はるか短しプロローグ
人は眠る間に夢を見る。夢は、その人の叶えたいと思う夢や目標を『夢幻』として私に見せてくれる。
ここには、何もないけれど。たったひとりで、皆の夢を見る。それの、どれほど美しく、愛らしく、羨ましいか。
この前見た夢...ソフィーの夢は、私の見た『夢』の中でも一際輝いていた。優しくて、明るくて、とても強い夢。
会いたい。そう願わずにはいられなくて、このエルデ=ウィーゲに彼女を招待した。許されないと知っていても。
悪いことをしちゃったかな、とちょっと落ち込んでいると、不思議な夢が見えてきた。
ソフィーの夢は、暖かくて、優しくて、とても強い。思わずひかれてしまう夢だった。けど。
「...大丈夫?」
そう、思わず声をかけてしまうくらいには、寒くて、悲しくて、すぐにでも壊れてしまいそうな夢だった。
「あなたこそ泣いているけど、大丈夫なの?」
ビックリしてしまった。もし私だったら、そんな夢を見ていたら怖くて声なんか出せないのに。
「これはね、あの....私が悪いことをしちゃったかもしれないからで...あっ、ラミゼルには言わないでね?」
「ラミゼル?....いや何言ってるかわかんないんだけど。声は可愛いけど光の球体にそう言われても」
そうだった。神様っぽくしよう、あと人前に出るのは嫌だな、というので見えなくしてたのだった。
じゃあラミゼルにはバレないからいいか。
「こほん。...あのね、聞いてほしいことがあるの」
「なに?」
「あのね、あなたの夢を叶えるお手伝いをしたいの。それでね――」
ソフィーには何にも言わないでこの世界に連れてきてしまったけれど、この子は強くないから、多分駄目だ。
わたしの『夢』と、お願いを、いっぱい時間を使って説明した。呆れたような顔をしていたけど、途中からはちゃんと聞いてくれていた。やはりいい子だ。
「...どう?」
「...私、物作れないけど。いいの?」
「モノじゃなくても....お友達が欲しいとか、平和に暮らしたいとか、そういうのも『夢』の一つだから。それにね」
「あなたの夢が私は大好きだから、嫌じゃないなら、同じような人々と一緒に頑張ってほしいなって」
「...終わりにはちょうどいい、か。うん、いいよ」
「本当!? やった、今度はうまく誘えたわ!これならラミゼルも怒らないわね!」
「だからラミゼルって誰だよ」
きっと、この子はいい子だ。とても素敵な夢を持っている。ただ、他の子よりも困難で、脆い夢。諦めたらそれを受け入れるのがエルデ=ウィーゲのルール。
帰りたいというのなら受け入れる。けれど、どうか、良き夢を。願わくば。
「みんなと仲良くね!」
「子供か」
いつか、あなたがいっぱい笑える日が来るといいな。
「ここがエルデ=ウィーゲ...綺麗な空と空気、植物もある。人工物は多いけど...うん。いい場所だ」
余生を過ごすには、もったいないくらいだ。
次回からソフィー一行との邂逅です。