風紀委員会の仕事を終え、俺は部屋のシャワーを浴び、ベッドに入った。疲労が蓄積されていたこともあり、すぐに意識を手放した
夢の中で、俺は戦場に居た、銃弾が飛び交い、泥と硝煙の混ざったあの日の匂いが嫌でも思い出してしまう、この夢を見るのも何度目だろうか?戦争を終えたあの日から、何日が経っただろうか?酒を飲んで意識を無理やり吹っ飛ばした日以外、俺はこの夢を見続けていた、
嗚呼、また向かってくる、俺が殺した数々の兵の死骸が、銃を持ち此方へ迫ってくる、銃を撃っても止まることは無い、屍達は俺を同じ場所へ引きずり込もうと掴んでくる、抵抗する為にもがこうが、夢の中では体は動かない、そして、また
「今すぐ俺の傍から離れろ!」
嗚呼、また最悪な目覚めだ、背中が汗でぐしゃぐしゃに濡れている、息も荒い、「酒を飲もう、飲んで忘れよう」
震える手でウィスキーの瓶を手に取り、中身を飲む、暫くすると、やっと震えが止まった、あの時は生きる理由だとか言っていたが、これがなきゃ自殺するが正解だっただろうな、
シャワーを浴び、ソファに座る、空はまだ暗い、何をしようか迷っていると、また、あの夢を見そうに成る、忘れる為に適当に指を動かし、落ち着かせる、嗚呼、まだ時間はある
朝、自分の席に座り、本を読んでいると、銀鏡が喋りかけてきた 「ユウリ、大丈夫か?顔色が悪いぞ?」
彼女に心配されるなんて、相当やばいのだろう、これ以上心配されないように適当にはぐらかそう「大丈夫だ銀鏡、ちょっと疲れただけだ」
「そうなのか?あんまり無理するなよ?」銀鏡は心配そうな目で俺を見る、何故彼女は俺を心配するのだろうか、疑問だ、「あと、銀鏡って呼ぶのやめて」「……え?」
急激に話が変わりすぎだろ、てか別に良くね?なんでダメなん?俺の事嫌いなん?
「……何故?」「私は名前で呼んでるのにお前はずっと苗字で呼んでくるから、心の距離を感じる、これからも長い付き合いになるんだから、名前で呼べ、銀鏡って呼んだら無視するからな」「えぇ....(困惑)」
意味わかんねぇよ!別に苗字でも良いだろうがよ……
「分かったよ、銀鏡……あ、やべ銀鏡これはミスって」「………」「……イオリ」 「…なに?」「なんでもない」
はぁ、と溜息を吐く、なんなんだコイツは、理解不能って感じだな。せっかく顔は可愛いのに性格が残念だな、なんて思っていると、イオリが顔を近づけてきた、本当に近い
「今度はなんだよ」「ちゃんと寝てないだろ?目の下の隈が酷い、また夜中まで酒盛りしてたのか?」「してねぇよ、ただちょっと目が覚めちまったから、ずっと起きてただけだ」「ふーん」
早く顔を離してくれないかねぇ……やっとチャイムが鳴った
「じゃ、また後でね」「へいへい、また後で」
また面倒な授業が始まるなぁ
「……ろ、……い、起きろ、起きろ!」バゴッ「~ッ!!」
イオリは俺の頭を思いっきり殴ってきた、コイツマジでふざけんな!頭殴るのはねぇだろ!頭かち割れるかと思ったわ!流石の俺でも殴られたら嫌でも起きてしまう
「あ、おはよ」「おはよ、じゃねぇよ……痛ってぇなぁ、やるなら手加減してくれよ……」「寝てるお前が悪い」
反論できねぇからタチが悪い、いや、だからって殴るのはねぇだろうにな?
全ての授業を終え、帰宅準備を整えていると、イオリが来た
「ねぇユウリ、今日家行っていい?」「what?」
え、意味がわからない、何で?怖いんだけど、特に断る理由も無いから承諾はするつもりだが……意図が読めんのだか?
「構わねぇが、何で?」「なんでもいいでしょ」「良くはねぇよ」
強引な女だなぁ、これが相棒に対する態度かよ
「俺の家の中とくに何も無いぞ?」「ふーん」
ふーんってなんだよ……この野郎、てか、まず男の家に来ようとするなよ……
仕方なくイオリを案内しながら、自分の家に入れた
「意外と広いじゃん」「広いだけだ」
イオリをソファに座らせ、冷蔵庫にあったお茶をグラスに入れ、机に置く
「酒じゃないよね?」「客に酒渡すほど馬鹿じゃねぇよ」
「分かってる」
そのニヤケた顔、見ればわかるよ、俺を疑ってくれるのは構わねぇが、他人は巻き込まない主義なんだよ
「で、なんで俺の家に来たかったんだ?」「それは……ユウリが酒を飲んでないかのチェックの為に来た」
しまった、断ればよかったな、いや、こんなときのために俺は酒を隠しておいたんだ、余程の事がなければ、バレるはずはない!
「やっぱりあった」「え」嘘だろ、そんな早く見つけたのか?結構しっかり隠したはずだ
「他には無いよな?」「……」「今のうちに出したら委員長には黙っててあげる」「本当か」流石にこれをバラされたらヤバいので、隠していた3本を取り出し、イオリの前に置く
「煙草は?」「……吸いきりました」ワンカートンあったが数日で吸いきったよ、ちょうど今日買おうと思ってたらこうだよ……「……(≖_≖)ジトー」睨まないでくれよ、仕方ねぇだろうが、精神を安定させるためなんだからよ!
「とりあえず、この酒は捨てるよ」「もったいないぞ!?」
「これはユウリの健康のためでもあるんだから、文句言うな」「後生だよ、頼む!」「駄目だね」「……このゲス女め」
「なんか言った?」「いえ!何も!」「あっそ、じゃあね、また明日」「……また明日」帰りやがったよォ……俺の酒がァ……俺のォ
布団は気持ちいいな