鬼のゲヘナ生   作:西林檎

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難産でございます。口調とか思考とかマジでむずいよ〜


13.言ってくれたらどんなにいいか 愛清フウカside

お昼タイムが少し過ぎてお客さんも少し減り始めた時、シレネから連絡が来た。15時ぐらいにいくからご飯ひとつだけ残しといてくれると助かるという内容だ。

 

手伝いをしない時はしっかり代金払うからいいけれど、偶にこうやって外れた時間にご飯を頼んでくる。ご飯を作りながらシレネのことについて思いを馳せる。

 

 

怪物。それがシレネについての聞いていた噂だった。一年生の時、同級生で狂ってる奴がいると聞いてどんな感じなのか気になって見に行ったことがある。

怖いもの見たさというのはやめた方がいいとわかるような経験をした。スケバンをジャイアントスイングしながら爆笑してた。そしてそのスケバンは見事に壁に刺さる形でぶん投げられた。

そして振り返って見えたその細い黒目の部分が細くなりながらこちらを覗きこむ。

 

こっっっわ

 

 

体を風が通り抜けた。風で塞いでいた目を開けると制服が見え、ゆっくりと上を見上げると先ほどこちらを見てきたシレネがいた。少し目を閉じただけだ。なのに、なんでこんな近くに。

 

「なぁ」

 

「なっ、なに!?」

 

少し口を開いた状態で見えた歯は全てが尖っていてこれに噛まれたらひとたまりがないなと一人思っているとシレネは目を細めながら、なにか思い出すように話しかけていた。

 

「あんた、一年だよな?」

 

「え、えぇ」

 

「ふーん、じゃあ一緒に飯食いに行こうぜ!」

 

「??????」

 

 

え、いや、なんか目を細めた状態で同級生か聞いてきたかと思えばいきなりご飯誘われたんだけど??なんで?ほんとなんで?

 

 

「ほれほれ!いくぞぉ!確かこっちに餃子屋があったはずだからよ!」

 

「ちょっ!?担がなくていいから!?歩けるから!降ろして!?」

 

有無を言わさぬ勢いで肩に担がれ連れていかれる。あの時は本当に意味がわからなかった。この後に何かあるのかと思っていたがなにもなく雑談(シレネがずっと話してた)をしてモモトークを交換して解散した。

 

 

それから私が給食部に所属してからもその交流は続いていた。ある時は給食部の手伝いに、ある時は美食会に連れてかれるのを止めてくれたり(偶に一緒にやってご飯作らされる時もあるがその時は給食部に代役が建てられてたりするからまだいい)してくれる。

 

そういう関係で遊んだりもするが、シレネには謎、いや、隠していることが色々とある。

 

まず一つ目に露出を極端に避けているということ。制服も初日に改造してスカートは長めにして下からニーハイを履いているし、上はしっかり長袖の制服に黒い手袋。私服もボーイッシュなズボンなどを履いていている。

 

最初は日焼けを気にしているのかと思っていたが、それならば顔をまったく気にしていないし、第一日焼け止めをすればいいだけの話だ。

 

次に体型を気にしているのかと思ったが服越しでもかなりわかるし、スタイル抜群で筋肉がよくついているように感じる。それがいやなのだろうか?いや、料理を手伝う時にそれ用の手袋を持参するとこからしてそんな理由ではないはず。

 

 

二つ目に昔話をしたがらないところ。今のシレネぐらいはっちゃけヒャッハーしてるなら中学から有名になっていてもおかしくないし、これほど強いなら昔噂に聞いた【雷帝】に目をつけられてそうだがそうでもない。

 

 

三つ目に不良を異常なほどに敵視していること。嫌いというより潰さねばならない相手というような感じがする。見つけると路地裏、広場、建物内関係なく突撃して伸ばす。

 

戦闘が近接戦の肉弾戦が主で、マシンガンを二回に一回はぶん回して拳はキヴォトス人を一発で気絶させるほど。笑いながら殴りかかってくる様を見た不良から天へとまっすぐ伸びるツノと正気を失ったように笑いながら戦うことから「笑鬼(しょうき)」なんて名前をつけられている。*1

 

 

だがこれらについて言及する気はない。というか一度やってもうしないように決めた。その時の反応だっていつもの陽気な感じではなく目を伏せてラーメンを啜り終わった後「さぁ、なんでだろう、ねぇ」とはぐらかされた。

 

しかし、あのような目をされてしまってはもう聞こうなんて思い浮かばなかった。だから、待つんだ。

 

彼女が自分から言いたいと思うまで、待ってあげるんだ。それが、彼女のためになる。彼女を守ることになる。だけど、それでも、

 

「少し、少しでもいいから、早く教えて欲しいなぁ」

 

こんな仲良くなったのに何も教えてくれないなんて、ずるいじゃん。

 

「…? どうしたんですか、フウカ先輩。いきなり」

 

あちゃ、声に出てたらしい。

 

「んぇ?あ、あぁ、いや、なんでもないよ」

「そうなんですか?本当に大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ。それよりもう人もほぼいないし、シレネのやつを作るから洗い物お願いしてもいい?」

「大丈夫ですよ!がんばってください!」

「そうするわ」

 

さて、もうすぐ来るだろうし、美味しいもの作ってあげなきゃね。

後この前の壁の弁償も。

 

「先輩」

「ん、どうしたの?」

「言いたいこと、聞きたいことがあるのなら、待ってばかりではいけませんよ。いつの間にか、消えてたりするんですから。」

「あれ!?全部声出てた!?」

「いえ、ただ顔を見ていてそんな気がしたので」

「そうだったのね…」

 

う〜ん、そんなわかりやすかったかな?しかし、早く聞いた方がいい、か。生姜焼きを作りながら、少し口を綻ばして話す。

 

「まぁ、近いうちに聞いてみるわ。答えてくれたらいいんだけど」

「大丈夫ですよ、きっと」

 

 

「きたぜぇーーー!!」

 

 

その瞬間第八生徒食堂にハスキーな爆音とスライディングしてくる満面の笑みの生徒がやってくる。おい、スカートでスライディングをするんじゃない。*2

 

その生徒、シレネは物理法則を無視するように滑りながら膝を伸ばして床を蹴り空中で一回転してピシッと着地して腕を上にぴっしりと伸ばしていた。そしてドヤ顔。

まったく(物理法則の)教えはどうなってるんだ、教えは

 

「シレネ、そんなことしなくても気づけるからしなくていいのよ」

 

「ハッハッハッ!さっきまでセナ部長に捕まって入院させられてたからな!」

 

「え!?それ大丈夫なの!?」

 

「なんのなんの〜擦り傷程度よ!だけどさ〜、それのせいで動きが少し変だったみたいでそれでバレて捕まっちゃった☆」

 

「ずっと捕獲した状態でいてくださいよセナさん…」

 

「ひどっ!?」

 

 

 

ああ、こんな元気でもいつの間にか消えてしまうことなんてあるんだろうか。だとすれば、早く聞かなきゃな。

 

 

*1
なお容疑者は容疑を否認しています。

「正気とかけて満足か、まったく…」

*2
オジキ…?




フウカ角に髪かかってるのって…いいよね

ミレニアムのストーリーに数話だけ、乱入するかどうかです。恐らくネルとバトる。あとネルかわかっこいい!

  • 乱入じゃぁ!!
  • エデン条約に乱入じゃあ!
  • 林檎はしっかり塩につけましょう
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