あゝ、素晴らしきかな異界の旅路よ。   作:サットンさん

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遅くなってごめんなさい。
改めましてこんちゃ、或いはこんばわ。サットンで御座います。
データがぶっ飛んでて直してたの。

こんな亀さん投稿にも読んでくださる方がいるのはとても嬉しいです。

余談ですがタイトルつけるのって難しいと思いません?
100話以上出している作家様方もいらっしゃいますが、本当にすごいと思うの。


Episode-03 ー影に潜むはー

レイヴァーが見事、試験官に勝利していたその同時刻。

 

城塞都市から更に北部。"人食いの森"と呼ばれる特殊な地域がある。

そこでは、魔獣が跋扈し日夜獣同士の殺し合いが起きる。

そして、生き残った怪物たちは、通常種のそれとは大きく逸脱した生命力や

特異な力を手に入れ、何故かヒトを積極的に食うようになる。

そんな悪夢の森の奥地、呪いの大樹を超えた先。

 

「だラァっ!!!!!」

 

何人かの冒険者が、強大なヘビと戦っていた。

 

「焦らないでッッッ!!首はあと一つよ!。確実に行きましょう!!!」

 

堅牢そうな板金鎧で全身を包み、大盾でヘビの薙ぎ払いを受ける女が吠える。

 

「ハッハッハァ!!!そう来なくっちゃなぁ娘っ子ぉッッッ!!!」

 

大槌で鱗を砕き、豪快に笑うドワーフの老男。

 

「....!。」

 

無口ながらも、性格に逆鱗を射抜くエルフの若者。

 

「マナが足りません!!解毒できないので、毒霧は喰らわないでくださいね!!先生、左ですッ。」

 

初老の回復魔術士が、注意喚起しながらポーションを混ぜ合わせる。

完璧な連携の取れたパーティだ。

彼らはとある依頼で遠路はるばる人食いの森を訪れていた。

依頼の難易度は金。非常に危険な依頼であり、彼女らのような一線級の冒険者パーティでなければ

受注すら許されない代物であった。

曰く、村が3つほど消えている。曰く、それは八つ首のヘビである。

曰く、それはヒト食いの森のヌシである。

ヘビとは、神話時代から存在する、龍の形損ない。人の欺瞞の象徴で

影に潜むもの。

身に過ぎる力を得たとはいえ、所詮はヘビ。

彼女達には、油断こそ無いが、侮りがあった。

しかし、8つもあった首は今や1つ。逆鱗を貫き、鱗ごと肺を潰し。

文字通り瀕死だったヘビが、遂に大地に伏せる。

 

「娘っ子、警戒は解くな。おい長耳のボン。周囲を警戒しつつ、離脱ルートを練ってくれ。血の匂いで魔獣が寄ってくる。」

 

「いいだろう...。」

 

ドワーフの老男は警戒を解かず、しかし戦闘後のほぐれた様子で指示を出す。

 

「先生。解毒のポーションです。おつかい下sッ!?

 

突如として、回復魔術師が倒れた。

あまりにも不意な出来事に、女重戦士も、老男も若者も反応に遅れた。

回復魔術師の首には、奇妙な形状をした短剣が刺さっている。

 

ガサガサガサガサッッッ。

 

「おいッッ、娘っ子ぉ!!!!。固まれぇ!!!ボンは援護ォ!!!」

 

老男による咄嗟の指示で、パーティは体制を立て直した。

しかし、茂みから出てきた1団に、女重戦士は声が震える。

 

「あの短剣って、先生」

 

「おうよ...密偵やら暗殺者やらが毒を仕込んで使うヤツだ...。頸動脈と脊椎...クソ、アンクは助からねぇな。」

 

回復魔術師は、すでに事切れているようで、土気色から一転して青緑のような肌色になっている。

 

御明察。流石はドワーフ。生まれた日から鍛冶師という諺が産まれるだけはある。

 

風に乗るような静かな声だった。

そして、次の瞬間にボルトが二人めがけて飛来した。

女重戦士が盾で防いだことで難を逃れるが、気配は増すばかり。

 

「「「「「「...。」」」」」」

 

姿を表したのは、黒いフードローブを深く被り仮面を身に着けた男たちだった。

苦々しい表情で、ドワーフの老男は呟く。

 

盗賊(ローグ)ギルドの掃除屋(クリーナーズ)かよッ」

 

盗賊ギルド、闇ギルドとは。非合法な手段や魔術。薬品を取り扱う派閥や

純粋に用心暗殺をメインにしていたりと、種類も豊富な違法ギルドである。

しかし、貴族の後ろ盾や強力なバックがついている場合が殆どで、

行政も根本的な排除ができていない。

 

盗賊ギルドはそんな闇ギルドにおいてほぼ最大派閥であり、薬物取引から

違法奴隷、果てには今回のような暗殺任務まで。

正しく、裏に巣食うネズミたちの王である。

 

カッカッカッカッ

 

ひときわ小柄なローブの男が、号令を出す。

 

「「「「「....!!」」」」」

 

刹那、音もなく掃除屋たちは前へ出た。

連携と統率の取れた動きは厄介で、それでいて見えづらい。

ヘビとの戦いで疲弊しているのもあり、苦戦は確実。

なにより、毒を用いている。だからこそ相手は解毒のできる人間を最初に仕留めたのだろう。

 

「ええぃ、老骨とて無駄死にはせぬわぁッッッ。ー微睡め泥濘め大地の精!!(ウォームデレクオーイ)ー」

 

老男が祝詞を唱えると、その長い編みヒゲに縫い込まれていた飾り紐が燃え、大地が泥濘んだ。

大地の精が老男の敵対者の足を取ったのだ。

何人かは頭も飲み込まれ窒息しているようだった。

 

「先生ッッッ!!」

 

女重戦士は悲痛な叫び声をあげる、しかし。

 

行かないカァっ!!!!バカモンッッッ!!!ボンと合流して脱出しろぉ!!。首や足!装甲の隙間を警戒しろぉ!!!!

 

エルフは真っ先に反応し、苦悶の表情で駆け出す。そして、

老男の怒号に涙を浮かべながら応え、エルフの若者の向かった方向へ女重戦士も走り出した。

 

「悪くねぇガキどもだった...」

 

...首刈り蹴り(サイクロンリッパー)

 

首を落とされた老男は、満たされた表情だった。

精霊術の効果が途絶え、沈んでいた何名かが浮き上がるが、死んでいるようで

そんなものには目もくれず、首領の小男は生き残った部下を連れて後を追った。

 

老男が死に絶えて、20分もしなかった。

 

真っ先に殺されたエルフの若者の眼の前で、

汚された挙げ句精神が壊れ、奴隷商に売り飛ばされたことを

知る由もないことが、老男にとって最後の幸運だろう。

1時間せずに、伝説の再来と謳われた

熟練の冒険者パーティは、壊滅した。

 

仕事を終えた後、首領の小男は深くため息をついた。

部下達は既に散っており、いまこの森にいるのは、彼一人である。

 

「後味が悪いなぁー。こういう依頼って。」

 

その声は、先程までのドス黒さが消えて、人懐っこさが窺える

子供のような声だった。

 

「こういう時は、お頭に褒めてもらうのが一番だよなぁ...」

 

子供のようなことを口にしながらも、的確に痕跡を消している。

魔法の痕跡はおろか、熟練の狩人でも判別できない精度で、物理的痕跡も除去した。

 

「さぁて、かーえろ。」

 

小男の気配が薄れ、消えた。

森には静寂のみが残り、不気味なほどいつも通りであった。

 

 

閑話休題ー

 

レイヴァーは、強烈な新人デビューを果たした。

今夜の酒場の話題はレイヴァーで持ち切りで、当の本人はというと。

 

「気まずい...。」

 

隅っこで一人飲みしていた。

アリエルはって?。

 

「これでどうだぁッ!!フルハウス!!!!」

 

「おお、なかなか良い手札じゃねぇか!!このウサギ嬢に一泡吹かせちまえ!!!!」

 

「残念だネ。フォーカード」

 

「「いやぁぁぁぁぁぁ」」

 

賭け事で更に稼いでいた。商人なのは伊達ではないらしく、見事な腕前で相手を

素寒貧にしている。現在4枚抜きだそうだ。

 

レイヴァーは、そんなアリエルの様子にため息を付くと、酒場の給仕に追加の軽食を注文。

そうして一人食事をしていると、小柄な人影が近づいてきた。

 

「ん、アリエルか?やりすぎると恨みを買うぞ....て、誰だ?」

 

深緑色の髪をした少年が向かって来た。

レイヴァーの眼の前まで来ると、そのまま彼の顔を見つめる。

怪訝な表情をしているレイヴァーをよそに、少年は名乗った。

 

「おいらは、チャンドラー!!。先輩冒険者だぜ。」

 

「レイヴァー・アンタレス。ジョブは重戦士だ。」

 

「重戦士!!いいねぇ~。大きくて頑丈そうだもんなぁ」

 

チャンドラーは気持ちの良い声で笑った。




遅れてごめん
亀さんがすぎるよね...
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