美人女神に転生してしまった俺。いや・・・私は、今日も追放ショタを愛でまくる。   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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ヒサメ視点です


これからの行動

ルルが千年に一人の逸材である"マルチウィザード"であると判明したは良いものの・・・。ルルは、あまりの衝撃事実に固まってしまった。

 

 

そんな彼をそのままにはしておけないので、ヒスイと偉龍(ウェイロン)さんに頼んで神界の寝室に連れて行ってもらった・・・。そして、創造神様はマルチウィザードについて調べる為にどこかに行ってしまわれた。

 

 

つまり、この場に居るのは私とホムラとヒカリの三人だけという事になる。

 

 

そんな中、ホムラとヒカリが私に向かって質問を投げかけてくる。その質問は・・・私の想像していた通り、セルジオとかいう男についての事だった。

 

 

「それで?セルジオの野郎について、詳しく話してくれるんだろうなぁ~。御前の様子からして、下衆な事やらかしてたってのは確かみたいだけどな。」

 

 

「ヒサメ、嘘偽りなく話してくれ。仮にセルジオが不祥事を起こしたのなら、それは我等の責任だ。それ相応の裁きを、奴に与えねばなるまい。」

 

 

そう言いながらも、彼女達の身体からは溢れんばかりの怒気と殺気が溢れていた。・・・私は五大属性神の中でも最年少であるし、彼等に嘘を吐く義理も無いので正直に話す事にする。

 

 

「ルルから聞いた話でしかないんだがな・・・。ルルは、セルジオのパーティに一時的に入団していたらしい。」

 

 

「ほう・・・?意外だな、あの童がセルジオのもとに居たとは・・・。」

 

 

そう言いながら顎に手を添えるヒカリを一瞥した私は、気を取り直すように咳払いをすると話を続ける。

 

 

「・・・話を続けるぞ。先程も言ったが、これはルルの話だから確定した話ではない。だが、あの子が嘘を吐ける性格とも思えない。それを踏まえたうえで、今から話す内容を聞いてくれ。」

 

 

「あー。あのガキんちょは、騙すっていうより騙される側だよな。」

 

 

「まず、端的に言うとだな・・・。ルルは、セルジオのパーティから追放されたとの事だ。魔力が無いという理由でな。」

 

 

その私の言葉に、ホムラとヒカリは二人同時に眉を顰める。ただしそれは、今のところは嫌悪感からではなく純粋に疑問に思っているからこその顔だった。

 

 

「ん・・・?面妖だな・・・。あの(わらべ)は今でこそ魔力を有していると判断されたが、人間界では魔力適正が無いと判断されたのだろう?このような事を申すのは酷だが・・・そのような存在が居れば、意図せずとも噂は広まるだろう?」

 

 

「確かにな。つー事は、セルジオはガキんちょに魔力が無いと分かったうえで勧誘したって事だろ?じゃあ、なんで追放したんだ?追放するくらいなら、最初から勧誘しなけりゃ良かっただろ?」

 

 

そう疑問符を浮かべる彼女達に、私はルルが涙を浮かべながら話してくれた真実を口にする。すると、彼女達は呆けたかと思えば鬼の形相へと顔が変化していった。

 

 

「セルジオが、ルルをパーティに勧誘した理由・・・。それは、ルルを餌にして寄ってきた美女を囲う為だったらしい・・・。」

 

 

「・・・はぁ?おい、ヒカリ・・・。アタシの耳が、おかしく成っちまったのかぁ?馬鹿みてぇな内容が聴こえてきたぞ?」

 

 

「いや、貴殿の耳は正常だろう。我の耳にも、(たわ)けた内容が入って来たからな。・・・ヒサメ、それは(まこと)なのか?」

 

 

ヒカリのその問いに、私は厳しい顔をしたまま首を縦に振る。すると次の瞬間、神殿の辺り一面が紅蓮の炎で覆われ始めた。その魔力の出所は、もちろんホムラだ。そんな彼女は、いつもの軽薄な雰囲気は鳴りを潜めさせて憤怒の表情で炎を纏い始める・・・。完全に堪忍袋の緒が切れているな・・・。

 

 

「ざっけんなよ・・・!アタシがセルジオ・・・。いや、あの野郎に神ノ加護を譲渡したのは女を囲わせる為じゃねぇぞ!!」

 

 

そう叫ぶ彼女を、隣に居るヒカリが(たしな)めようとする。しかし、そんな彼女も大剣に雷魔法を纏わせながら唇を血が滲む程に噛み締めていた。

 

 

「ホムラ・・・。気を鎮めろ・・・。怒りに飲まれてはならんぞ・・・。」

 

 

「・・・っ!!ふぅ~っ・・・!・・・わりぃ、熱く成り過ぎちまったよ・・・。アタシの悪い癖だな。」

 

 

「いや・・・、我も危うく感情を(ぎょ)する事を忘れるところだった・・・。しかし・・・その様な話を聞くと、我の人の見る目の無さを痛感するな・・・。」

 

 

そう言いながら感情を抑え始める彼女達を見た私は、ホムラ達に質問を始める。それは、セルジオに対する処遇だ。

 

 

「それで、二人はどうするんだい?」

 

 

「無論の事、決まっている。セルジオ・・・、奴からは神ノ加護を没収する。」

 

 

その言葉に、私はホッとしたような気持ちになる。これで少しは、ルルの留飲も下がったかな・・・?・・・いや、あの心優しい彼の事だ。神ノ加護を無くしたセルジオを心配しだすんじゃないだろうな・・・。

 

 

そう私が考えていると、ホムラが私とヒカリに提案を投げかけてきた。そして、そんな彼女の表情は悪巧みをしているかのような表情だ。

 

 

「なぁ・・・、アタシから提案があるんだが。」

 

 

「・・・貴殿の提案だと?悪い予感しかしないが、聞くだけはタダだ。貴殿の案を申してみろ。」

 

 

「没収しないでおこうぜ、少なくとも今はな。」

 

 

その彼女の提案に私は首を傾げてしまったが、ヒカリはホムラに大股で歩み寄ると彼女の胸倉(むなぐら)を掴んでしまう。

 

 

「ホムラ・・・。貴殿はふざけているのか?あの愚か者から没収をせねば、あの童と同じ様に憂き目に合う者が増えるかもしれぬのだぞ!!」

 

 

「分かってるって!けど、アタシは言った筈だぜ!少なくとも、"今"は全没収はしないって!!」

 

 

「・・・どういう事だ?」

 

 

ヒカリはホムラの言葉に困惑している様だ・・・。だが、私はホムラの考えを何となく当ててしまう。何故なら、ホムラは神罰の類を行うときは、とにかく腹黒に成るからだ。本人曰く、『三度の美味い飯より、調子に乗ってるクズの転落っぷりと、悲痛な末路を見るのが好き』との事らしい。

 

 

「・・・ホムラ。まさか君は、セルジオの自尊心を粉々に砕こうとしているのかい?」

 

 

「ピンポーン!大正解だぜ!!」

 

 

そう悪戯が成功したような子供の様に笑う彼女に、私は思わず頭が痛くなってしまう。そして、ホムラの意図が分からないのかヒカリが質問を投げかけてきた。

 

 

「ヒサメよ。どういう事か、我に説明してはくれぬか?没収せん事が、何故にヤツの自尊心を砕く事に繋がるのだ?」

 

 

「簡単な事だよ。ひと思いに没収してしまっては、ホムラにとって面白くはない。だからこそ、ここぞという場面で一気に没収するんだ。奴の所属する『不死鳥ノ爪』は、破竹の勢いに乗っているパーティだ。それ故に、貴族階級との知り合いも多い。・・・名が知れれば、各国の王が集う会合に呼ばれるかもしれない。」

 

 

「それもそうだ・・・。・・・フッ、そういう事か。会合に招かれた際に、その場で魔族が襲い掛かって来たとする。自尊心の高い奴は、意気揚々と迎え撃つだろう。」

 

 

そんなヒカリの言葉に乗るかの様に、ホムラも自身の作戦を話し始める。

 

 

「だが、そんなクソ野郎に良い格好はさせねぇ。奴が魔族を迎え撃とうとしたときに、アタシらが神ノ加護を全没収する。すると、奴は面白い様に大慌てするだろうよ。まぁ・・・アタシの気分次第で、神ノ加護を緩急を付けて一時的に使えなくしたりするが、完全に全没収するのは野郎が会合に呼ばれたときだ!!」

 

 

「だが・・・そう都合よく、魔族が王達の集う会合に侵入するか?」

 

 

私の疑問に意気揚々と答えたのは、ホムラだった。しかし、彼女が放った次の言葉に私は呆然としてしまう。その内容は、あまりにも非現実的なものだったからだ。

 

 

「それに関しては問題ねぇよ、神界で捕まえている皇級魔族を放つからな!」

 

 

「・・・ハ、ハァ!?何を考えているんだ君は!!いくらセルジオに制裁を加えるからと言っても、無辜の民達も同席しているかもしれないんだぞ!!」

 

 

「大丈夫だって~。放つのは、アタシらの命令を聞くように調教した魔族だからな!」

 

 

「だが・・・。」

 

 

そう煮え切れない態度をとる私だったが、次のホムラの言葉にまたまた唖然としてしまう。

 

 

「それに、もしかしたらガキんちょも同席するかもしれねぇしな。」

 

 

「ルルが・・・!?」

 

 

「おう。なんてったって、正真正銘の千年に一人のマルチウィザードだ。今から鍛え上げりゃぁ、SSランク冒険者も夢じゃねぇよ。」

 

 

そんなホムラの隣で、ヒカリも彼女の提案に乗っかったように頷き始める。

 

 

「ホムラの申す事も、一理あるかもしれぬな。・・・だが、実戦を組まねば成長するものもせんだろう?それに、指導はどうするのだ?」

 

 

その言葉に私達はしばらくの間考え込んでしまう。そもそも、氷と水属性のセカンドウィザードが生まれなかったせいで暇をしていた私は兎も角、ホムラ達は何かと加護を付けたりで忙しいだろう。

 

 

(どうしたものか・・・。)

 

 

 

私も私で、氷と水魔法に関しては教えられるが、他の属性に関しては教える事が出来ないかもしれない。そんな、私達三人が頭を捻らせながら悩んでいると、後ろから創造神様の声が掛かってきた。

 

 

「話は聞かせてもらったのじゃ。」

 

 

「うぉっ!創造神様!!いつから、アタシ達の会話を・・・!?」

 

 

そう言いながら驚くホムラに、創造神様はなんて事もないような表情であっけらかんと御答えに成られる。

 

 

「つい、先程からなのじゃ。それにしても、マルチウィザードの子の修練方法で悩んでおる様じゃの。」

 

 

「はい。私は兎も角、他の四柱は多忙を極めていらっしゃいますのでどうしたものかと・・・。」

 

 

そう私が悩みを打ち明けると、創造神様は顎に手を置いた後にとある提案をしてくださった。そんな言葉に、私達三人は顔を見合わせる事に成る。

 

 

「では、極東の国・・・。ヴァルガンのダンジョンに行ってみるが良いのじゃ。」

 

 

「ヴァルガンのダンジョンですか・・・。それは、何故に・・・?」

 

 

「それは、着いてからの御楽しみじゃ。まぁ、向かって落胆する事は無い筈なのじゃ。」

 

 

そう断言する創造神様に、私は少し熟考してから頷く事にする。そもそも、私を含めた神は嘘を言わないし誰かを騙す事も無い。だからこそ、御互いの言葉を信用できるのだ。

 

 

「委細承知いたしました・・・。ルルを連れて、ヴァルガンのダンジョンへと向かおうかと思います。」

 

 

「うむ、それが良いのじゃ。それから、ルルにこれを着せてやってほしいのじゃ。」

 

 

そう言うと、創造神様は白い絹を私に手渡してくださった。それは、神々が着用している衣服の一種だった。

 

 

「宜しいのですか・・・?彼は、神ではなく人間ですが・・・。」

 

 

「よいよい、マルチウィザードの時点で人の理からは外れとるのじゃ。そのような子が、神衣を斬る事に何の問題があるのじゃ?」

 

 

「・・・承知いたしました、ルルも喜ぶ事でしょう。」

 

 

「うむ!では、ルルの所へ(おもむ)き人間界に向かうか否かを話してくるのじゃ!!」

 

 

その創造神様の声に頷いた私は、創造神様に背を向けてルルの寝ている寝室へと足を運んだのだった。

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