モンスター(色んな意味を含む)バース 作:幻魔拳
地底世界:未知の樹海...。
今、その領域は二体の巨神による縄張り争いが繰り広げられていた。
「イガアァァアアアアアア‼︎」
赤い竜イベルタルは、樹海の木々をものともせず隙間を潜り、ネルギガンテの跡を追跡する。
外野から見てもインファイターであるネルギガンテでは素早く狩りを行うイベルタルに飛行スピードで負けるのは明白だった。
ネルギガンテはあまりにも、重すぎるのである。
「gurururu……(このまま飛んで逃げていても俺が負ける…!)」
ゴジラに負けてからだ。運命が手繰り寄せているのか知らないが、とてつもなく強いタイタンと出会うことがあるのだ。
大陸を引っ張る巨人、山を背負う生命の守護者、そして炎の悪魔……。
まさか即死攻撃をバカスカ撃ってくるのに早々出会うとは思っていなかったが、俺は運が良いのかも知れない。
これは試練だ。ゴジラに負けた俺への、強くなる試練。
「ガアアアアッ‼︎」
「ッ!GAAAAAA!!!」
咄嗟に旋回してデスウイングを回避する。
攻撃するならクールダウン中の今だな!
「GOAGYAAAAAA!!!!」
咆哮が樹海全体に響き渡り、イベルタルは苦悶の表情を一瞬浮かべる。
木々が密集した(タイタン視点では)密閉された空間。それ故に音が反響する…!
イベルタルは轟音と密閉空間に伴う反響音による追撃で一瞬──そう、一瞬だけ姿を崩してしまう。
ネルギガンテは樹海の天井ギリギリまで飛び上がる。
バンッと弾ける音と共に空気が炸裂し、強烈な風を巻き起こす。
上がればもう、落ちるのみだ。
ネルギガンテは勢いよく真上からイベルタルへと突進を繰り出した。
イベルタルは咄嗟に横方向への空中ローリングで回避しようとする…が間に合わない。
「イガァァァ!!」
激突する音が重苦しく響き渡り、イベルタルは絞り出したような声を絞り出す。
ネルギガンテは、その口でイベルタルの口に噛みつき組伏せようとする。
それを甘んじて受けるモンスターではない。
口を大きく開けて、エネルギーを溜め込む。
禍々しい力がバチバチと弾けて、集まり光となる。
「イガレェッカッ!!!」
イベルタルは、破壊光線を放った。
破壊光線の直撃と共にイベルタルは己に噛みついていた存在を振り払い、地面に叩き落とす。
締めに叩き落とされたネルギガンテはその豪腕で地面を砕きながら咄嗟に飛び上がる
「GAAAAッ!!」
ネルギガンテのインファイター特化性能では飛ぶタイタンを相手にするのは骨が折れる。
なら、己も飛び道具を持てば良いのだ。
グルンッ!
空中で一回転を披露して、そのまま身体に無駄に生えている刺を飛ばす!!
イベルタルは、エネルギーを纏って加速して刺を避けていく。これで良い。
恐らくあれは攻撃技、それを回避に使ったならば…!
「イガレェェアァァァァ‼︎」
刺を避け終えるとそのまま翼を畝らせ翻り、ネルギガンテの方へと飛んでいく。
ネルギガンテがインファイトを最も得意としているのは知っている。
だが、攻撃が重々しく素早さがない。
今、エネルギーを纏った状態ならば素早さで勝てる。
そう考えたのだろう。
赤黒い光が迫り来る。
それを両眼でしっかりと捉えたネルギガンテは思いっきり…樹木を殴り倒し始めた。
ベキベキ破片を撒き散らして巨木は倒れていく。それが連鎖していき……樹海の一部が落ちてくる。
その猛威に晒されるのは崩落の渦中にいるネルギガンテとイベルタル。
イベルタルは、落下物の間から空へと逃げようとするが大きな翼に次々と落下物が被弾。
破壊光線を撃つも、バランスを崩してそのまま樹海の底へと落下していく。
それに対してネルギガンテは、大きな角が仇となり同じく被弾。片翼に樹木が直撃したことで落ちていった。
「イギャアァァァァ!!」
「GOWAAAAA!」
二体は落下する樹木の下敷きとなり、樹海は沈黙に包まれた……。
いやぁ…死ぬかと思ったよね。
まさか自分で起こした環境罠に引っ掛かって生き埋めになるとは。
幸い土とかじゃなくてある程度隙間が出来る樹木で良かった。
こんな間抜けすぎる死因はちょっと…いや絶対に嫌だ。
イベルタルとかいうタイタンは探したら、蛹みたいになっていた。
どうにか破壊しようとしたがめちゃくちゃ頑丈でなぁ~…殴り付けた俺の拳から血が滲み出る程だった。
まあ当分はこれで飯の問題も解決するだろう。食って、寝て、また食う。そんな生活に戻るのだ。
俺、こんなんで良いのかなぁ………。
…………ネルギガンテが去った後、ゆっくりとコクーンモードから戻るイベルタル。
ため息を一つ吐いた後、消耗したエネルギーを補充するべく地底世界の何処かへと旅立っていった。