Re:コネクト 境界線上の英雄たち   作:gp真白

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真王国の鍵

「論理に欠損があるとき、人類はそれを『恐怖』と呼ぶ。貴方様の知識は、その欠損を埋めることを恐れている。」

 

三国王会議の後、主人公ライオネルは閻王国に戻らず、単身で真王国の学術都市へと向かった。アルテミスが持つ解析データと戦略的知恵は、魔族の次の動きを知り、シオンの孤立の壁を崩すために不可欠だった。

真王国の都市は、閻王国の武骨さとは対照的に、洗練された白と青の石材で築かれていた。すべてが厳密な論理と幾何学に基づいて設計されており、感情や不確実性を排除しようとするアルテミスの哲学を体現していた。

ライオネルは非公式なルートで、アルテミスの研究棟へ侵入した。彼女は円形の広大な演算室で、無数のホログラムディスプレイに囲まれ、一人静かに魔力データを解析していた。

 

「無礼な侵入者。閻王国の者は、秩序と論理を理解できないのですか?」アルテミスは顔を上げず、冷徹な声で言った。彼女の冷静さは、ライオネルの存在すら、予測されたノイズの一つとして処理しているようだった。

「私はライオネルです。あなたの演算室に、最も効率的な答えを探しに来ました。」

 

アルテミスはここで初めて、彼に視線を合わせた。「効率的? あなたが三国王会議で説いた**『奉仕の哲学』は、最も非論理的で非効率的だと演算されました。あなたの『力』は、私たちの『知識の境界線』**を越えるに値しません。」

 

「その『知識の境界線』こそが、今、人類を滅亡へと導いている」ライオネルは強く反論した。「あなたは、グラディウスの支配の力を恐れるあまり、自身の解析データを孤立の檻に閉じ込めている。その行動は、ゼノスの**『人類の愚かさのデータ』**を補強しているだけです。」

 

アルテミスの細い眉が微かに動いた。彼女は、ライオネルの言葉が持つ真実の重みを無視できなかった。

 

「私の知識は、安全を求める論理に基づいています。あなたの哲学は、命を懸けた不確実性に基づいている。不確実なデータに、私は時間を割けません。」

 

ライオネルは、アルテミスの哲学を崩すには、彼女の論理体系そのものに、決定的な「欠損」を提示するしかないことを知っていた。彼は、頭の中にある台本知識の中から、彼女が最も興味を持つであろう、魔族の解析データに関する重大な矛盾点を抽出した。

 

「一つだけ、あなたの演算に存在しないデータを提示しましょう。」

 

ライオネルは続けた。「レガトゥスを撃退した際、私は彼の魔力属性の**『ある欠陥』を利用しました。その欠陥は、あなたが解析した『魔族の構造に関する論理』と完全に矛盾しています。この欠陥は、通常の論理では無視される**データです。しかし、それは、魔族を打倒する鍵となり得ます。」

 

アルテミスは、演算を止めた。その瞳に、初めて驚きと探究心の光が宿った。彼女にとって、論理的な矛盾は、存在しないはずの真実を意味した。

 

「その情報源は? あなたの**『非論理的な直感』**ですか?」

 

「いいえ。これは、命を懸けた戦場でしか得られない、最高の戦術的価値を持つデータです。」ライオネルは、バルカスというNPCの命を賭けて手に入れた情報だと、暗に示した。

 

アルテミスは一瞬、目を閉じた。彼女の頭の中で、ライオネルが提示した**「矛盾する欠陥」**が、彼女の持つ既存の解析モデルと激しく衝突しているのが見て取れた。

「...もし、そのデータが真実であれば、私たちの知識体系は根本から揺るがされます。それは、私たちが信頼してきた論理の限界を意味する。」

 

彼女は立ち上がった。「ライオネル。あなたの非論理的な命の賭けが、私たちの論理の境界線に挑戦している。その欠陥を私に提示しなさい。もしそれが、私の演算を破綻させるほどの『矛盾』であれば、私はあなたに、真王国の全ての解析データを提供する約束をしましょう。」

 

アルテミスの探究心は、安全という境界線を一時的に超えた。彼女は、知識が支配のためではなく、真実の探求のためにあるという、PCの**「奉仕の哲学」**の核心に引き寄せられたのだ。

ライオネルは、真王国の鍵を握ったことを確信した。彼は、次に起こる展開と、アルテミスが直面する**「論理の限界」**を知っていた。

 




第7話 完
第7話では、主人公がアルテミスの**「知識の境界線」に挑戦し、魔族の弱点という「論理の欠損」**を提示することで、彼女の協力を得る足がかりを築きました。
次は**第8話「パンドラのデータ」**で、主人公が提供したデータがアルテミスの演算を破綻させ、彼女の哲学に決定的な変化をもたらす展開を執筆します。
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