美人女神に転生してしまった俺。いや・・・私は、今日も追放ショタを愛でまくる。 作:雨を呼ぶてるてる坊主
早朝から早々に面倒事に巻き込まれた私とルルだったが、私達は極東のダンジョン付近に到着していた。とはいえ、空間転移魔法を使っての移動だが・・・。これが大変すぎる・・・。
私の使う空間転移魔法は、聞くだけなら便利なように思えるが中々に厄介なものだ。何故なら、基本的に一度行った事がある場所なら難無く向かえるのだが、一度も行った事が無い場所となると上手くいかないのだ。
「ふぅ・・・。すまないね、予定よりも大幅に時間が掛かってしまったよ。空間転移魔法を、何度も使いながら進んだが酔っていないかい?」
「だ、大丈夫です!!」
「それは良かった。さて・・・ここらで、昼飯にしたいんだが・・・。」
そう言いながら、私は抱いていたルルを地面に降ろす。そして、途中で狩っておいたモンスターを亜空間から取り出す。その魔物は、巨大なタランチュラの様な見た目をしたモンスターだが、ルル曰くセルジオの好物の一つだったものという事だった。
「しかし・・・、本当にこれが旨いのかい?」
「は、はい・・・。僕は食べさせてもらえませんでしたが、濃厚で噛むほどに甘い味が口の中に広がるそうです。名前は、デビルタランチュラっていうらしいんです。」
「食べさせてもらえなかったというのは・・・、セルジオにやられたのかい?」
「は、はい・・・。料理の作り終わる速さが、遅すぎるからって・・・。でも、僕が早くしなかったのが悪かったので・・・。えへへ・・・。」
その言葉に、私の心の奥底からセルジオに対する怒りが流れ始めるが、私は何とかその感情を抑えてルルの頭を撫でながら笑い掛ける。
「それじゃあ、ルルの初体験を貰えるという事かな?フフッ、大変栄誉な事に思えるね。」
「じゃ、じゃあ。僕が御料理しますね・・・!」
そう言いながら、握り拳を作るルルなのだが・・・。長袖の神衣の所為か、萌え袖にしか見えないのは私の頭が二次元の萌えに染まっているからだろうか?
(天使か・・・?)
そう思いながら、ルルの料理工程を見る私だったが・・・。なんというか、ルルの手際は物凄く良かった。流石に、デビルタランチュラの解体は私がしたが。何でも、"不死鳥ノ爪"にいた頃は、他の女性メンバーに解体をしてもらっていたらしい。
そんな私の目の前では、ルルがデビルタランチュラの太い足に木の枝を刺していく。因みに、木の枝は水魔法で浄化済みだから、汚くもなんともない。
そして、肝心の焚火なのだが・・・。ルルは早速、炎魔法を出そうと頑張っている様だ。顔を真っ赤にしながら、枯木に手を
(・・・言われずとも、魔法を使って火おこしをしようとしている・・・。感心だな。)
ルルのこういったところも、私は純粋に尊敬できる。前世で読んだライトノベル等では、最弱だった主人公が急に最強になったりしていた。そして、自身を馬鹿にしてきたパーティメンバーや悪人共に対して"ざまぁ"をして成敗するのが御約束の流れだ。
もちろん、そんなストーリーは勧善懲悪ものを見ている様で心が軽やかになることは確かだ。けれども、主人公が最初から強すぎる故に緊張感や彼等の成長が見られない。
けれども、ルルの場合は違う。彼の場合は、確かに五大属性全てを操る稀有な才を持っている。だが、それらを使って伝説の魔獣を一撃で倒せるか・・・?否、倒す事は無理だ。何故なら、神ノ加護を受け取っていないから。
ならば、如何すればよいのか・・・?それは、経験あるのみだ。戦いの経験を積んで、地道に強く成っていくしか他に道は無い。だから、私は彼への手助けはあまりしない事にした。もちろん、本当に危ないときは彼を助ける気ではいるのだが。
(あとは、ルルの伸び代だろうな・・・。短期間で、急成長するタイプか否か・・・。)
私がそう考えていると、ルルが私に向かって声を掛けてくれた。そんな彼の手には、外骨格が赤く変わったデビルタランチュラの脚が載せられた葉の皿が掴まれていた。
「ヒサメさん・・・?御飯が、出来ましたよ?」
「ん?あ、あぁ・・・、有り難う。」
そんな葉の皿に乗せられたデビルタランチュラの足を見た私は、思わず目を見開いてしまった。焼きあがったデビルタランチュラの足は、焼きガニそのものだったからだ。
「蜘蛛の味は、甲殻類に似たものだとはよく言うが・・・。まさか、見た目までそっくりとはね。」
「キラキラ輝いて、宝石みたいです・・・。」
「では、同時にかぶり付こうか。」
「は、はい!」
そう言うと、私達はデビルタランチュラの殻を剥き始める。すると、中から出汁の様なものが噴き出し始める。そして、辺り一帯に焼きガニの様な良い匂いが漂い始めた。
「はぁ・・・。美味いな・・・。」
「あの、ヒサメさん・・・。こんなに、のんびりしてて良いんでしょうか・・・?」
「腹が減っては戦は出来ないというしね、食事を摂って正解だと思うよ。」
そう言いながら、私はルルの頬に着いたデビルタランチュラの身の切れ端を取ってやる。すると、ルルは恥ずかしそうにさらにモリモリと食べ始めてしまった。
そして、腹ごしらえが終わった私達は遂にダンジョンの中に入り始める。普段なら、ルルは私に抱きかかえられているが、今日のルルは自分の足で地に立って歩いていた。
「ルル、足元が不安定だからね。炎魔法か、雷魔法を使って道を照らすんだよ。」
「は、はい!ヒサメさんは、大丈夫なんですか?」
「私は大丈夫だよ。私達の様な神の身体は、あらゆる環境に適応できるからね。闇夜の中でも、簡単に夜目が効いてくれるのさ。」
私達がそう話していると、低級魔族である子供のゴブリンが現れた。そんな奴を見た私は、一歩下がってルルの戦闘を見守る事にする。そして、ルルはルルで震えながらも魔法を発そうとしていた。
「ルル、ポイントは腹の中で魔力を練るようなイメージだ。頑張ってみてくれ、危なく成ったらいつでも助けるからね。」
「わ、分かりました・・・!」
そう言うと、ルルは目を閉じて集中し始めた。すると、ルルの真後ろに数滴の水が現れ始める。それが一つに集まると、ゴブリンの身体を貫通してしまった!そして、子ゴブリンは呻き声を上げて消えてしまった。
「凄いな、低級魔族とはいえ一撃で倒してしまうなんて。もしかして、水弾を模倣したのかな?」
「は、はい!ヒサメさんの魔法を、真似っこしてみました・・・。」
「ハハッ、これは御株を奪われてしまうかな?」
「はぅっ!す、すみません・・・。」
「いや、寧ろ超えてもらわなくてはな。私が、君の傍まで付いて来た理由が無くなってしまう。」
すると、突然ルルの身体が淡く光り始めた。この光はまさか・・・、ルルのステータスが向上したのか。やはり、ダンジョンに来たのは正解だったな。
「ひ、ヒサメさん・・・。こ、これって・・・?」
「どうやら、君のステータスが上がったみたいだよ。ふむ・・・。体力やスピードは、少々しか上がっていないが・・・。魔力量と魔力出力の増大具合が、他のステータスよりも凄まじいな・・・。30程度しかなかったのが、150になっているぞ。」
「ど、どうしてですか?」
「恐らくは、マルチウィザードとしての才覚だろうね。体力や素早さの伸び具合は常人並だが、総魔力量と魔力出力の数値の伸び具合が異常だ。・・・少し、壁に向かって水魔法を撃ってごらん。」
その言葉に戸惑いながらも、ルルは水魔法を手近な壁に撃ち始める。すると、先程は柔いゴブリンの肉しか穿つ事の出来なかった水が、岩壁に小さな
「ひ、ヒサメさん・・・。これって・・・。」
「あぁ、着実に成長をし始めているね。とはいえ、私達の様な神には遠く及ばないけど。」
「うぅ・・・。も、もっと頑張ります!!」
そう言い合いながら、私達はダンジョンの更に奥深くへと潜っていく。途中で現れる低級魔族達はルルに任せる事にして、私は上級魔族をなぎ倒していく。
「レベル4、黒風白雨!!」
私がそう言うと、洞窟内に雨嵐が出現して魔物達を巻き込んでいく。・・・どちらかといえば、密閉した空間より開けた土地で使う方が良いのだがな・・・。
そして、私達は遂にダンジョンの奥へと到達する。そこは、湿気が漂っており暗闇に覆われた場所であった。そんな奥から、強力な魔力が襲い掛かって来る。
「この気迫・・・。気を付けるんだ、ルル。」
「は、はい!!」
そう私達が構えると、洞窟の奥から巨大な影が現れた。そんな影は、私達を見下ろすと周囲の空気を震わせるほどの迫力に満ちた声を上げてくる。
『ほう・・・。そこに居るのは、五大属性神の水神と・・・。無垢な魔力を持った子供か・・・。』
「ひ、ヒサメさん・・・。この魔族さんが・・・。」
「あぁ・・・。間違いないようだね。・・・グレイブルだ!!」
私の声と共に、巨大な影の全貌が明らかになる!!そこに居たのは、銀色の艶やかな毛並みをした巨大な狼だったのだ!!