元軍人は透き通るような世界観には似合わない?   作:暁の夢

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急がず慌てず犬になる


ブラックマーケットへ

このままゲヘナに戻るのもいいが、寄り道をするのもいいだろうな、

という訳でブラックマーケットへ行こう、何か良い掘り出し物でも探して家に飾るなりなんなりしようか

ブラックマーケットの事は全く知らないが、ほぼほぼ法律が存在しない事だけは噂で聞いていたので、一応のためにサブマシンガンを腰に装備して進む

着いてみると思った以上に巨大な場所だった、確かにこの規模は連邦生徒会でも手が付けられないだろうな

店をまわりながら良さそうな物を探してみるも一向に見つからない、それどころか使い所が分からない商品ばかりだ

よく分からない不細工な鳥?のぬいぐるみ、車のハンドル、虫のカードゲームなど、俺が求めているものは無さそうだなと、諦めようとしていたが、少し離れた所に古びた時計やがあった。

「いらっしゃい」

黒い犬の店員が素っ気なく言ってくる

中に入ってみると様々な形の時計が飾られていた、懐中時計、置時計、掛け時計などの時計がぎっしりとあり、これはいい買い物ができそうだと胸を弾ませながら、商品を吟味する

俺は歯車の飾りが付いている懐中時計を選び、カウンターに行く

「これを買いたいんだが、幾らだ?」

「幾らが良いんだ?」

逆に質問されてしまい、どう返すか分からなくなる、交渉なんてやったことも無い、どうすればいいんだ?

「あ〜……2万で」

「1万だ、そんなに貰えねぇよ」

「良いのか?こんなに良い見た目なのに」

「良いんだよ、そんなこと言うならおまけでどれか1つくれてやるよ」

そういうと黒い犬の店員は裏から箱を取りだし、中から幾つかのいかにも豪華そうな時計を出てきた

「ほら、選びな、どうせそろそろこの店も閉まっちまうんだ、時計好きの奴に貰われる方がコイツらも喜ぶよ」

少し寂しそうに言いながら、店員はカウンターに箱を置く

「どうせならもうこれごと貰ってけ」

「え!?だが、お代は……」

「良いんだよ、こんな高級なもん、俺も扱いに困っちまうからな」

「ただし、絶対に大切にしろよ?」

店員はにっこりと笑いながら言ってきて、こっちも笑顔になる

「ああ!」

せめて10万を払おうとしたが、すごく断られ、こっちが折れて箱を受け取り、店を出る、またいつか来れるなら来て色々買おうなんて思いながら歩いていると、不穏な話し声が聞こえた

「おい、あれお嬢様学校のトリニティの生徒だろ」

「ケケケ、人質にしたら身代金がっぽり貰えるんじゃないか?」

「よし、油断してる隙に気絶させるぞ」

なんて、2人のスケバン達が話していた

……はぁ、人助けなんて性にあわないが、今は気分が最高潮だからな、助けてやるか

近くに落ちていた鉄パイプを拾い、スケバン達の背後に周り、後頭部を思い切り殴って気絶させる

「……どうしようかねぇ、コイツら……そうだ!」

気絶しているスケバン達をゴミ箱に投げ入れ、その場を後にする、後はあの女に注意だけしておこう

「おい、そこの女」

「ひぃ!?」

後ろから話しかけたのが悪いのか、飛び跳ねて驚かれてしまう

「あ〜悪い、驚かせるつもりは無かったんだ」

「な、ななっなんの御用でしょうかぁ!?」

ダメだ、完全に取り乱してる

「1回落ち着けよ、ただの注意喚起だよ」

「注意喚起?」

「お前、トリニティの生徒だろ?今の時間は授業中のはずだが?」

「あはは……そ、それは」

これは抜け出した反応だな、世の中には随分とワイルドなお嬢様が居るんだな

「ったく、お嬢様学校の生徒がこんな所で何してんだよ、攫われたりしたらどうすんだ?」

「あうぅ……」

「け、けど貴方も抜け出してますよね?」

あ……そういえばそうだな、俺も抜け出してたわ

「俺は……まぁ、気付かれないしな」

「とにかく、俺はいいんだよ、で、お前さんは何しに来てんだ?」

「それはもちろんブラックマーケット限定のペロロ様のぬいぐるみがでたからです!」

「……ペロロ様って?」

「ペロロ様をご存知無いのですか!?」

うわぁ……これは面倒なタイプの奴だなぁ、適当に受け流すのも大変そうだ

「これがペロロ様です!」

「へ〜これまた不s…いい見た目だなぁ!」

おっとっと、人の好きなものを否定するのは頂けないな

「そうですよね!!」

「あ、あぁ」

「それよりも、早く帰った方が身のためだぜ?」

「俺はゲヘナだぜ?トリニティのあんたが俺みたいな奴と関わってると面倒なことになるぞ」

「そ、それは確かに……」

「さっさと用事を終わらせて帰りな」

「はい!」

「えっと、お名前を通してお聞きしても……?」

「俺は市野ユウだ、よろしく」

「私は阿慈谷ヒフミです」

咄嗟に嘘をついたが、知らない人には本名は隠した方が良いからな、仕方がない

「念の為、連絡先は渡しておくから、道に迷ったり、面倒な奴に絡まらたら連絡をよこしてくれよ?」

「はい、色々とありがとうございました、ではまたいつか」

「へいよ」

さてと、俺もあと店を数件まわったら帰ろうか

「バイクとか買いたいな、歩くのは面倒だし、義手とかも燃費悪いしなぁ」

それこそ車屋とか無いかな、なんて探していると、出店のような感じで色々な物が売っている所があった

あそこで近くの車屋の場所でも聞くか、なんて思い、近づく

行ってみると古びているがどれも使えそうなバイクのカスタムパーツが売られていた

バイクを買ったら、ここでパーツを買うのも良いかもな

「すんませーん」

「へいへい、どうした?」

奥から老いた店員が出てきた

「ここら辺に車屋って無いすかね?」

「おぉ、あるけど、なんでや?」

「バイク買いたいんすよ」

「お、丁度ええやんか!」

そういうと店員が奥に行ってしまった、なんでやろか?

「おい、にぃちゃんや、中古やけんけど、こいつはどうや?」

店員が奥から戻ってきたと思ったらバイクを押して戻ってきた

「どうって?」

「いや、コイツを貰ってくんねぇかい?」

押してきたバイクは少しホコリは被っているが、丁寧に扱われていたのだろう、傷も無いし塗装も剥がれていない

「良いのか?」

「かまへんかまへん、どうせもう儂は乗れないしな」

「なんでです?」

「歳だよ、昔はよくコイツに乗ってそこら辺を走ってたが、もう判断能力も鈍ってしまったんや」

「……ほんとに貰ってええんすか?」

「ほら、さっさと受けとんな」

「いや……だが、アンタの相棒だろ?」

「確かに名残惜しいが、今の儂には宝の持ち腐れだ」

「それに、コイツも誰かに乗ってもらいたいだろうしな」

「じゃあ、ありがたく貰うよ」

「まいど、ほら、手入れの工程が書いてあるメモだ、使いな」

メモを受け取り、中を見るとびっしりと文字が書かれている、何度も消した跡も残っているし、余程大切にされていたのだろう、今日からコイツが俺の相棒か、ボディに触れ、その実感を噛み締める

「そうや、カスタムパーツ何個かオマケしたる、選びぃや」

「じゃあ、これとこれとこれで」

荷物を入れる皮のバッグと銃を取り付けるパーツ、取り外せるナイフを貰い、バイクに付ける

「ありがとよ。貰ってくれて」

「礼を言うのはこちらだ、こんなかっけぇもん渡してくれよ」

「じゃあ、また来るよ」

「おお、じゃあな」

バイクに跨り、エンジンを吹かす、綺麗な音と共にエンジンが掛かり、準備万端な状態になる

別れの挨拶をして、公道に走る、免許だけ取ってまだ持ってなかったから初めての運転だ、体に当たる風を楽しみながら、ゲヘナへと向かっていった

 

 

自分のマンションの駐車場に置き、部屋にいく

「ただいま」

「ユウリ、何処に行っていたんだ?」

部屋に入って早々イオリの圧が強いなぁ……

「そりゃ学校だが?」

「じゃあその手に持ってる箱はなんだ?」

「あ」

そういや、言い訳考えてなかったわ、クッソ!!!!

「あ〜これは……その、ね、貰い物だよ、貰い物」

「へ〜誰からの?」

「あっと、その……アイツだよ!アイツ!」

「アイツって?」

マズイぞ、言い訳が思い付かねぇ、いつもはすぐ思いつくのに!!

「あと、さっきバイクで帰ってた来てたよな?」

嘘だろ、見られてたんやけど、もう言い訳ができねぇぞ!?

ど、どうしようか……どうにかして、この状況を打開しなければッ!

「ほら、早く言えよ?」

ジリジリとイオリが詰め寄ってくる、逃げてぇなぁ

「嘘を吐く訳無いよな?」

「あ、あぁ勿論だ、う、嘘なんか吐かねぇさぁ!」

「じゃあ何処行ってたのかちゃんと言え」

「うっ…ブラックマーケットに行ってました」

「……」

イオリの圧が怖い、笑顔なのがもっと怖い

「ユウリ!」

「は、はい!」

「今から説教だ!」

「はい……」

この後3時間程説教をされ、完全に意気消沈したユウリでした

 




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