異能 作:リン
中国で光る赤子が生まれ、そこから世界に超常が広がった超常黎明期。でも、個性因子と呼ばれるものとは別の、血を原基とした“異能”が存在した。
だがその“異能”が、4カ月間世界を完全に支配していた。個性犯罪を含めた犯罪事件、事故、見た目や個性の有無による差別、戦争、これらが何も起こらなくなった。
人々はこの期間を“三半期の夢幻世界”と呼び、これを起こしたものを“顔の無い巨人”と呼び、恐れられていた。
個性と異能
『今日は俺のライブにヨウコソー!エヴィバディSay HEYYYY!!』
拝啓、お母さんへ。高校に入学する前からボッチになりそうです。
こんな陽キャのヒーローが教師やっているとか、生徒も陽キャに決まってるだろうふざけるのも大概にしろ。なら自分も陽キャになれるのでは?
そんな事は置いておいて、只今
ヤバい。とにかく人が多すぎる。よくこの人数を一箇所に集めようと思ったな…声が通りやすいプレゼントマイクが試験官をやってるのはいいとして、説明の会場を分けようとは思わなかったのか。
あっ、流石に実技試験の会場は分けるみたい。
えっ?あのメガネ君に注意されてたこモジャモジャ頭君、アレまじ?あっすみません前の人!わざとぶつけたんじゃなくって!
◆◇◆◇◆
「はいスタートー」
んえ?何?アレが合図?
「どうしたぁ!?実戦じゃカウントダウンなんざねぇよ!走れ走れ!サイはとうに投げられてんぞ!」
うわマジなんだ…
ん、よかった。開場前に待機させておいたカラス達にはまだ“かかってる”ね。久々にここまでするとは言え、さすがに鈍っていないようで安心した。
周りが慌てて動き出した。サバンナとかの草食動物たちの群れみたい。私が扱っているのはカラスの群れだけど。
しょーもないことを考えながらカラス達をそれぞれロボットの近くまで移動させる。
「標的発見!ブッコロス!」
わぁ試験用とはいえ物騒なことを言ってんな。どうやらカラスが操られていることには気づいていないようで、こちらには目もくれず目の前の受験生に銃口を向けている。
しかし、その銃口から弾丸が放たれることはなかった。カラスが一鳴きすると、不可視の力がロボットに襲いかかった。知性体を標的とした魂を揺らすような膨大な感情の波が襲いかかる。
何も対策をしていない人ならば問答無用で失神してしまう。今はロボットのみに対象を絞っているが。いくら機械とは言え、これに耐えられず動きを完全に止めてしまった。
カラスの視界を通して呆然としている受験者を傍目に次の目標を探す。すると、
ドゴンッッ!!
わぁー、アレが0ポイントギミックかぁ。いやアレヤバいでしょ。倒す必要がないというか、倒せない感じじゃん。巻き込まれたら怪我程度で済むの?いつどこに出てくるとか警告しないと下手したら死人が出るんじゃ?
急いで0ポイントギミックへカラスを向かわせる。図体はでかいしうるさいから声が届かない。もっとカラスを集めないと。
えぁ!?モジャモジャ頭君!?すっごぉ、一撃でぶっ壊しちゃった。両足と片腕も壊れているみたいだけど…やっぱり
あっ試験終わっちゃった…
◆◇◆◇◆
「今年は豊作ね〜」
「3位の子はヴィランポイントのみで、9位の子はレスキューポイントのみの合格。いい対比になっているな」
「まさか0ポイントギミックを破壊するとは…」
「でもやっぱり一位の子でしょ!ヴィランポイントだけで300ポイントもあるよ!」
「こいつの個性は“精神干渉”か。カラスを操るまでは良いとして、仮想ヴィランの動きを止めるたは一体どういうことなんだ?非生物も対象にできるのはかなり強いな」
「確かに。でもこういう系の個性はよく分からないことが多いのは仕方ないよ。本人に訊けばある程度教えてもらえるでしょ」
「2位の子は“飛翔加速”ね。えっ!?!?この子“個性”じゃなくて“異能”じゃない!1位の子は相性があるとは言え、異能に勝ったって言うの!?」
「コレまでも“異能”持ちが受験していたが、全て首位合格だったな」
「ますます1位の個性が気になるな」
主人公は一体どんな能力なんだろう(すっとぼけ)