美人女神に転生してしまった俺。いや・・・私は、今日も追放ショタを愛でまくる。 作:雨を呼ぶてるてる坊主
目の前が真っ暗だ。上も下も右も左も・・・。ここは何処なんだろう、さっきまで僕はヒサメさんと一緒に居たはずなのに・・・。もしかして、さっきまでの出来事は全部夢だったのかな・・・。そう考えてしまった僕は、段々と寂しい気持ちになってくる。
『一人ぼっちになるのは、いつもの事なのに・・・。なんで、こんなに心がチクチクしちゃうのかな・・・?』
そんな僕の頭に思い浮かぶのは、ヒサメさんの御顔ばっかりだ。ヒサメさんの、困ったように笑う綺麗な笑顔・・・。ヒサメさんが僕を
『ヒサメさん・・・。何処にいるの・・・?』
そう呟きながらも、僕の寂しい気持ちはどんどん大きくなってくる。そんなとき、僕を包み込んでいた真っ暗な世界に綺麗な光が迷い込んできた。
そして、そんな光の中から僕が一番会いたい人の声が聴こえてきた。
『・・・ル。ルル・・・。起きるんだ。』
ヒサメさんの声だ・・・。御母さんと御父さんが死んじゃってから、誰にも必要とされなかった僕を必要としてくれた優しい声だ・・・!
『ヒサメさん・・・!僕は・・・此処です!!』
僕はそう叫びながら、光の中に走り寄っていく。そんな僕の声に応えてくれたのかは分からないけど、綺麗な光は僕の身体を優しく包んでくれた。そんな光が輝くと、僕の意識は段々と現実世界に戻って行ったのだった・・・。
「ルル、起きたかい?」
「ヒ・・・サメさん?」
僕が目を覚ますと、目の前に映ったのは綺麗な水色の瞳だった。間違える筈もない、ヒサメさんの目だ・・・。
「大丈夫かい・・・?少し、
そんなヒサメさんの目に安心しちゃった僕は、夢の中での独りぼっちの寂しさからヒサメさんに抱き着いて泣いちゃった・・・。
でも、ヒサメさんは嫌な顔をせずに僕の背中を叩いてあやしてくれる。本当に、御母さんみたい・・・。
「怖い夢でも見てしまったのかな?」
「はい・・・。独りぼっちで、真っ暗な御部屋に閉じ込められちゃう夢です・・・。」
「そうか、それは怖かっただろうね。でも、もう大丈夫だよ。周りを見てごらん。」
そう言いながら、周囲を見渡すように言ってくれるヒサメさんの言葉に周りを見渡すと、そこに広がっていたのは信じられない光景だった。
(・・・綺麗な場所。)
そう思いながらボーっとする僕の周りには、たくさんの小鳥さん達が楽しそうに飛んでいた。そして、地面を見てみると辺り一面に綺麗な御花が咲いていた。
「ひ、ヒサメさん・・・。此処って、もしかして・・・。」
「フフッ、御察しの通りだよ。ようこそ神界に、私達神々は君の事を歓迎するよ。」
そう言いながら、ヒサメさんは僕の事を抱っこしたまま歩き始める。そして、しばらく歩いていると人の数が増えて来たんだけど・・・。
(み、みんな、物凄く綺麗な人達ばっかりだぁ・・・。)
僕の視界に入る人達は、みんな綺麗な男の人や女の人達だった。
女の人達は、背が高かったり低かったりしていたけど、まるで絵本から出てきたのかと思うくらいの美人さん達ばっかりだった。
男の人達も僕なんかよりもずっと逞しくて、まるでセルジオさんみたいな筋肉をした人達だった。でも・・・セルジオさんと違うのは、その男の人達は優しそうな表情をしてた事だった。
そう僕が、景色の美しさにポカンとしているとヒサメさんが急に立ち止まってしまった。
「ヒサメさん・・・?どうしたんですか?」
「いや・・・。面倒臭い奴に出会ってしまってね・・・。」
そう言うヒサメさんの御顔は、僕が見た事もない表情だった。その表情は、何て言ったらいいのか分からないけど、小さい頃に甘い木の実と間違えて酸っぱい木の実を食べてしまった時の僕と同じ顔をしてた。
そんなヒサメさんが見つめていたのは、金色の髪をした女の人と、赤色の髪をした女の人だった。その内の赤い髪をした女の人が、僕達の方・・・。というより、ヒサメさんの方に向かって歩いてくる。
「よーっす!ヒサメェ!元気にしてたか!?最近、神界に顔出さねぇから寂しかったんだぜ!!」
そう言いながら、赤い髪をした女の人はヒサメさんの肩に手を置きながら大きな声で挨拶をしてきた。そんな挨拶に、ヒサメさんは少し嫌がってるみたい。
「ホムラ・・・。出会い頭早々に、大声を出さないでくれ・・・。君の声は、頭に響くんだ。・・・ヒカリ、君も黙っていないでホムラを引き剥がしてくれ。」
「む・・・、すまないな。ホムラが嬉しそうにしていたものだから、止めるべきか迷ってしまっていたんだ。・・・ところで、貴殿が抱いているその
そう言いながらヒカリと呼ばれた金髪の女の人は、ヒサメさんに抱っこされている僕を見下ろしながら尋ねてくる。そんなヒカリさんという人の迫力に、僕は反射的に縮こまってしまう。
そして、ヒカリさんに続いてホムラさんと呼ばれた人も、僕の御顔を興味津々に覗き込んできた。
「何だぁ?このガキんちょは。・・・ん?って、おい。このガキんちょ、なんか普通の魔力じゃねぇぞ?ヒサメ・・・御前、このガキんちょに何かしたか?」
「何もしていない・・・。ところで、ヒカリにホムラ。君達に、一つ尋ねたい事があるんだが構わないか?」
「構わん。貴殿と我等の仲だ。話してみると良い。」
そのヒカリさんの言葉に、ヒサメさんは僕の御顔を複雑そうな表情で見ながらヒカリさんとホムラさんに質問をし始めた。その質問の内容は、僕も予想できなかったものだった。
「君達は、セルジオという魔術師を知っているか?」
「ヒ、ヒサメさん?・・・どうして、セルジオさんの事を?」
「しっ・・・。良い子だから、少しだけ静かにしていてくれ。・・・それで、二人とも知っているのか?」
そう尋ねるヒサメさんに、ホムラさんとヒカリさんは顔を見合わせるとヒサメさんに向かって頷いてくれた。
「あぁ、知ってるぜ!そもそも、奴に対する加護はアタシとヒカリが付与したんだよ!なんてったって、奴はセコンズウィザードだからな!!アタシらの加護を付与してやりゃぁ、鬼に金棒ってぇもんだろ!!」
「そうだな、彼ほどの実力者なら我等の力も申し分なく使いこなせるはずだ・・・。彼が如何したのだ?」
「二人とも・・・。一つ聞きたいんだが、セルジオに力を分け与えた後に奴の動向を監視したりはしなかったのか?」
ヒサメさんの言葉に、ホムラさんは髪の毛を弄りながら気まずそうに答えてくれた。けれども、ヒサメさんはそんな彼女に深い溜息を吐いてしまったんだ。
「あー・・・してねぇな。なんてたって、アタシらも他の人間に加護を与えたりして忙しいからさぁ・・・。」
「・・・そうか、ならば奴の悪行に関しては認知していなかったと?」
そう呟くヒサメさんに、不思議そうな御顔をしたヒカリさんが僕の方を見つめながら尋ねてくる。
「どういう事だ?まさか、そこにいる童に関係しているのか?」
「あぁ・・・。その事に関しては、神殿で話したい。構わないね。」
「あぁ、構わんぞ。我等としても、気にはなってしまうからな。」
そう言いながらヒカリさんは、ヒサメさんに抱かれたままの僕の髪の毛を優しく撫でてくれた。そして、僕達は真っ白な風景の綺麗な建物の中に入る事になる。そこには、緑色の髪をした女の人とフードをかぶった男の人が居た。
そして、僕達が建物に足を踏み入れるとフードをかぶった男の人が声を掛けてくれた。その男の人に続いて、緑色の髪をした女の人もにこやかに話し掛けてくれる。
「待っていたぞ・・・。無垢なる魔力を有する、奇跡の子供よ・・・。」
「あらあら~。その子が、
そんな女の人と男の人に、僕は緊張してしまう。特に、フードを被った男の人からは、物凄いオーラが立ち上っていたから・・・。
「偉龍さん・・・。それに、ヒスイも来ていたのか。偉龍さんに関しては、私達が来るのを予見していたかのような反応ですね。」
「如何にも・・・。懐かしい気配が、先日から漂っていたものでな・・・。」
そんな人達が楽しそうに御話をする中、僕だけは縮こまってしまっていた。ここが本当に神様の国なら、目の前で楽しそうに御話しをしているのは強大な力を持った神様達だからだ・・・。そんな中、偉龍と呼ばれた男の人が僕に話し掛けてくる。
「御初目に御目に掛かる、奇跡の子よ・・・。私の名は偉龍・・・、大地を司る神だ。」
そんな偉龍さんに続いて、緑色の髪の毛をした女の人が優しい笑顔で話しかけてくれる。
「初めまして、ルル君だったかしら~?私の名前は翡翠っていうのよ、よろしくね〜。一応これでも、風を司る神様なのよ~。」
そうにこやかに話す女の人は、僕の目の前で涼しげな風を吹かせてくれた。そんな風に目を閉じていると、ホムラさんとヒカリさんが改めて自己紹介をしてくれる。
「アタシの名前は、ホムラだ!!見た目から分かっちまうかもしれねぇが、炎を司る神だ!!よろしくな!!」
「我の名は、ヒカリだ。雷を司る神を、務めさせてもらっている。今後とも宜しく頼むぞ。」
そんな人達の個性的な自己紹介に、僕は少しの間だけ固まってしまったけど何とか声を振り絞って自己紹介を始める。
「ぼ、僕の名前は・・・。ルル・・・です。・・・よろしく御願いしましゅ。あっ・・・。」
そう自己紹介を始めたんだけど、最後の最後で僕は噛んでしまったのだ。そんな失敗に恥ずかしくなってしまった僕は、思わずヒサメさんに抱き着いてしまった。
けれども、ヒサメさんは僕の背中を優しく擦って褒めてくれたんだ。
「頑張って、自己紹介が出来たね。偉かったぞ。」
「う、うぅ・・・。はい・・・。」
そう言いながら僕がヒサメさんの胸元に御顔を埋めていると、偉龍さんが皆に向かって声を上げ始めた。
「自己紹介は、此処までのようだ・・・。創造神様が、御越しに成られた。」
偉龍さんがそう言うとヒサメさん達はもちろん、笑った御顔をしていたホムラさんとヒスイさんまでもが真剣な御顔に成って膝を付き始めたんだ。
そんな中、僕は創造神様の姿を想像しながら緊張してた。だって、あんなに強いヒサメさんが
「おうおう!よく来たのじゃ!!そこの小さいのが、
こんな事を言ったら天罰が当たりそうなんだけど・・・、にこやかに挨拶をしてくれた創造神様の御姿は、僕よりも少し背が高いくらいの女の子だった。
けれども、そんな創造神様の姿に疑問を持つ事無く、偉龍さんは説明をし始める。もしかして、神様達は慣れっこなのかな?
「如何にも、その通りに御座います。彼の者こそ、魔族を打ち倒して人の子らに希望を与える存在・・・。」
「偉龍さんの見立て通り、この子は"マルチウィザード"だと思われますね~。」
そうにこやかに話すヒスイさんの言葉に、僕はハテナマークを浮かべるばかりだった。だって、セコンズウィザードなら聞いた事があるけどマルチウィザードなんて言葉は聞いた事が無いからだ。
けれども、創造神様やヒカリさんやホムラさん、それにヒサメさん達はそれが何か知っているみたいだった。
「マジかよ!このガキんちょが、今世代のマルチウィザード!?」
「なんとも面妖だな・・・。歳端もいかないような、この童が・・・。」
僕がそんな神様達の反応にオロオロしていると、偉龍さんが思い思いに話す皆さんを纏めるみたいに両手を打って僕に御話をしてくれる。
「ホムラ、ヒカリ・・・。あまり、騒ぐでない・・・。奇跡の子供よ、一つ頼まれ事を聞いてはくれぬか?」
「は、はい!」
「今一度、この水晶玉に手を
そう言いながら、偉龍さんは御着物の襟から水晶玉を取り出してくれた。その水晶玉は、昔に王宮で見た属性判定の水晶と同じものだった。
「わ、分かりました・・・。」
僕はそう言うと、
(やっぱり、僕には才能が無いのかな・・・?)
そう思いつつ、しょんぼりしながら御顔を上げると、僕の気持ちとは正反対に神様達は驚いた顔をしていた。けれども、その驚きの表情は王宮に居た人達とは違って喜びの感情が含まれた御顔だった。
「何という事だ・・・。まさか、この
「おいおい、冗談だろ!?おい、ヒサメ!!アタシの顔を、思いっきり
「・・・少しだけ、痛くするぞ。」
そう言いながら、ヒサメさんはホムラさんの頬っぺたをギューッと抓っていた。物凄く痛そうだけど、ホムラさん大丈夫なのかな・・・?
僕がそう心配そうにしていると、
僕がそう思っていると、創造神様がヒサメさんに対して質問を投げかけていた。
「ヒサメよ、御主はどの様に見ているのじゃ?」
「・・・私の見解を申し上げますと、この子は戦闘面に関しては未熟です。ですが、その原因としては自分自身がマルチウィザードと認識していない事も有ってか、自己の魔力を制御できていないからでしょう。」
「ふむ・・・。その言い方からすると、制御すれば
そう話すヒサメさん達は、僕を置いてきぼりにして"マルチウィザード"・・・?っていう不思議な言葉を言いながら、ドンドン御話を進めていっちゃう。
そんな中、僕はついに我慢が出来なくなって神様達の御話に割り込んじゃった。もしかしたら、御話の御邪魔になっちゃったんじゃないかって思っちゃったけど、神様達は怒る事なく笑顔で御返事をしてくれた。
「あ、あの・・・。」
「む?どうしたのじゃ?何でも言うてみるとよいのじゃ。」
「ま、マルチウィザードって・・・何ですか?セカンドウィザードとは違うんですか?」
僕がそう言うと、ホムラさんが呆れた様な御顔でヒサメさんを見つめながら話し始めた。そんなホムラさんに、ヒサメさんはムッとした表情になる。
「ヒサメ・・・。御前、マルチウィザードについてガキんちょに説明していなかったのかよ・・・。」
「仕方が無いだろう・・・。この子と出会ったのは、ほんの数日前なんだ。それに私自身、確証があったわけじゃないんだぞ。そんな状況で、マルチウィザードと話してぬか喜びさせたらどうするつもりだったんだ?まさか、君が尻拭いしてくれたのかい?」
「うっ・・・、それは・・・。・・・あー!取り敢えず、保護者責任だ!ガキんちょに説明してやりな!」
そうホムラさんが言うと、ヒサメさんは溜息を吐きながら膝を曲げて僕と同じ目線に成ってくれる。ヒサメさんのこういうところが、とっても優しくて心がポカポカしちゃう。
僕がそう思っていると、ヒサメさんは物凄い真面目な顔で僕に御話しをしてくれる。
「ルル。まずは、セカンドウィザードについては知っているかな?」
「は、はい・・・。普通の人は一属性しか持てないのに、一人で二つの属性を持っている人です・・・。・・・セルジオさんみたいな・・・。」
「そうだね。そういったセカンドウィザードは、生まれ持っての才能の様なものだろう。」
その言葉に分かってはいたけど、僕は少しだけ悲しくなっちゃう。セカンドウィザードの人を考える度に、セルジオさんから言われた言葉がチクチクと心を突き刺しちゃうから・・・。
けれども、ヒサメさんは僕の頭を優しく撫でながら続きを話してくれる。
「・・・話を続けるね。そんなセカンドウィザードは、数十年単位で生まれてくる。けど、正直言うとそこまで珍しいものではないんだよ。私達の様な、長寿の種族にとってはね。」
「はい・・・。」
「そこで、疑問が生まれないかな?先程言ったようにセカンドウィザードが生まれた程度では、私達はそこまで
「ぼ、僕の水晶玉を見て・・・?」
その言葉に僕は周りにいる、ホムラさん達の表情を見るとホムラさん達は僕の視線を感じ取ると、意味深にコクリと頷いてくる。そんな神様達の様子にますます混乱した僕は、我慢が出来なくなってヒサメさんに聞いてしまう。
「ひ、ヒサメさん。教えてください・・・。僕の水晶の色の正体は、何なんですか?」
僕がそう尋ねると、ヒサメさんは悪戯が成功したかのような笑顔で僕に答えを教えてくれる。・・・そして、その教えてくれた答えを聞いた僕は耳を疑ってしまった。
「君の魔力の正体・・・。それはね・・・セカンドウィザードなんか目じゃないくらいの、希少すぎるものだ・・・。その魔力の名は、千年に一人の逸材と言われる"マルチウィザード"と呼ばれるものなんだよ。そして、その実態は・・・二つの属性しか扱えないセコンズウィザードと違って、炎・・・水と氷・・・。風に雷に土の魔法・・・。それらの五大属性を、全て操る
「・・・え?ご、五大属性全て・・・?」
今思えばきっと、ここから僕の人生が変わっていったのかな・・・?
五柱の男神と女神達のプロフィールはまた、設定のリンクに載せておきます