ポケットモンスターSpecial Frontier   作:400円

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ポケスペはいいぞ。

それはそうと筆者のFの知識は辿異種までで無双とか至天とか全くわかりません。


赤緑編:空の王者と紺碧の狩人
その名は「ハンター」。


 

 某日、マサラタウンにて。

 

 見慣れない服装に身を包み、行く先々で奇異の視線を集める人物がいた。

 紺碧のロングコート、銀色の尖った髪と見るからに浮いた青年は奇異の視線を特に気にする様子もなく目的地のオーキド研究所へと足を運ぶ。

 青年の名はアズール。

 外の地方から来た彼は別に観光目的でマサラタウンに訪れたわけではなく、なんならポケモンという存在に生涯触れる事すらなかった筈の彼がポケモン博士のもとに訪れたのは相応の理由があるからだ。

 そう時間もかからない内にオーキド研究所へと到着したアズールを歓迎するのは勿論オーキド博士。ポケモン博士として有名であり、ポケモンを知る場合は避けて通れない存在でもある。

 

「はじめまして。アズールと申します」

「オーキドじゃ。長旅ご苦労だったの」

「いえ、慣れてますから」

 

 握手を交わし、早速と言わんばかりにお互い向かい合う形でソファへ腰掛ける。オーキドがテーブルに山積みされた書類の一番上を手にとってアズールに見せる形で提示すると、アズールは顔を顰めながら「間違いありません」と続けた。

 

「この"モンスター"は、メゼポルタ地方の存在です」

「……やはりか」

 

 書類にクリップで止められた写真には赤い翼のドラゴンが。アズールがコレを"ポケモン"とは呼称せずに"モンスター"と呼称したのには理由があった。

 彼の出身地であるメゼポルタ地方では"ポケモン"という存在は一匹たりとも存在せず、代わりに"モンスター"という存在が闊歩している。

 おとなしいモンスターも中にはいるが、大体のモンスターはそうではなく非常に獰猛かつ縄張り意識が強く、排他的な思考を持っているのがほとんど。

 赤い翼のドラゴンもその一匹で、放っておくとカントー地方が大変な事になるのはアズールにとって一目瞭然だった。

 

「リオレウス…僕達の地方ではそう呼称しています」

「リオレウス……見た目からして、炎タイプか?」

「そちらに合わせるなら、そうですね。もっと言えばドラゴンタイプも持っているでしょう」

「複合のポケモン……いや、モンスターか」

「……しかし、妙な写真ですね」

 

 アズールが写真を手にとって改めて訝しげに写真をみる。

 写真の背景にはメゼポルタ地方では見慣れない発展を遂げた都市部の空を悠々と飛んでいるリオレウスが写し出されている。

 リオレウスは縄張りこそ作れど写真の都市部に棲み着くなどと言うことはしない。後からリオレウスの縄張りに都市部を作れば話は別だが、写真の見た目からして一日二日で完成するようなものではない以上、明らかにリオレウスが後から来たのだと推測できる。

 であれば幼体から育てた人物がいるという予測もあるが、メゼポルタ地方の情報統制は非常に厳重かつ強固で、アズールの様に外部から、それも相応の地位と信頼を持つ人物に依頼されない限りは基本的にメゼポルタ地方から出る事は許されない。ましてや外の生態系を破壊しかねないモンスターの幼体を持ち出したままなど言語道断である。

 

「……因みに、これは何処でしょうか?」

「恐らくヤマブキシティじゃな。カントーの中央にあるカントー一の大都市じゃ」

「ここからだとどれくらいで辿り着けます?」

「一日二日じゃ到底無理じゃな。しばらくは掛かると思ってもらうしかあるまいよ」

「……番がいなければ何とかなるか」

 

 写真のリオレウスが夫婦でないことを祈りつつ、わかりましたと承諾の意思を示すアズール。それを聞いたオーキドは胸を撫で下ろした。

 

「この依頼、受諾いたします」

「おお、受けてくれるか!恩に着るぞ!」

「いえ、こちらも恩に着ます。可哀想ではありますが、コイツを野放しにしておくわけにはいきませんので……それでは、早速ではありますが失礼します」

 

 そう言い、席を立って足早にオーキド研究所を後にすると、アズールは妙な形の通信機器を取り出して自身の所属する組織に連絡を送り出す。

 

「アイシャ、聞こえるか?」

「はいはーい!貴方の頼れる相棒!アイシャですよー!」

 

 通信機器の先から耳をつんざくように元気に満ちあふれた声が響き、声の槍がアズールの耳に突き刺さる。

 

「……オーキド博士の依頼、受諾した。カグラとノノも使用する事になるだろうから、そのへん上手く通しておいてくれ」

 

 耳鳴りに顔を顰めながら依頼実行の意思を告げるアズールに「はいりょーかいです!」とまた声の槍を突き刺すアイシャ。本人は全く気にしていないのか続けて決め台詞の「決めろ!炎のクリティカル!!」と彼女らしい応援で通信が締め括られた。

 直後、忙しない様子のオーキドが彼を呼び止めて「コレを持っていけ」と半ば押し付けるような形で薄い手帳のような機械をアズールに渡す。

 

「……これは?」

「ポケモン図鑑。わしの発明の一つじゃ」

「ふむ……僕には不要なものでは?」

「本来ならばな。じゃがソイツにはカントーのマップデータが入っておる。土地を知らぬキミには必要じゃろ?」

 

 欲を言えばポケモンも記録してほしいがと続けるオーキドに、そっちが本心なのでは?とアズールは苦笑をこぼす。しかし土地勘ゼロのアズールにとって渡された図鑑は金の卵以上に貴重なアイテムであることには違いなく、早速図鑑を開くと大まかなカントーのマップデータがそこには表示されていた。

 快く図鑑を受け取り、図鑑に表示されたマップデータをもとに進行ルートを模索する。

 手っ取り早く行くのであればトキワシティからルートを突っ切る形でタマムシシティに向かうのが一番だろうと考えるも普通に道に迷いそうなので大人しく迂回しようと思考を改め、なにはともあれとまずはトキワシティに向かう事に決めたアズール。

 

「……時間は有限、急ぐか」

「気をつけるんじゃぞ」

「ええ。オーキドさんも何か情報が掴めたら連絡お願いします。特に緑色のドラゴンが近くに現れたとかだったら、すぐに連絡を下さい」

 

 緑色のドラゴンの部分を強調したアズールに何故と問うオーキドに冷や汗を流しながら「繁殖してカントーの生態系が崩壊する恐れがあるので」と伝えると事の重大さを理解したオーキドは深く頷いた。

 それでは。と続いて図鑑片手に駆け出すアズール。

 その背中を見送る形でボソッとオーキドは託すように呟いた。

 

 

「頼んだぞ、"ハンター"」

 

 

 コレは、ありえざる世界が交差した物語である。

 

 

 

 

 




世界観解説
・メゼポルタ地方
入国拒否、出国拒否の完全鎖国地方。
理由はアホみたいに強いモンスターが山のように存在するため、いちいち「こいつはオッケー!こいつはダメ!」なんてやってられないから。
一応相談窓口みたいなのはあるが、基本「そうですか無理ですさようなら」で突き返されるので実態を知るものは少ない。
勿論ハンターも相応の理由がない限り出国は出来ず、また外部から依頼する場合もそれなりの信頼と地位、そしてメゼポルタ地方に関する内容でなければ門前払いを食らう。
今回の場合は「いないはずのリオレウスがカントーで見られた」という写真付きで相談を受けたために、主人公のアズールが派遣される事になった。
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