僕のヒーローアカデミア 電脳獣プライガVSフェイザー 作:サツキタロオ
多分現在一番強い奴らの戦い。
「はあっ!!」
ユウカが拳を振り下ろすと、地面が爆ぜるように砕け、亀裂が蜘蛛の巣のように広がった。
破片が宙を舞う中、オルペウスは身軽に後方へ跳び、建物の屋上へと駆け上がる。
「逃がさないわよ――!」
ユウカは両肩の円盤ジェネレーターを切り離し、展開させる。
次の瞬間、紅蓮のビームが迸った。
オルペウスは身を翻して回避し、爪を閃かせながらユウカへと急接近。
「なっ……!」
ユウカの身体に爪が叩きつけられる――だが、鋭い金属音とともに、爪の方が砕け散った。
「!?」
「そこよッ!」
ユウカは即座に拳を握り、肩のジェネレーターを再接続。
炎を纏った拳を叩き込むと、オルペウスの身体が火花を散らして吹き飛んだ。
(先生と一緒に特訓しててよかった……!)
熱気の中で、ユウカは小さく息を整える。
――その頃。
「やっぱり、空の飛行は最高だな!」
タオは上空で唸り声を上げ、ツカサを執拗に追っていた。
そのスピードは音を裂き、空気が白く弾けてベイパーを引く。
「ったく、速ぇな……! ――なら!」
ツカサは振り返りざまに急制動をかけ、脚部スラスターを全開。
反転蹴りを叩き込み、タオを地面へと叩き落とした。
「チッ、硬いな…。」
タオは砂塵を巻き上げながら立ち上がり、咆哮を上げる。
その身体から青黒いノイズが吹き出し、再び突撃してくる。
「ユウカ! 一気に決めるぞ!」
「了解です、先生!」
ユウカは両肩のジェネレーターを切り離し、旋回させながらオルペウスとタオの進路を塞ぐように配置した。
二体がその中央へと引き寄せられた瞬間――
右腕から紅蓮のノイズが奔流のように収束していく。
「――はああっ!! レッドガイアイレイザー!!」
轟音とともに灼熱の閃光が奔り、ジェネレーターのビームと共鳴して眩い爆発を巻き起こす。
炎と衝撃波が街の一角を飲み込む中、ツカサは一歩前に踏み込み、剣を構えた。
「……行くぞ! ブラックエンド―― 」
刃を振り抜くと同時に、空間が歪み、黒い渦が生まれる。
「――ギャラクシー!!」
ブラックホールのような球体が放たれ、爆心地ごと切り裂かれる。
白と黒、紅と蒼――幾重もの爆光が重なり、タオとオルペウスを包み込んだ。
「っ……これで……!」
爆煙の中から、二体の装甲生命体が吹き飛ばされる。
その身体表面に走るノイズが弾け、苦痛にうめくような低い咆哮が響いた。
「よし……効いてる!」
「エネルギー反応も低下しています!」
しかし――
次の瞬間、ツカサとユウカの身体にもノイズが走り、ファイナライズ形態が不安定に揺らぎ始める。
「まずい……限界か!」
「先生、これ以上は危険です! 撤退しましょう!」
二人が姿勢を立て直したその時――
警報音と共に周囲のビルから警察車両とヒーローたちが一斉に集結してきた。
「そこの装甲生命体! 動くなッ!!」
「ヒーロー庁からの指令だ! 即刻拘束する!」
警官とヒーローたちが包囲する。
ツカサは短く舌打ちし、ユウカと視線を交わす。
「……あれが、この世界の“プロヒーロー”ってやつか。」
「どうします、先生?」
「決まってんだろ。今は逃げる!」
ツカサはユウカの手を掴み、背部スラスターを展開。
黒い閃光が走り、次の瞬間、二人の姿は音速の衝撃波とともに消え去った。
爆煙の中に残されたヒーローたちは、ただその残留ノイズを見つめるしかなかった。
そして、遠く離れたビルの上空――タオとオルペウスの姿も、同じように姿を消していた。
………………
翌日――。
朝のニュース番組やネット配信では、昨日の戦闘映像が繰り返し流されていた。
空港に続き、市街地でも確認された二体の装甲生命体。
街を破壊する映像にテロップが躍る。
『新たな装甲生命体が現れ、ヒーロー・ヴィラン双方と交戦!』
『装甲生命体1号・2号、政府が危険指定へ!』
『謎の黒と赤の存在――味方か、敵か?』
スタジオのコメンテーターが真剣な表情で語る。
「ヴィランだけでなく、プロヒーローにまで攻撃を仕掛けるとは前代未聞です。」
「分析によれば、彼らの戦闘力はA級ヒーロー数名に匹敵するとのことです。」
その報道は、雄英高校にも届いていた。
教室では生徒たちが一斉にニュース映像を食い入るように見つめる。
「これ……本当に人間がやってるのか?」
「ヒーローを倒してるぞ、あの赤いの!」
「ヴィランでもヒーローでもない……第三勢力、ってこと?」
そして教師たちも騒然としていた。
特にオールマイトをはじめとするベテラン勢は、ただならぬ事態を感じ取っていた。
「……装甲生命体1号と2号。」
相澤が淡々とモニターを見つめながら言った。
映し出されるのは、街を蹂躙する二つのシルエット。狼と鷹を模したアーマーを纏う二人の男女。
「政府は両者を“危険存在指定A”に分類した。発見次第、厳重に対処するよう通達が出ている。」
教室の空気が一気に重くなる。
「装甲生命体は未知のエネルギーを持ち、人命への危険性が極めて高い。発見しても決して接触しないように。」
相澤の声は冷静だったが、その裏に潜む警戒と緊張は生徒たちにも伝わっていた。
爆豪が苛立ったように机を叩く。
「下手に出れば返り討ちか…」と轟。
デクは拳を握りしめ、画面に映る狼の影を見つめた。
「……あれが、ただの敵とは思えない。」
ヒーロー側が動き出す一方――。
同じ頃、ヴィラン連合のアジトでもニュースが流れていた。
「……チッ、こりゃあ面倒な奴らが出てきやがったな。」
死柄木が歪んだ笑みを浮かべる。
コンプレスが肩をすくめ、「下手に近づくと俺たちまでミンチだ」と吐き捨てた。
「ヒーローもヴィランも見境なし、か。」
スピナーがぼそりと呟く。
「……俺たちの敵は、ヒーローだけじゃなくなったってことだ。」
……………………………
「なるほど……だから俺らが呼ばれたわけだな。」
狼の耳と尻尾を揺らす少年は、ソファにもたれかかりながら気怠げに受話器に向かって言った。声には半ば面倒くさそうな軽さが混じっている。
『悪いね。こちらは引き続き獣化制御プログラムの改良と、ウイルスバスターの開発に専念するよ。そっちでタオとオルペウスの捕獲を頼めないかな?』
受話器の向こうの声——アキラの冷静な指示が、室内に静かに響く。
「……だるっ。でも分かったよ。終わったらいろいろ奢れ、プロキシ。」
少年はそう言うと、電話を切る仕草をした。
「……電話終わった?」
鮫の尾を持つ少女が、腕を組んで彼を見下ろすように訊く。口元には少しだけ笑いが浮かんでいた。
「ああ。とにかく、なんとしてもプライガとフェイザーを止めるぞ。」
少年は軽く拳を握り、視線を固める。
窓の外、街はまだ不安の余波を引きずっている——その先で何が起きるか、誰にもわからない。
次回はオリジナルのヴィランが出る予定です。
判明したプライガとフェイザーの元ネタはエグゼ6の電脳獣達です。