テンヨ・ザ・ブラッド   作:天縛(あましば)

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結構前にストブラ×呪術廻戦で一話だけ投稿してて、見返してたら終わりのセラフも組み込みたいなって……()
まーた衝動に身を任せて作ったので続きは未定。


聖者の右腕Ⅰ

 ここは、本土から遠く離れた小さな島。

 とある1人を除いて、住む者も訪れる者も存在しない秘境の地。

 

 そんな場所に、世にも珍しい来訪者が1人……

 

 

  やっと見つけました、先輩!」

 

「……」

 

 

 来訪者の名は  姫柊(ひめらぎ)雪菜(ゆきな)

 獅子王機関の見習い剣巫(けんなぎ)であり、昔ちょっとだけ世話をしたことがある奴だ。

 

 

「何の用だ姫柊。ここにはお前が出なきゃ行けない様なのは居ない筈だ」

 

「私が出ないと説得されてくれない先輩が1人居るから派遣されて来たんですよ」

 

「はっ、お偉い様ってのは悪どいなぁほんと」

 

 

 むすっとした顔でこちらを見つめる姫柊。

 なんだ、俺はこいつを使えばお願いを聞いてくれる存在だとでも思われているのか。

 だとしたらそいつはお門違いってもんだな。

 

 

「残念ながら禪院家(じっか)とは喧嘩中だ。お前に頼まれたって受けてやるつもりはない」

 

「そうも行かないのが今回の任務なんです」

 

「へぇ?」

 

 

 そうも行かないってのは、どういう解釈だ?

 その辺に引き篭ってる真祖でも殺ろうってのか。

 

 

「何せ、伝説の中でのみ語られていた存在……"第四真祖"、その対象の観察及び抹殺が私達に課された任務になります」

 

「!」

 

「流石の先輩でも、驚きましたか」

 

「……まぁ、多少な」

 

 

 成程、そう来たか。

 ……姫柊んとこと禪院家、奴らはどこまで把握してんだ?

 

 

「今回の任務には禪院家から真希(まき)さんと先輩が、獅子王機関からは私が派遣されることになっています」

 

「真希が?」

 

「はい」

 

「正確には、真希さんにもしもがあった場合の保険として私と先輩がいます。伝説の真祖が相手ですから、念には念を入れたいと」

 

「成程、よくやる」

 

 

 真希が死んだら俺達が出張るし、そうじゃなければ……ってとこか。

 じゃじゃ馬が都合の良い当て馬に進化してるとは、笑えるな。

 

 

「真希さんには本家の霊具庫から霊具を、私には雪霞狼(せっかろう)が支給されています」

 

「で、俺は持ってるもん使えと」

 

「そうなります」

 

 

 面の皮が厚いジジイだ。

 よくもまぁしれっと俺を使いやがる。

 

 

「まあ良い、俺らはいつその第四真祖とやらの元へ向かうんだ?」

 

「先輩の都合が良ければ、今からでも向かうことに」

 

「……」

 

「先輩?」

 

 

 絃神島(いとがみじま)は、確かこっち方面だったな。

 ……どんな面の奴だったかな、第四真祖は。

 

 

「……ま、"あいつ"の覚悟に泥を塗る様な真似したら叩っ切ってやるよ」

 

「なぁ、"真昼"」

 

「え……?」

 

 

 ……拗ねてんなあいつ。

 もう何年も使ってねぇからって無視されるとは思わねぇが。

 

 


 

 

「は、吸血鬼を襲う通り魔だぁ?」

 

「みたいです、それを対処する為に真希さん達は色々と調べ回っていると」

 

 

 時は馬鹿みたいに飛んで、現在地は件の絃神島。

 船に乗った時間が悪かったのか今は夜で、俺と姫柊は街を歩いている。

 姫柊がじゃじゃ馬……真希からの報告を俺に伝えて来る。

 

 

長老(ワイズマン)クラスがやられたってなると、相当厄介な案件だな」

 

「どうしますか、先輩」

 

「何で俺に聞くんだよ」

 

「? 私は先輩の判断に従います」

 

「……そうかい」

 

 

 と言われてもな。

 現場の仕事なんて何年振りになるか。

 

 

「じゃ、まずは高いとこにでも行くか」

 

「わかりました」

 

 

 ……ちったぁ疑問を覚えて欲しいなぁ俺は。

 

 

「よぉく見える、相変わらず良い街じゃねぇか」

 

「……」

 

 

 流石魔族特区、あんだけ散々な目に遭ったってのに、もはやその面影はどこにもねぇ。

 んで、その通り魔は……っと。

 

 

「青髪と、神父で良かったよな?」

 

「その筈です」

 

「じゃあ見つけたぜ」

 

「!」

 

 

 ここからずっと真っ直ぐ行った先、公園の辺りか。

 そこにそいつららしき2人組がいる、距離は大体4キロってとこか。

 

 

「先に行くから、お前はお前の速度で来い」

 

「えっ」

 

「話が本当なら戦闘になるだろうからなぁ、こっちに来た時に疲れ切ってたらお笑い種だろ」

 

「ま、待って下さいせんぱ  !」

 

 

 そう伝えて屋上から飛び跳ねる。

 この島で吸血鬼を襲うなんざ碌なこと考えてませんって言ってる様なもんだ、さっさと片付けるに限る。

 

 

「"屠坐魔(とざま)"」

 

 そう唱え、俺の側にある何もない出口から霊具を取り出す。

 ビル伝いに最短距離を通ってるからか、目標はもう目と鼻の先だ。

 

 

「はっ!」

 

 

 そうして俺は、奴等の目の前へと姿を現した。

 時間にして大体……5分か、俺も衰えたな。

 

 

「何者ですかっ!」

 

「ただの凡人だよ、殲教師」

 

 

 見て分かった、こいつはロタリンギアの殲教師だ。

 それならこの凶行の理由も何となく予想が付く。

 

 ……武器を片手に人間が落ちて来たからか、随分と警戒されている。

 

 

「そう警戒すんなよ。ただ質問があるのさ」

 

「……」

 

「テメェ、この島にある聖遺物が狙いだろ?」

 

「そういう貴方は……!」

 

 

 相手のおっさんもこっちを見て何かを悟った様子。

 

 

「"術師殺し"……! 巷では死亡説も出ていましたが、所詮は噂ということですか!」

 

「……」

 

「幾人もの敵対した魔術師を殺し、若くして伝説となった日本の怪物が、何故この忌々しい島にいるのです!」

 

「お褒めに預かり恐悦至極だか、それに応える義務はねぇ」

 

 

 悪い名前ってのは顔と共に覚えられるもんなんだな。

 まあロタリンギアの殲教師を相手にしたこともある、因縁はあるわな。

 

 

「今日はテメェが獲物だぜ」

 

「っ……良いでしょう。私も術式の試運転をしようと思っていた所です……アスタルテ!」

 

 

 命令された青髪の方が前へと出て来る。

 随分と嫌な気配を漂わせてんじゃねぇか。

 

 

命令受諾(アクセプト)

 

 

 機械的な言の葉が紡がれ、青髪の圧が増す。

 ……出す武器間違えたかぁ?

 

 

執行せよ(エクセキュート)薔薇の指先(ロドダクテュロス)

 

「!」

 

 

 現れたのは、半透明の腕。

 ……眷獣じゃねぇか。

 予想を斜め上に上回って来やがるが、こいつは吸血鬼には見えねぇ。

 

 

「随分と生き急ぐなぁ、おいっ!」

 

 

 巨腕の一薙ぎを避け、霊具を振るうが  

 

 

「ッ!」

 

 

 鈍い音と共に、屠坐魔の刃は弾かれた。

 ……確かに硬ぇみたいだが、弾かれた理由は別にあるな。

 

 

「妙な術式(もん)で着飾ってんじゃねぇか」

 

「ええ、先日実に参考になるものを拝見させてもらいましたからね」

 

「……そういうことかよ」

 

 

 奴が青髪の眷獣に纏わせているのは、神格振動波駆動術式  詳しい仕組みは知らんが、つまるところ魔力を無効化する術式だ、現物なんてそう多くねぇ。

 そんなもんを"拝見した"なんて言うんだ、候補はそりゃあ絞られる。

 

 姫柊の雪霞狼、俺の方に向かっていたであろうあいつには無理だ。

 つまりはもう一つ、禪院家が所有する特級の霊具。

 

 

「真祖殺しにゃ打ってつけだろうがね、そりゃあ」

 

 

 十中八九天逆鉾(あまのさかほこ)、引くほど旧式の神格振動波駆動術式が刻まれたオーパーツを見たんだろうよ。

 真希の奴も相当面倒なもん渡されてるじゃねえか。

 

 

「ははは! 有効打がありませんか! 術師殺し!」

 

「まさか」

 

 

 そりゃ屠坐魔じゃちと厳しいが。

 ……復帰戦に癖の少ない霊具を選んだのが仇になったな、俺単体じゃもう暫くは他の霊具は出せない。

 

 

「ま、問題なし。叩っ切るさ」

 

「強がりを! やってしまいなさいアスタルテ!」

 

「薔薇の指さ  !?」

 

「やっちまいな、姫柊」

 

 

 無駄にお喋りしてたわけじゃねぇんだぜ、殲教師。

 ……それにしても結構早かったな、流石といった感じだな。

 

 

「雪霞狼!」

 

「っ!」

 

 

 銀の槍が巨腕に刻まれた術式と衝突して、金切音が鳴り響く。

 

 

「急拵えの術式じゃ、本物には耐えられんだろうぜ」

 

「アスタルテ!」

 

「っ! ぁ……」

 

 

 巨腕が押し負けて、青髪が吹き飛ばされた。

 

 

「……今は引かせてもらうとしましょう!」

 

「ん  

 

 

 流石こんなとこにまで来る殲教師か、随分と用意が良い。

 ……変な匂いのする煙幕だ、鼻も効かねぇな。

 

 

「先輩」

 

「無理だな、今は得策じゃねぇ」

 

 

 鼻が効かない程度で追えなくなる様なもんでもないが……俺が今追ったとしても、寿命を削り続けている青髪が捨てられる可能性が増えるだけだ。

 あいつを捕まえるにゃ装備が悪過ぎる。

 姫柊じゃ追うのが難しい、だから得策じゃない。

 

 

「……」

 

『私を使う?』

 

「すっこんでろ、もう少し後だ」

 

 

 ここぞとばかりに出て来た奴をあしらう。

 まだだ、今使っても"確か"じゃない。

 

 

『ふふ、楽しみにしてる』

 

「そうしとけ」

 

「先輩?」

 

「何だよ」

 

「……いえ、何でもありません」

 

 

 何だか不服そうな後輩を他所に、こうして波乱の一日目は終わった。

 復帰早々にこれとは、今後が大変そうじゃねぇか、第四真祖?




水面を走るのに必要な速度は秒速30メートルらしいです。
それを分速にすると大体1800メートルになります。

……主人公だいぶ衰えてますね()
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