美人女神に転生してしまった俺。いや・・・私は、今日も追放ショタを愛でまくる。   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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ショタ目撃

湖底が目視出来る程の透き通った湖、そんな湖を囲うようにしてサラサラと軽やかな音を奏でる木々達の声。そんな幻想的な風景に囲まれながら、私・・・ヒサメ・アリステラは、誰一人居ない神殿で大きな欠伸をしてしまった。

 

 

「はぁ・・・、女神生活は暇すぎるな。私以外、この空間に誰も居ないしなぁ・・・。」

 

 

いや、前世での一人称は俺なんだけどな・・・。まぁいいや、女神に生まれ変わってからは口頭では私で統一してるし、今更変える義理も無いからな。

 

 

そう・・・。私はいわゆる、転生者という奴だ。一時期流行った、異世界転生もののラノベやアニメ・・・。あのジャンルは、私の様な女っ気の無かった平凡な男にとっては夢の様なジャンルだったと思う。偏見にも程があるけどな・・・。

 

 

そんなジャンルの大まかなストーリーとしては、目立った要素が一欠片も無い男が、何の前振れも無く異世界に転生して、綺麗な女勇者や僧侶・・・。果ては女神達とイチャラブハーレム物語を築いていくものだ。とはいえども、あまりにも御都合展開が続きすぎるとバッシングの嵐を受けてしまう諸刃の剣のジャンルであることも確か・・・。

 

 

そんな異世界というジャンルなのだが・・・。現に私も転生してしまったのだ。ただし、勇者ではなく女神として・・・。死んだ原因は確か・・・浮気相手と逃げた父親の借金の連帯保証人にされて、金を稼ぐ為に働きすぎて過労死したんだっけか・・・?にしても・・・。

 

 

「何でよりによって、女神に転生してしまったんだ!!しかも、無駄に美形だし!!たしかに、なろう系に出てくる女神ってスタイル抜群の美女だぞ!!けど、それは自分自身の性別が男だから興奮するのであって、同性になっちまったら興奮できるものもできないだろう!!」

 

 

私はそう叫んでしまうが、そんな私の慟哭(どうこく)に耳を貸してくれる生き物は誰一人としていない。私が女神に転生してから、数百年が経とうとしているが未だに誰一人として訪れてきてはくれないのだ。

 

 

他に同族の女神は居ないのかって?はぁ・・・。そんな者は、とうの昔に見つけたさ。だがな・・・私以外の女神達は居たには居たのだが、勇者などに加護を与えたりと色々忙しいらしい・・・。

 

 

「はぁ・・・。後生だから、誰か来てくれないものか・・・。そもそも、こんな辺境の地に祀られている事自体がおかしいだろう・・・。」

 

 

私がそう嘆いていると、神殿の中央にある泉が光り始める。この泉は普段は光る事などは無いのだが、私が祀られている祠の前に誰かが来ると、光り輝いて知らせてくれるシステムなのだ。

 

 

「何!?私の祠に誰かが訪れるなど、百年前以来だぞ!!」

 

 

そう驚きながらも、私は泉の水面を覗き込んで訪れて来た者の正体を知ろうとする。そして、そんな私の目に映ったのは信じられないものだった。

 

 

「あれは・・・。子供か?だが、何故あそこまでボロボロに成っているんだ?魔道具なども、何一つ着けていないじゃないか!!」

 

 

そう・・・。水面に映っている少年は武器や防具などを何一つ身に付けておらず、ボロボロの状態で祠の前に座り込んでいたのだ。

 

 

「どういう事だ?私の祠付近は、滅多に勇者などが来ない事から魔族や盗賊共の温床となっていたはずだ!!何故、あのような子供が・・・!?」

 

 

そのとき、私が見ている水面の映像に胸糞の悪いものが映り始めた。それは、少年の目の前に現れた盗賊達だ。そんな奴等は、下卑た笑みを隠すことなく少年に歩み寄ろうとしている。そんな奴等の声を、私は水面越しに聞こうと精神を集中させる。

 

 

『おいおい、こんな所にガキが居るぜ。』

 

 

『ずいぶん綺麗な顔してんなぁ、どっかの変態貴族に売り飛ばしちまうか?』

 

 

『まぁ待て、売り飛ばす前に俺達で楽しもうぜ。減るもんじゃねぇだろ。』

 

 

『最高かよ。おいガキ、動くんじゃねぇぞ。動いたり叫んだりしたら殺すからな。』

 

 

その彼等の声を水面越しに聞いた私は、怒りで頭が沸騰しそうな感覚に陥った。そもそも、私は前世のときから弱い者虐めが大嫌いだった。・・・そういや、昔はよく学校の学級委員長とか務めて虐めを止めたりしてたっけか・・・?

 

 

「って、何を思い出に浸っているんだ私は!!」

 

 

そう自分自身に突っ込みを入れると、私は異空間転移魔法を使って神殿から地上に降り立つことにする。そうして地上に降り立つと、私は思わず顔を顰めてしまった。目の前には、恐らくナイフで切り刻まれたであろう少年の衣服が散乱しており、その先では悲しげな顔をしつつも涙を流す事もない少年が、下卑た笑みを浮かべる男達に囲われていたからだ。

 

 

「その子から離れろ!下郎共が!!」

 

 

そんな私の登場に、盗賊共は驚いた顔をするがすぐにニヤニヤとした表情を浮かべてくる。

 

 

「おいおい、何だ?今度は、綺麗な賢者様まで現れやがったぜ。」

 

 

「・・・賢者っつーには、神々しすぎねぇか?・・・まさか、女神様の類だったりしてな。」

 

 

「まぁ何にせよ、清楚な雰囲気の女であることには変わりねぇだろ!!御前等は、そのガキで楽しめよ!!俺は、この女を使って気持ち良くならせてもらうからよ!」

 

 

そんな男達の声に、私は思わず吐き気を催してしまう。私も前世では男だった以上、女性が男性に尊厳を踏みにじられる展開がある官能小説を読んでいた時期はある。

 

 

(しかし、実際に女の身になってから聞くと不愉快極まり無いな・・・。)

 

 

そう私が考えていると、一人の体毛の濃さそうな不潔な男が私の方へ歩を進め、丸太の様な腕を伸ばしてくる。

 

 

「おいおい、だんまりって事は合意したって事だよな。それじゃあ、どんな目に遭っても文句言うなよ・・・。」

 

 

「氷魔法。レベル1・・・、霜結・・・。」

 

 

男の手が私の肌に触れる寸前、私が魔法を唱えると男の足元は氷に覆われて凍結してしまう。説明が遅れたが、この世界には当然の如く魔法というものは存在していて、魔法はレベル1~レベル5にまで分類されている。そして、レベルに応じて威力も勿論変わってくる。

 

 

今私が使った霜結は、レベル1の氷魔法だ。効果としては、辺り一帯の地面を凍らして足底と接着させる拘束魔法の様なものだが・・・。とはいえども、女神である私が使えば氷の覆う範囲は対象の下半身までに及んでしまう。

 

 

そんな攻撃を受けた男は、下半身が見事に氷漬けにされてしまっていた。

 

 

(あの様子では、生殖器も氷漬けにされているだろうな・・・。元男として、少し同情するが許しはせん。)

 

 

そう考えに至った私は、空中に数十本の氷の槍を出現させて盗賊達を威嚇する。

 

 

「氷魔法、レベル2の氷槍だ。反抗の意思を示すなら、この槍が御前達の鮮血で赤く染まる事になる。まるで、樹霜に赤花が咲き誇るかの様にな・・・。そうだ、貴様らの返り血で槍が深紅に染まった暁には、此処を観光地にしてみるのも面白いだろうなぁ・・・。名付けて、血吸いの霜樹海などはどうだ?」

 

 

そんな私の言葉に、盗賊達は反抗の意思を失ったかのように涙ぐみ始める。

 

 

「ひっ!!た、頼む!見逃してくれぇ!!」

 

 

「わ、悪かった!!もう、このガキには手出しはしねぇよ!!だ・・・だから、命だけは助けてくれぇ!!」

 

 

先程までの調子に乗った顔は何処へやら。顔を涙と鼻水でグチャグチャにした奴等を、私は呆れながらも解放してやる。

 

 

「良いだろう、命だけは助けてやる。ただし、有り金を全て置いていけ。」

 

 

「は・・・、はへぇ?」

 

 

「はへぇ?ではない。貴様らが乱暴を働いた、この子に対する慰謝料だ。まさか、払う事が出来ないとは言わないだろうな・・・。」

 

 

そう私が目を細めながらレベル2の魔法である氷剣を発動させ、リーダー格の男の首筋に突きつけてやると、奴等は壊れた人形の様に頷きながら金貨を地面にばら撒いて走り去っていったのだった・・・。

 

 

そうして森に静寂が訪れ、その場には私と俯いたままの少年が取り残されてしまう。そんな私は、大いに戸惑っていた。何故なら、私は前世では子供と触れ合う機会が無かったからだ。それもその筈・・・、今でこそ水色のロングヘアに水色の瞳をした絶世の美女へと変貌しているが、前世では何処にでもいるようなモブ顔男子だった私・・・。

 

 

そんな私に彼女など出来る筈もなく、彼女居ない歴=年齢のまま人生を終わらせてしまっていた。つまり、結婚などもしていなかった為に子供と触れ合う事など一度も無かったのだ。

 

 

取り敢えず私は膝を曲げながら屈んで、少しでも少年と同じ目線で話せるように努力しようとする。

 

 

「んんっ・・・。君、大丈夫だったか?」

 

 

私のその言葉に、少年は怯えた様に恐る恐る顔を上げ始めた。そんな彼の人相が明らかになったと同時に、私は息をする事を忘れてしまっていた。何故なら、そこに居たのは・・・。

 

 

「まさかの、美ショタとはな・・・。」

 

 

「ショ・・・ショタって何ですか・・・?」

 

 

そう首をあざとらしく傾げる少年・・・。そんな彼は白色のミディアムヘアに、長い睫毛を携えた水色の瞳をした超絶美ショタだったのだから。

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