エルデ=ウィーゲの人里、夢を抱く多くの人々が集うロイテールの町。
中央広場には様々な店が出ていて、鍛冶屋さんから素材屋さんまで、錬金術の修業にはもってこい。
そこから南に進むと、アイテムの複製をしてくれるピリカさんのお店がある。錬金術というのはとにかく素材とコル*1が必要で、歴史的には鉛を金にする触媒である賢者の石を生み出すことが目的だったはずなのだが、本末転倒なほどの時間と資源が必要な点は、この学問の如何に凄まじいことなのかをうかがい知ることができる。現に、レシピはあるけれど、そのほかの点は才能や勘頼みな所は否めない。
そんな様々なものの結晶である錬金物なわけだが、多種多様な素材を組み合わせてつくるという工程上、同じアイテムを作成しても付与される錬金効果が異なる場合がある。これは素材の持つ様々な力をフュージョンさせて生まれるもので、爆弾の威力や範囲、薬の薬効など、多岐にわたる効果がある。プラフタと学んだので、その大まかな分類は知っているが、そんなプラフタ...ひいてはわたしのおばあちゃんですら知らない効果があるとしても何ら不思議ではない。それに、ここはエルデ=ウィーゲ。私達の元居た世界はともかく、ほぼ異世界のようなもの。錬金術があって、魔物が居て。そういう点では変わりないのだけど、今はないレシピや発想によって、未知の効果を生み出すこともままある。
で、そういった錬金効果は、「これが一番いい!」というものができても、使い捨てなのに一つしかない、とか、皆にも上げたいのに足りない!とかがありえる。そういう時に便利なのが、この商店。店長のピリカさんはコルネリア*2ちゃんの一族、つまりは親戚らしく、彼女と同じくモノを複製する能力を持っている。しかし、ピリカさんの身長は私より少し高いくらいで、身長が縮んじゃうと言っていたコルネリアちゃんとは全然違う。これはわたしもとてもビックリしたのだけど、彼女の代償は身長ではなく睡眠。眠れなくなる、ではなく、とてつもなく眠くなるらしい。
コルネリアちゃんはミルクを飲むことで代償を克服しようとしていたが、ピリカさんは睡眠で賄おうとしているらしい。寝る子は育つともいうし、実際ピリカさんはお姉さん、って感じだ。もしコルネリアちゃんに教えてあげたら、わたしの背なんて追い越してしまうのかも...。ちっちゃいコルネリアちゃんがいいなあ...。
「ピリカ、ソフィーの顔がだらしない....」
「あははー...まあこういうときのソフィーはだいたい錬金術がらみのことでも考えてるから、声かければ戻るよ。ソフィー?」
「...はっ!?」
「ほらね?」
「ピリカ、ぱねー」
あ、あぶないあぶない、危うくコルネリアちゃんを寝かせないぞ計画を考え出してしまうところだった...。
「...ん?」
「なんでもないです!」
訝しげな表情を浮かべてピリカさんの隣にのカウンターに立つ人。彼女は『分解屋』さん。わたしがこの世界に来る少し前に来たらしい。ピリカさんと仕事場を同じくしていて、アイテムの複製はピリカさん、そして「間違えて作っちゃったもの」や「失敗したもの」をできるだけ元の素材に分解してくれるのが彼女だ。とてもありがたい。ボス級の魔物からのドロップや、複製し忘れていた一点物のアイテムなんかを取り戻せるという能力は、唯一無二のものだ。まあ、それだけで彼女を見ているわけではないが、わたしのような道半ばの錬金術師にはピリカさんとそろって神様のような存在だ。ありがたや。
「まあソフィーがこんななのはいつものことだからいいとして」
「こんなっ!?」
「うん...ボクも否定できないね...」
「ピリカさんまでっ!?」
「ピリカまでこういうんだからあきらめよう。ほら、なんだっけ、あ、自信持って?」
「そこは気を落とすな、とかでしょ!?」
二人してわたしをおかしい人扱いしてー!フラム*3ぶつけてやる!
「...ぷふっ」
「むーっ!...あれ、もしかして、からかってるだけ?」
「あははっ、まあ、そうだね。いやあ、いい反応するよねソフィー。錬金術でもここまでいいおもちゃ作れないんじゃない?」
「うん...ボクも否定できないね...」
「ピリカさんまでっ!?ってここだけさっきの繰り返しじゃないですか!」
「ホントだ、ソフィー面白いねぇ!」
「あー!二人がいじめるー!」
ふ、フラムでは許せない!プニプニ弾*4、いや、ドラコフラム*5だ!ドラコフラム投げてやる!逆巻く業火*6でもいいんだぞ!*7
「おおこわ...こほん。さて、ソフィー」
「本日は何をお求めで?」
短くない...これはお話を切ってるからで...。