美人女神に転生してしまった俺。いや・・・私は、今日も追放ショタを愛でまくる。 作:雨を呼ぶてるてる坊主
クソ熱い日差しが照り付ける中、ヴァルガンという国の冒険者ギルドの依頼をこなす為に、この俺・・・セルジオは仲間と共に森の中を歩き進めていた。そんな後ろでは、俺のパーティの仲間達が付いて来ている。・・・そんな仲間達は、全員が俺好みの美女で編成されている。
僧侶であるリリカに、魔導士であるカリン。盗賊であるサギリに・・・最近パーティに入ったヨカゲという、元メイドの女アサシンだ。そんな俺の女達は、周辺貴族達からも認められるほどの強さをしている。
(このままいけば、王都に呼ばれる日がくるのも遠くねぇかもしれねぇな・・・。にしても、ヨカゲをパーティに入れて正解だったぜ。俺好みのミニスカメイド服を、躊躇いなく着てくれたしな。やっぱ、あのクソガキを追放して正解だったぜ。)
そう思いながら、俺はつい先日追放したばかりのクソガキを思い出す。名前は・・・、どうでも良いか。アイツは、女を寄せ集める為の撒き餌でしかねぇんだからな。そう・・・、俺があのクソガキと出会ったのは数年前のバーでだった。
当時の俺は、セカンドウィザードという類稀なる能力を持っていたにもかかわらずパーティの勧誘に手こずっていた。いや・・・、手こずってたあ訳じゃねぇ。俺のパーティに入ろうとする奴等は居たが、求道者の様なむさ苦しい野郎ばっかりで女が一人も居なかったからだ。
俺は、ただの勇者パーティを組みたいわけじゃなかった。俺の求める勇者パーティは、俺というセカンドウィザードを崇め奉ってくれる美女ばかりのパーティだった。当然、俺の様なセカンドウィザードが居れば女共は寄って来るだろう。だが、俺はもっと手っ取り早く集めたかった。
『クソッ・・・!どこかに、良い感じの餌は居ねぇのかよ!!普通の男じゃ駄目だ・・・、もっと騙しやすそうな自己肯定感の低くて女受けしそうな男だ・・・!!』
そう思いながら、俺は毎日の様に酒場や勇者パーティの集会所で撒き餌の用の男を探しまくっていた。本当は女を漁りたいが、そうも言ってられない。それに、女ばかり集めてたら警戒心を抱かれちまうからな・・・。
そう思いながら酒場を見渡していると、俺の目の前に一人のガキが目に入った。そんなガキは、白い髪をした背の低いチビだったが、その見た目は憎たらしい程に美しかった。だが、胸のサイズからして男なんだろうな・・・。
(チッ・・・。辛気臭そうな
そう思いながら、俺はそのガキに声を掛ける。すると、そのガキは驚いた表情をしながら俺の顔を見てきた。・・・チッ、女みてぇな面しやがって・・・!!これで、胸がデカけりゃ良かったんだがな・・・。そう思いながら、俺は作り笑顔を浮かべて話し掛ける。
『よぅよぅ!随分と、辛気臭そうな面してんなぁ!!折角の酒場なんだから、もっと楽しく飲もうぜ!!』
『だ、誰ですか・・・?』
『おっと!自己紹介が遅れちまったなぁ!!俺は、セルジオっつーもんだ!!聞いて驚くなよ、俺はセカンドウィザードの魔導士だ!!操る属性は、炎と雷だぜ!!すげぇだろ!!』
その言葉に、ガキは分かりやすいように驚いた顔をする。その表情を見た俺は、瞬時に扱いやすい類のガキだと判断する事が出来た。そこから先は、早く話が進んでいった。ガキの身の上話は退屈だったがな・・・。
一つだけ嬉しい誤算だったのが、このガキは魔力を扱えないらしい。魔力を判別する水晶に手を翳した際には、水晶が白く染まったらしいが、属性魔法が使えない事には変わりねぇ。つまりは、ガキが反抗したときは力づくで押さえつけりゃいい
そして、俺は不本意ながらガキと「不死鳥ノ爪」というギルドを立ち上げた。そして、俺の予想通りにガキの面に惹かれたのか、スタイル抜群の美女たちがごまんと押し寄せてきた。そして俺は、ギルドリーダーとして女共を選別する事によって、顔も身体も強さも一級品のパーティを作り上げることに成功した。
そうなれば、邪魔になって来るのはガキの存在だ。パーティーの女共は俺に対してチヤホヤしてくるが、それはガキに対しても同じだった。そんなガキを俺は追いだしたかったが、パーティーの女共は強さを求め続けたのか家事が出来ないという欠点を抱えていた。だからこそ、俺はガキを追放できずにいた。
『クソッ・・・。さっさと家事ができる奴を集めねぇと、女共が俺だけを求める様に成らねぇじゃねぇか!!』
そう考えながら数日が経過した。そんなある日、俺に加護を与えている神が祈りを聞いてくれたのかは知らねぇが、俺のもとに一人の女が訪れた。その女こそ、俺のパーティでアサシンを務めているヨカゲだ。そんなヨカゲは、俺と面談をしたときに自分が元メイドであるという事を明かしてくれた。そんな告白に、俺は心の中で舞い上がってしまった。
(よしっ!よしっ!!遂に家事ができる女が、俺のパーティに来てくれた!!これで、あの魔力の無い役立たずのガキともおさらばだぜ!!)
そう考えた俺は、その日の内の行動を始めた。夜中に俺はガキを自室に呼び出すと、ガキを追放する旨を伝えた。もちろん、他のパーティメンバーには何も伝えずにな。
当然のことながら、ガキは見る見るうちに慌て始めた。そんなガキに対して、内心爆笑しそうに成るのを堪えながら俺は圧を掛けてガキを追い出しにかかる。ごねるガキに対して、雷魔法を使って脅すと見る見るうちにガキの声は小さくなっていく。
(ハッハッハッ!!最高だぜ!女共にチヤホヤされて、調子に乗ってたみてぇだが御前は撒き餌でしかないって、ようやく理解したかよ低脳が!!)
そして、ガキが惨めったらしく出て行く様子を見届けた俺は自分の寝床に就いた。その日の夜は、いつもよりも快適に眠る事が出来た。
そして、数時間後・・・。野鳥のうるさい声で目が覚めると、俺の予想通り宿の広間では女共が大慌てをしていた。
「リリカ!ルルは何処に行ったのだ!!」
「私も、捜しているところよ!!カリンとサギリは見つけたの!?」
「あーしらも、捜しまくってるって!!おい、新入り!!・・・ヨカゲだったか!?お前は見つけたのか!?」
「私も、捜している最中で御座います・・・!!雪の精霊の様に麗しい子を、一目だけでも見たいと言いますのに・・・!!それに、その子はまだ子供なのでしょう!?リリカさん!その子は、魔法属性は持っているのですか!?」
「持ってないわ!!だからこそ、血眼になって探してるんでしょう!!」
そう言い合いながらガキを探す姿に、俺は少しだけ苛立ちを感じてしまう。追い出しても尚、女共の心を縛り付けるヤツに俺は怒りを覚えるが、リーダーとして女共を落ち着かせる。
「お前ら落ち着け!!無駄に探しても、時間と体力の無駄遣いだぞ!!」
「時間の無駄遣いってどういう事!?ルル君が居なくなったことについて、何か知ってるの!?」
「どういう事だ!?あーしらに、説明してくれよ!!」
「まぁ、取り敢えずは座れよ。一から全部説明してやるからな。」
そう言うと、俺は女共を座らせてルルが居なくなった経緯を話し始める。もちろん、嘘塗れの経緯だけどな。折角、俺だけのハーレムを創れそうなのに不満を買いたくは無いからな。
「さて、ルルの件だがな。奴は昨日、俺の部屋に訪れて今後について相談してきたんだ。『パーティを、抜けさせてください』って深刻そうに言いながらな。」
「どういう事だ?ルルは、毎日やりがいに満ちた顔をしていたぞ!昨日だってそうだ!!」
「サギリの言う通りよ!!パーティを抜ける前兆なんて無かったわよ!!」
女共はそう言ってくるが、この展開に成るのも俺は既に読んでいた。だからこそ俺は、スラスラと言い淀む事無く嘘を並べ立てる事が出来る。
「奴は、自分が魔力を使えない事に力不足を感じていたそうだ。そして、御前達には可愛がって貰っていたからな。そんな御前達に相談すれば、御前達は感情的に成ってルルを引き留めるだろ?特にカリン、御前みたいなタイプはな。だからこそ、冷静な判断を下せる俺に相談したんだ。」
「う・・・!!そりゃぁそうだけど!!金庫を見たら、ゴールドが減って無かったよ!!手切れ金も渡さなかったの!?」
「あぁ、俺も渡そうとはしたさ。だが、ルルはそれを断った。どうやら、自分が役に立てない事を物悲しく思ったのかは分からないが、死に場所を探していた様だ。近い内に死を迎える自分が持っていても、意味が無いと思ったんだろうな。」
「じゃ、じゃあ・・・。ルルという子供は・・・。」
そう口を押さえてショックを受けるヨカゲに、俺は作った表情で深刻そうに頷く。
「恐らくは、もうこの世にはいないだろう。」
「そ、そんな・・・。本日の早朝に皆様からは、料理が上手い子だと聞いていました・・・。その様な子と、肩を並べて料理を作る事を楽しみにしていましたのに・・・。」
その言葉に、俺は額に青筋が浮かびそうになるのを何とか堪える。どうして、あのガキは女共を簡単に堕としてしまうんだ!!そう思いながらも、俺は深呼吸をして落ち着いた顔を浮かべる。
「すまない、ヨカゲ・・・。俺がもっと強く、ルルを引き留めていれば良かったんだ・・・っ!!」
「セルジオ・・・。アンタの所為じゃないよ・・・。あーしらも、ルルの事をもっと気にしてやればよかったんだ・・・。」
「ルル君・・・。そんな・・・っ!!」
「クソッ・・・!!ルルッ!!」
そう悲しむ女共はガキの事ばかり口にしやがる。そんな様子に俺は苛立ちを覚えたが、ギルドリーダーとして女共を纏めに掛かる。
「御前達!!しっかりしろ!!・・・たしかに、ルルはこの世には居ないかもしれない・・・!いや・・・。魔力を持たない事から既に、この世には居ないだろう・・・っ!!だが、俺達にはルルに無念を晴らす義務がある!!ルルに恥じない働きを見せ、天寿を全うした暁にはルルに土産話を聞かせてやろうじゃねぇか!!」
本当はこんな事、欠片も思っちゃいねぇ。あのガキとあの世で逢うなんて死んでも御免だ。というか、魔力が無いせいで俺達の足を引っ張り続けてきたんだ。あのガキは、俺達に迷惑を掛けた罰として地獄に居るんだろうな!!
(だが、俺様は違う!!俺は、神に選ばれたセカンドウィザードだ!!つまり、死んでからは天界に行ける事は確定してるって事だ!!死んでからは、魔物に気を張ることなく悠々自適に天国ライフを満喫するか~!というか、俺に神託を授けに来た、炎の神と雷の神もイイ女だったよな・・・。神界に行ったら、あの二人の事も・・・。)
そう思いながら、俺は女共を纏め上げると宿を出てギルドの依頼の内容であるヴァルガンのダンジョンへと向かったのだった。
そして、ダンジョンに入ってから数時間が経過した。俺達のパーティメンバーは実力者揃いだ。ヨカゲも、アサシンという事も有ってか魔族を次々と倒していく。まぁ、一番多く魔族を倒してるのは俺なんだがな!
そんな俺達は、ダンジョンの最下層に到達した。するとそこには、皇級魔族が座っていた。そして、そんな魔族を見た俺は歓喜に包まれた。そこに居たのは、グレイブルという皇級魔族だったからだ。・・・どうやら、コイツがギルドからの討伐依頼対象のようだな。
「お前等!グレイブルが居たぞ!!」
「なんですって!?グレイブルって、皇級魔族の!?たしか、グレイブルの生き血を飲んだら不老不死に成れるって話よね・・・?」
「だが、皇級魔族だぞ・・・。無事に戦い終える事が出来るかどうか・・・。」
そう不安そうに話す女共に、俺は発破を掛けるかのように大声を上げる。
「心配するなよ!!俺には雷の加護と、炎の加護が付いてるんだぜ!!万が一にでも御前らが危なく成ったら、俺が御前らを護ってやるよ!!」
その言葉と共に、俺はグレイブルに向かってレベル4の雷魔法を繰り出す。すると、奴の身体に雷魔法が直撃する!!
「レベル4!!アーク・ライトニング!!」
「ギャォォ!!」
「ハハッ!どうだ!!俺様の、レベル4の魔法は!!」
俺がそう言いながら挑発すると、グレイブルの周囲に魔法陣が展開され巨大な炎の弾が襲い掛かって来る!!だが、俺には炎の神の加護もあるんだよ!!
「そのまま返してやるよ!!オラァァ!!」
そうして俺は、火伏の魔法を使ってそっくりそのまま奴に火球を御返しする!!すると、奴は苦しみながら地面に伏して悶え始める!!さぁ、そろそろ決めてやるか!!
「とっておきだ!食らいな!!レベル5!インフェナル・フレア!!」
そう呪文を唱えた俺は、地獄の業火を作り出す!!そしてそんな炎は、グレイブルの身体を焼き尽くすはずだったが・・・。奴に当たる直前でプスンと消えてしまった!!
「は・・・?インフェルノ・フレア!!」
しかし、俺の掌からはインフェルノ・フレアが発動はするが当たる寸前で消えてしまう。どういう事だ・・・!?神ノ加護はどうなってる!?そう考えていると、ダメージを受けてはいるものの、グレイブルは俺達に風魔法を当てようとしてくる!!
『貴様・・・。先程の勢いはどうしたのだ・・・?そっちから来ないというのなら、我の方から行かせてもらうぞ・・・!!レベル4・・・ウィンディングカッター!!』
その風魔法に危機を感じた俺は、何とかグレイブルの攻撃を避けるが風魔法の余波で天井にヒビが入り始める!!そして、そんな俺は女共の方へと向かうと撤退する道を選ぶ!!
「御前達、動けるか!?逃げるぞ、戦略的撤退だ!!」
「あ、あぁ!!・・・あれが、皇級魔族なのか!?レベル4の魔法を使っていたが、攻撃の規模はレベル4なんてものじゃなかったぞ!」
そう驚く声を上げるサギリに、カリン達も驚く声を上げる。そんな女共に対して俺は、逃走に集中するように声を上げる!!
「どう考えても、レベル5の威力でしょ!!というか、セルジオの魔法が何で当たる寸前で消えたの!?」
「余計な事を考えるな!!今は走って逃げろ!!」
そう話し合いながら、俺達は走り続ける。そして、ダンジョンを抜け出した頃には俺達の精神力は既に底を突いてしまっていたのだった・・・。
『バァーカ。女の目の前で良い格好出来なくて、残念だったな間抜け~。アタシの作戦、大成功~。』
ダンジョンの奥から吹いてくる風魔法の