モンスター(色んな意味を含む)バース 作:幻魔拳
シュレイド王国。
それは大陸随一の超大国。
タイタンの襲撃とは無縁の天空都市や対タイタン用の巨大武器を作り上げる技術力。
億はいるであろう人口を余裕で賄える程の衣食住を生産できる土壌の豊かさと生産力。
更にはどんな国にも負けない戦車や戦艦、汚染武器などを取り扱う軍事力。
人類皆がシュレイド王国は永遠だと思っていた。
しかしその希望も容易くタイタンは、捻り潰す。
とあるタイタンが地下から現れた。
まるで『Y』のような形をした翼竜に似たタイタンだった。
シュレイドに属する天空都市の長は、そのタイタンを追い払おうと巨龍砲による攻撃を仕掛けた。
兵士たちが走り回り、弾を装填。狙いを定めて…穿つ。
強大な一撃がYのタイタンに直撃。市民も、兵士も、貴族も、長も皆が倒せたと思った。思い込んでしまった。
刹那、揺れる天空都市。バリバリと何かを削る音と共に真下から大穴が開けられた。
天を突き抜ける橙色の光線が人々の目に焼き付く。
「イガレッガァァァ!!」
誰かが足を動かす前にそのタイタンは動き出した。
禍々しい光を撒き散らして人を、木々を、小鳥さえも灰色に染まりゴトリと動かなくなる。
それを見た人々は数秒の沈黙の末、弾けるように絶叫しながら走り逃げていく。
まさに阿鼻叫喚。
その渦中にいるYのタイタン、イベルタルは翼を捩って街路に両足をつけると破壊光線を放ちながら街の中心へとゆっくりゆっくり進んでいく。
兵士たちは先へは進ませないと戦車での攻撃を試みるが、いかんせん火薬の質が悪い。
気にもされず、ただ踏み潰された木製の戦車は心の折れた兵士の心情を表していた。
この時代において人類は最弱、技術力で武装したとしてもその前提は覆らない。
今は神々の時代。それに不相応な力が作られれば餌としか見なされない。原子力に星の力、はたまたマグマさえも喰らうタイタンにとってエネルギーとはそういうまのなのだ。
Yのタイタンは、口を半開きにしながら天空都市の中心に破壊光線を撃ち込んだ。
……その日、人類の住まう都市が一つ減ったのは言うまでも無いだろう。
古代の時代。南極。太陽風が最も通過する地点。
地球上で最も大規模なエネルギーの通過が安定している場所。そこがここだ。
故にここを巡る戦いはタイタンの縄張り争いの中で最も過激で、派手だ。
これを見る為だけにここへ移住した物好きな変わり者の人類もいるぐらいだ。
ゴジラは、そんなこの地帯を常に静めておく為に、二体の強力なタイタン達にこの地の防衛を命じた。
一体目は、凍峰竜ジン・ダハド
二体目は、氷結の暴龍アンギラス
二体ともタイタン界隈では恐れられている超有名所だ。
そんな二体だが、ある欠点を抱えている。二対の門番、もしくは監視者として致命的な欠点。人選ミスならぬタイタン選ミストしか言いようがない圧倒的な欠点。
それは……地獄の終わりみたいに二体とも仲が悪いのだ。そりゃあもう通販の包丁並みに視線を交えればナイフのような殺気が飛び交う。二体とも氷雪地帯を縄張りにする四足歩行の捕食者。更には気質的に両者共に破壊者だ。元から戦闘欲が高い彼らは餌の取り合いを度々引き起こしては引き分けていたに違いない。
故に南極では頻繁に地形が変質する。
それの理由としては両者は氷を操る。
ジン・ダハドは熱気を吸収し、周囲を凍てつかせる。
アンギラスは地球の力を反転させ、爆発的に氷を生成する。
そして両者共にゴジラ並みの巨大さだ。
争ったら周囲の環境は、ただではない。
相変わらず今日も二体のタイタンは、唸り声を上げながら分厚い氷の上で相対する。
「GYUOooowarooowarooo!!!」
「PIGYAEEeeeeeeeeeen!!」
二体のタイタンは、氷を砕き、足跡を刻みながら衝突する。
ジン・ダハドの首筋にアンギラスの牙がギッチリと突き刺さる。
「GUOOOOOッッ!!」
「gyaeeeeee!」
ジン・ダハドも負けじと首を振り回してアンギラスを自身の頭部ごと氷に叩きつける。苦悶の声を上げ、口を開けてしまったアンギラスは、ジン・ダハドの尻尾による叩きつけを追撃として食らう。
「ANGYAAAAA--!!!」
アンギラスは、その痛みに方向を上げると同時に振動波を周囲に見えざる刃として撒き散らした。
当然ジン・ダハドの巨体では数十にも渡るソレが直撃して血を流させる。
ジン・ダハドは目を見開きながら大きく口を上げる。アンギラスも同じだった。
ヒュウヒュウ風が吹き荒れ、少しの静寂が南極を包み込む。
アンギラスが、ジン・ダハドが渾身のブレスを弾き出した。
衝突した冷気が破裂するかのように気体が刹那的に液体から固体へと地面に波紋状に凍りつく。
爆発により、広範囲を凍てつかせた両者のブレスの衝突は両者の戦意を更に燃え上がらせる結果に終わった。
唸り声を上げた攻撃を仕掛けようとした次の瞬間───
「GOAAAAAAA!!!」
ザブン。ザブン。大波引き起こして南極に向かってくるアンギラスもジン・ダハドも越えた巨体。
蛇のように開く顎が特徴的な真の悪魔──ガイアデルムだ。
彼の悪魔も太陽風のエネルギーを求めてこの地へと来たのだ。
二体のタイタンは、氷の上からガイアデルムを睨み付ける。
「GOGUOOッAAAAAAA!!!」
「GyaanGYONGagaaaaaa!!!」
「GYUOooowarooowarooo!!!」
キュリアがガイアデルムの敵を絞り尽くさんと襲いかかるがアンギラス、ジン・ダハドの力には太刀打ちでぎず凍りついて海へと落ちていく。
ゴジラの命令以外でここに来るタイタンは、76体目──太陽風エネルギーを賭けた氷海大戦争が、勃発した。