根源的恐怖「因果の悪魔」   作:紅琳檎

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公安編


Case2-END,Bomb A Head!!!

――貴方にとって最高のバディとは?

 

「あァ? バディ……まぁレゼだな! お互い死なねーからやりやすいったらねーぜ、斬っても効かねぇ悪魔もそれなりにいるしな!」

 

――では、貴方にとって最も恐怖の存在は?

 

「コエーのはキレたレゼ! 近付く前に爆発させられっし、俺のクセ知ってるから先読みで爆弾置かれてすーぐボロボロにされちまう。 キレさせなきゃいい? そりゃホントその通り」

 

 

――では、そのバディが操られて敵対していたら?

 

 

「レゼブッ殺して悪魔ブッ殺して生き返らすだけだろ。 そんでもだめなら……まぁ、仕方ねぇ。 レゼ殺して俺も死ぬかァ」

 

360°全てが白で埋められた空間。

胡座をかいて座り込んだデンジに、何処かから質問が飛んでくる。

 

(こりゃー俺にもわかるぜ、クソ面接の悪魔とかだろ)

 

質問の悪魔という、問によって対象の恐怖やトラウマを煽り自身を強化させ捕食する、実体をほとんど持たない珍しいタイプの悪魔だった。

銃の悪魔の肉片を得たため、手当たり次第に精神を取り込んだのだが、デンジという随分とハズレくじを引いてしまっていたようだ。

 

(こ、このデビルハンター、1ミリたりとも俺を恐れていない……普通は大切な存在との殺し殺されなんて、動揺のひとつはするだろう……!?)

 

――では、

 

「もーいいだろ。 お前が何聞いたところで俺はレゼのことしか考えてねーし、今後他のこと考える予定もねーんだ」

 

左胸のスターターに指をかける。

慌てた様子の質問の悪魔を聞き流し、己の心臓となったチェンソーの悪魔……ポチタに心の中で問いかけた。

 

(なあポチタ。後悔してるか? こんな終わりが来ねーだけならまだしも、何度も出会っては別れてを繰り返す世界をよ)

(俺は後悔してねーぜ。 始まる前から糞みたいな生まれの時もありゃ、金持ちに生まれることもあんだ。 そのときゃポチタも高そうな犬になってたりするのは笑えるけどな)

(人生の数だけ、色んな人間と、美味い飯に出会えんだ。 もうしばらくは飽きそうにねーや)

 

「俺ぁ満たされてんだ。 ここにポチタがいて、隣にレゼがいて、周りにゃマキマさんもアキもパワーもいる」

 

スターターを引く。

ヴヴン、と2ストロークエンジン特有の起動音と共に、頭蓋と腕を割り、チェンソーが生えて来る。

血潮はガソリンで、オイルで、それを燃やしてやってくる地獄のヒーロー。

甲高い駆動音と恐怖を煽るチェーンの音に、質問の悪魔は悲鳴を上げる。

 

「チェ、チェンソーマン!!??」

「運が無かったなァ……!! テメェ斬ってさっさと昼寝の続きすンだよ俺ぁ!!」

 

唸りを上げるチェンソーマン。

何も無いと思われた空間に振り上げられたチェンソーにより、質問の悪魔は真っ二つに斬り分けられ絶命した。

 

「次があったら覚えときな。 ツエー悪魔は結構臭うんだぜ」

 

 

 

「……んぉ?」

「起きたか。 身体はどうだ?」

「おー……? 特になんも。 気持ちいい目覚めだぜ」

 

目が覚めたデンジを見下ろす早川アキ、パワー、レゼ、マキマの4人を不思議そうに眺める。

ふと時計が目に入ると、午後の休憩は遠に過ぎており、まさか寝過ごしたかと飛び起きようとする。

 

「え、あ! 俺、寝過ごした!?」

「良いから寝てろ! お前、昼寝してる時に悪魔に襲われたんだ。 覚えてるか?」

「なんか、クソみてーな面接してきた悪魔のことかァ」

「……ああ、質問の悪魔かな? 大事な人とか、その人を殺すことになったら、みたいなこと聞かれなかった?」

「そうそう、それです」

 

マキマによって補完された情報をメモに取り、後でもう少し詳しく聞くから寝ていろと、アキは足早に去っていく。

 

「アキ! これ持ってけ!」

 

呼び止めたデンジは、いつの間にか握り締めていた銃の悪魔の欠片をアキに投げ渡す。

振り返り目を見開いたアキは苦しげに、しかし大事に欠片を握り締めながら、去っていった。

 

「にしてもよォ、みんな揃ってどうしたんです?」

 

デンジがマキマに聞けば、彼女は口角をにんまりと上げ、目も細まり、所謂ところの悪戯な笑みを浮かべた。

彼女のそんな表情は初めてで、デンジも少しドキリとしてしまった。

 

「デンジくんが質問の悪魔に囚われてる間の会話、あれね。 実は全部デンジくんの口から喋ってたんだよ」

 

は、とデンジは珍しくフリーズした。

それはつまり、なんだ。

レゼのことしか考えてないとか、なんなら心中まですると、それが聞かれたと?

 

「熱烈な告白じゃったのぉ、デンジ……くっくっく」

「て、てめ、パワー!」

「ギャハハハ!! デンジの告白大公開じゃぁ!! まずは公安で全体放送せねばな!!!」

 

扉を蹴破る勢いで飛び出していくパワーを見送ることしかできず、デンジの伸ばした腕は虚空を彷徨う。

 

(まァいいか。 別になんもウソ言ってねーし)

 

気を取り直したデンジが手を引っ込めようとしたとき、少し冷たい、細い指が絡められた。

耳も首も顔も真っ赤にして、なんだか目も潤んでいるレゼだ。

お邪魔だろうから帰るね、とマキマ。

突然の二人きりに、デンジはごくりと生唾を飲んだ。

 

「あー……レゼ?」

「あ、あははは……いや、ね、その」

 

「ホントに、一緒に死んでくれるの?」

 

(真っ赤になりながら言うセリフでもねーけど、なんだこれ、糞みてーにバカカワイイな)

 

「約束すんぜ。 いざってときゃ、一緒に死んでやるよ」

 

感極まったレゼに押し倒され、ベッドの軋む音に看護師が怒鳴り込むまで、あと数分。

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