていると言われている。
まさに優しさの面は、今までのルルの性格を象徴していると言えるだろう。一方で容赦無い正義を下す面は、これからのルルの覚悟を表しているようにも捉えられる。
「うん。やはり、良いギルド名だ。」
そう言いながら、私はルルの頭を優しく撫でてやる。そうすると、ルルは頬を桃色に染め始めた。
「え、えへへ。偉龍さんに教えて貰ったんです。索冥さんって言うのは、平和を愛する優しい神獣さんのことだって。それを聞いたときに、ヒサメさんみたいな優しい神獣さんなんだなって・・・思いました。」
そう甘える様に頭を掌に押し付けてくるルルに、私は胸の奥が締め付けられそうな感覚に陥ってしまう。なんというか、此処までくると本当に魔性としか言いようが無いなこの子は・・・。
そう思いながらも、私はギルドマスターに礼をする事になる。
「今日は、色々と
「あ、ありがとうございます・・・!!」
そして、ギルド会場を出て就寝の為に宿に向かおうとした私達だったが・・・。ギルドマスターが、私達を引き留めた。そんな彼の言葉に、私達は振り返ってしまう。
「あの・・・。一つ頼まれて欲しい事があるのですが・・・。」
「どうしたんだい?」
「ぼ、僕達に出来る事なら・・・何でも言ってください!!」
ルルも珍しく気合を入れて頑張ろうとしている様だ。そんな私達に対して、ギルドマスターは言い辛そうにしながらも依頼内容を説明してくれる。
「その・・・。明日で構いませんので、不死鳥ノ爪の団員の方々が失敗した任務を引き継いでもらえないでしょうか?」
「ど、どういう事ですか?」
ルルのその質問に、ギルドマスターは説明をしてくれる。どうやら、セルジオ達が挑戦したダンジョンの奥底には強力な魔獣が居るらしい。その名も、グレイブル・・・。
「ひ、ヒサメさん。グレイブルさんって、何者なんでしょうか?」
「グレイブルというのは、魔獣の一種だよ。個体差によって階級は違ってくるが、偉龍さんが一度神級のグレイブルと戦った事があると言っていたな。」
「し、神級魔族さんって事ですか?」
その言葉に、ギルドマスターも深刻そうに頷いた。どうやら、これは引き受けなくてはならない空気かもしれないね。・・・ルルも、少しやる気のようだし。
「いいだろう。その依頼は我々、"純白ノ
「それはもちろん!それに、グレイブルを無力化した暁には相応の報酬を支払いましょう!!」
私の言葉に、ギルドマスターは嬉しそうな顔に成りながら報酬も約束してくれる。しかし、"純白ノ索冥"か・・・。厨二病感満載だな・・・。
そう思ったのは、此処だけの秘密という事にしておこう・・・。
次回、少し急展開な事が起きるかも・・・?