煌めく翼のお姫様と、色褪せた瞳の王   作:りゅう_ツチホシ

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第三話に載っていたミカのステ振りを修正しました。誤字報告ありがとうございます。

Mika Misono
 生命力:60
 精神力:19
 持久力:50
 筋力:99
 技量:14
 知力:40
 信仰:42
 神秘:99


スマホ、おぉスマホ

 

 

 

ミカの屋敷

ミカの屋敷

ミカの屋敷

 

 

 キヴォトスに戻ってきた。そういえば今の時刻を確認していなかったと思い、時計を探す。壁に掛けてあった時計を確認すると、時刻は6時28分。ミカちゃんは起きているだろうか? 

 まあ、起きていればこの部屋にやってくるだろうと思い、早速持ってきた武器たちを飾る作業に入る。

 巨人砕き、遺跡の大剣、剣継ぎの大剣、指紋石の盾は床と壁に接するように置いた。棚に掛けられるほどの大きさでも重さでもないのは自明のことだ。

 王家のグレートソードを取り出し、じっと眺める。

 脳裏に浮かぶは、半狼のブライヴ。追憶が、戻るはずもないのだけど。

 ブライヴは、ラニの影従であった。たとえ運命に背いてでも、決して裏切らぬ味方であった。

 呪いとなり狂ってなお、ラニのために黒き刃の刺客を討ち果たしたブライヴ。だがそれも束の間、とうとう二本指の呪いに抗えなくなった彼は私に牙を剥いだ。

 ……あの時がとても苦しかった。メリナが滅びの炎に身を投げ、背律者ベルナールや獣の司祭グラングのような世話になった人と戦う羽目になり、エンヤ婆さんが死んだ後だったから。

 その後にエインセル河本流*1に行って色々頑張ったのに、あの様である。

 世界とは悲劇なのか……まあ、それがラニ一派の運命なのだと言うのなら仕方ないのかもしれない。

 感傷から離れるかの如く王家のグレートソードを側に置くと同時に、部屋のドアからノック音が聞こえた。

 

「アステリアさーん! 朝だよー☆」

 

「起きてるぞー。今出るからな」

 

 扉を開けて部屋を出ると、そこには毛先を遊ばせたままの、寝巻き姿のミカちゃんがいた。朝でも元気なようだ。

 

「おはよう、朝ごはんできてるよ。着替えてくるから先に食べてて」

 

「おはようミカちゃん。感謝する、いただくとしよう」

 

 案内された食事室で朝食を摂ることにする。テーブルの上に置かれた朝食のラインナップは、バターが塗られたトースト、小さめのサラダ、紅茶である。

 トーストを口に入れる。外側のサクサクした食感と内側のふわふわした食感が美味しい。バターのアクセントも効いている。

 新鮮な野菜たちが美味なのは言うまでもない。昨日も飲んだが紅茶も良い風味だ。トリニティでは紅茶が盛んなのだろうか。

 そうして食べ進めていると、昨日の白いドレスのような制服に着替え終わったミカちゃんがいつの間にかテーブルの真正面にいた。

 

「美味しい?」

 

「美味しい。良ければまた作ってほしい」

 

 そう言うと目線を逸らされた。あれ、もしかして料理が苦手なのか? しかし、もしそうだとしても頑張っている方だと思うが。

 

「まあ、レシピさえあれば私も料理はできる。ちょっとした恩返しのつもりでやらせてほしい」

 

「いいの? じゃあお願いしちゃおうかな?」

 

 私は頷いた。その後、ミカちゃんがテーブルに合流し、一緒に朝食を食べることになった。

 

「そうだ! 今日は貴方のスマホをを買いに行くのと、後は……午後にうちの友達が貴方と話をしたいんだって」

 

「なるほど」

 

「後は自由で良いからね! でも変な騒動を起こさないことと夜までには帰ってくること! いい?」

 

 私は頷いた。なんだか母親と息子のようなやり取りだ。……母とは、母から産まれるとは、皆そういうものだろうか……メリナがそう言っていたのをふと思い出した。

 

 一緒に食器の片付けをした後、色々身支度を済ませていざ出発となった矢先、ミカちゃんからこんな提案をされる。

 

「護衛みたいな感じで振る舞って貰えるかな? 私こう見えて結構強いんだけど、首長が襲われたら大変だから」

 

「いいだろう。……そうだな、着替えさせてくれ」

 

 さて、護衛に相応しき服装とは何だろうか。その結論を出すべく早着替え。褪せ人は早着替えの特技を持っているのだ。

 

「……わーお」

 

 それは何か? そう、レラーナシリーズである。双月の騎士、レラーナの着ていた豪華な鎧一式、銀鉄で作られた精緻な防具。

 褪せ人*2の私よりも長身で、魔術と剣技を合わせた魔術剣士であり、連撃が激しい強敵だったと振り返る。

 

「刺激が強すぎたか?」

 

「……あっいや!? ちゃんと似合ってるよ! それより早着替えもできるんだね? 魔術?」

 

「そうだな、早着替えは魔術というより褪せ人の特技だ」

 

「ふ〜ん。じゃあ行こっか! 早くしないと置いて行くよ!」

 

「待て! 急に行くな!」

 

 ミカちゃんの後を追って目的地へ向かうことになった。まったく、このおてんばめ。

 

 

 

 

 

トリニティ自治区

トリニティ自治区

トリニティ自治区

 

 

「こちらの機種ではなんと新機能がございます! その数──」

 

 つまり────何を意味する? 

 スマホとやらを買いに来たのだが、店員の文言が一切耳に入ってこない。知力80たる私が理解できぬとはな……新手の罠か? 

 スマホが多機能であることは辛うじて分かった。そんなものが量産されているのか? マジで? 

 ああ! 文明よ! 

 

「あっこれだ! 私と同じやつ! 機種はこれでお願いしまーす」

 

 意味不明な呪文によって危うく発狂(MADNESS)しそうになっている私とは違い、ミカちゃんはどんどん話を進めていく。

 気がつくと、既に彼女はスマホの購入と契約やら何やらを終えていた。

 

「はいこれ! 貴方のスマホだよ。分からないことがあったら私に聞いてね☆」

 

「感謝する。しかし文明とは素晴らしいな、扱いきれるか不安になってきたよ」

 

「じゃあ基本的な機能を一通り試してみよっか☆」

 

 一つ、写真を残せる。試しにミカちゃんとツーショットを撮ってみたが、瞬時に像が定着するのはなかなか衝撃的だ。

 二つ、遠隔で連絡を取れる。モモトークとやらを用いることで手紙のやり取りの上位互換を行える。凄い。

 三つ、灯りになる。ただ、周囲を照らすなら「星灯り」が有用だと思われる。

 後は地図にもなるとかインターネットで情報を調達できるとか。本当に多機能だな。

 

 さて、今はモモトークの設定をほぼ終えた所である。ステータスメッセージを設定しているのだが……

『王となれ』は違うな。私は既にエルデの王だ。

『貴方の目覚めが、有意なものでありますように』は指巫女が言いそうだ、私ではない。却下。

『それは、全てを焼き尽くす暴力』は明らかにダメだ。物騒すぎる。

To Tarnished. Welcome to Kivotos.(褪せ人よ、キヴォトスへようこそ)』これにしよう。これが私に相応しい。

 

 ついでにSNSとやらも始めた。名前は『名もなき瑠璃の騎士』──カーリア騎士から着想を得た。私が付けた名前あるじゃんねというツッコミは禁止。語感が大事なのだ。

 モモトークの交換と同時にSNSもミカちゃんと相互フォロワーになったのだが、なんと彼女のフォロワー数は100万人を超えていた。凄い。*3

 

 帰り道、せっかくだし校舎まで着いてきてもらおうということで、ミカちゃんに同行して路上を歩いていた。

 この図はどう見えるだろうか? ティーパーティーの首長たるお嬢様と、銀鉄の防具に身を包んだ女騎士。*4

 当然、行きも帰りも街行く人の注目を浴びた。どちらかと言えば私の方に視線が集まっていた気がする。

 校舎に着く間際、彼女は立ち止まった。鞄から何かを取り出している。

 

「これお昼代ね。すぐに使い切っちゃダメだよ?」

 

「10000」と書かれた黄色いカードを二枚受け取った。これがキヴォトスの通貨だろうか? 

 

「これは……通貨の類か?」

 

「うーんとね、キヴォトスの通貨は『円』だよ。このクレジットは代替通貨みたいな? まあお金のように使えるから安心してね」

 

 つまり私は無一文を脱したということだ。しかしミカちゃんがいくら富裕であろうとも、私が金を貰い続けているのは体裁が悪い。いずれ稼ぎ口を確保するべきだ。

 

「なるほど。世話になってばかりだな」

 

「いいのいいの! じゃ、また午後ね! 後で連絡するから!」

 

 またな、と返して校舎前で別れ、ミカちゃんを見送る。約束の時間まで私は自由になった。さあ、このトリニティを探索し尽くそうではないか。

*1
決して何かの流派ではない

*2
この作品では身長170cmを採用

*3
二回目

*4
実際は男だが




次回「おそらく元気、あるいは三人の生徒会長」
──トリニティは、褪せ人を歓迎しているのだろうか?
『賓客が参りました!我らの素晴らしい学園に!』


感想、お気に入り、評価ありがとうございます。

…誰か、俺の原作を知らないか… 水たまりに、落としちまったみたいなんだ で、原作って知ってます?

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