異能 作:リン
4月というのは、様々な別れや出会いがある(かも知れない)季節。
しかしながら私は小学校中学校に友達が全くいなかった。読心が出来るという個性の特性上、拗らせに拗らせまくった結果まともにコミュニケーションが取れなかったのである。
高校デビューをすべく、気合を入れて教室に向かう。
デカい!説明不要!いや教室の扉がデカいんよ。まあたぶん異形系の個性とかのための物なんだろうけれど。
駄目だぁ緊張するぅ…
「あっ!えええっと確か、カラスを操ってた人!」
「ひゃい!にゃんでしょうか!?」
「えっと試験の時に最後まで走り出していなかったのを見かけて…ああああと僕の名前は緑谷出久って言います!合格おめでとうございます!」
「ありがとうございます?わ、私の名前は面那 紫乃です。と、とりあえず中に入りましょう!」
地獄みたいな会話だ…コミュ障同士を会話させてはいけない。なるほど理解した。
扉を開けて入ると、ヴィランみたいな子と入試説明の時に緑谷くんに注意していた、メガネ真面目っ子が言い争いしていた。
やっぱりヒーロー科に来るぐらいなら変人でも仕方ないのかな?その場合だと自分も変人になってしまう。こんなのと同類に思われるなんてゴメンだよ。
「あーっ!」
「うひっ!?」
「わわっ!?」
コミュ障に背後から話しかけるのは命に関わりかねない。そのことをしっかりこの子には把握してもらわなければ!
ってかこの子緑谷くんにビンタしてた子じゃん。
方言少女って可愛い。
「うわ!?先生きてんじゃん!さっさと席に着こうよ!」
「え?先生なんてどこn「ここだ、ヂュッ」
何この芋虫。え、この人が担任とかマジ?ヒーロー科って本当に変人しかいないじゃん。不審者だと思って読心かけたらまさかのまさか。
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
超常が常識になった弊害で変人が常人になってしまったのか。こんな社会は正さねば…!(ステイン並感)
危ない、黒歴史が顔を出してきた。ぐぁぁぁぁ……
「じゃあさっさと体操服に着替えてグラウンドな」
あれ?入学式とガイダンスは?
◆◇◆◇◆
「「「個性把握テストぉ!?」」」
ジャージに着替えてグラウンドに集合すると、相澤先生がそんな事を言い出した。
これは中学校では、素の身体能力のみで体力テストを行っていた。が、今回は個性をフル活用して同じ測定をするということだ。
…これ有利不利がもろに出るけどその辺も織り込み済みであって欲しい。
「面那、だと非合理的か。じゃあ次席の
あっ私スルーされた。まあ身体強化出来ないし妥当っちゃ妥当だな。てか異能持ちがいると思ったら次席の子なの!?一応気づかれていないから大丈夫なはず。
うわっ、あのヴィラン顔の子めっちゃ見てくる。あれで人殺せるんじゃないかな。個性は死神の目ってか?それだと名前と寿命が見えるやつか…
「35mです☆」
「んじゃ、個性、じゃなくて異能使って良いから今投げてみろ」
「バカヤローー!!」
バカヤロー?何か嫌なことでもあったのだろうか?
記録は7000m越え。結構正確な操作してるね。射出時の時速が約1000kmで、斜め45゜だとしたらまあ妥当な結果だろう。空気抵抗とかいろいろあってもここまで飛ばすなんてすごいな。
個性を自由に使えることでテンションが上がったのか、「面白そう」と言った人が居た。すると先生の何かに触れたのか、とんでもないことを言い出した。
「よし、総合成績が最下位の者は見込み無しとして除籍にしよう」
「「「はぁぁぁぁ!?」」」
あっだめだ。どうやら本気らしい。サヨナラ私の高校生活。
過去にどんなやらかしをしたってここまでのことされる必要ってありますか神様。私しっかり心を入れ替えてまじめに生きようと意気込んだばっかりなのに…
「生徒の如何は先生の自由……これが雄英高校ヒーロー科だ」
流石にいくら自由とは言え限度はあると思います先生。
【第1種目:50m走】
「よーい…ドン」
「9.5秒」
「面那ちゃんは個性使わないの?」
「私のは身体強化とかは出来ないから多分今日でサヨナラだよ…うぅ…」
「ええ!?でも私も透明なだけだからこのテストは不利だよ〜」
「私は運動神経もないから…」
「えっと、その、頑張れ?」
【第2種目:握力】
「20kg」
「貧弱すぎない!?」
「はいはい私はクソザコナメクジガガンボですよ〜だ」
「ええ!?そこまで自分を卑下せんでも、てかガガンボって何?」
【第3種目:立ち幅跳び】
「155cm」
「おい面那、そんな体でヒーローになるつもりか?とにかく体力をつけて貰わなけりゃやってけないぞ?」
「すみませんすみません!除籍しないでくださいぃ!」
【第4種目:反復横跳び】
特にコメント無し
【第5種目:ボール投げ】
「20m」
「面那ちゃん、もうそろそろヒーローっぽい記録出そう?」
「いや、無理そう」
「逆にどうやって首席合格したんだか…」
「ていうか次席のえっと、疾飛ちゃんってあの“異能”持ち何でしょ!」
「まじかよ、面那の個性めっちゃ気になる〜!」
「そういえば緑谷くんの個性って何か知ってる?」
「ああ、えっと確か片腕両足壊してたよ」
「超パワーみたいな感じか…うまく制御できてないってこと?まるで個性が発現したての子供みたい」
その後一悶着あって持久走や上体起こし、長座体前屈も恙無く終わった。フィジカルがキングオブクソザコナメクジガガンボな私は、記録が超常黎明期以前の11歳の少女と同程度の記録しかでなかった。
トータル成績はもちろん最下位。私は泣きながら荷物をまとめに向かおうとした。確かに4月は出会いと別れの季節なんて言ったがここまでとは思わなかった。
「うう、みんなぁ…首席合格したくせに初日で除籍されるような人間でごめんよぅ…次の高校で頑張るからぁ…」
「先生!女子を泣けすとはどういう了見だ!オイラは女子を泣かすやつは教師であろうと権力者であろうと許さねぇぞ!」
「ちなみに除籍は嘘な」
「は?」
「えっ?」
「「「はああああああっ!?」」」
あれ?本気でやるかと思ったけど!てか私の覚悟返して?この流した涙はどうすりゃいいの?完膚なきまでの最下位なのに先生の心理が分からない…