ポケットモンスターSpecial Frontier   作:400円

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UAが1000を越えたみたいです。ありがたや。
次回か次々回でカグラとノノは一旦フェードアウトします。
代わりに何いれるかって言われると次回判明させます。


火竜 初戦

 

 勝負の合図は必要ないと言わんばかりに先手を取るリオレウス。僅かにのけぞって放たれた火球は勢いよくレッド達へと襲い掛かるが、それを黙って受ける程、レッドは優しくはない。

 

「ピカチュウ!」

 

 レッドの一声でピカチュウはサイホーンの置き土産である岩山から再び岩を電磁力で固め、火球にぶつけることでリオレウスの一撃を相殺する。

 相殺されるやいなや、リオレウスはレッド達めがけて強靭な体躯をぶつけてやると言わんばかりに猛突進を仕掛ける。

 

「……っ!来るわよ!」

「横に避けるんだっ!」

 

 咄嗟に横へ移動し、リオレウスの進行ルートから外れる。

 それに気付いたリオレウスは地面に食い込みそうな位に爪を立て、驚異的な脚力で急停止し、後方に飛び下がると同時に炎を吐き出す。

 文字通りの黒焦げに背筋が凍りそうになるレッド。

 ロケット団はその様子をニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら観戦しており、勝負の行く末──というよりは、レッド達の無惨な姿をいつ見れるのかと楽しみにしている様に見えた。

 

「アイツが炎タイプなら……!ヒトちゃん!」

「ピカチュウ!ヒトちゃんを援護だ!」

 

 次々と電磁力で浮かせた岩を飛ばし、リオレウスの足場を徐々に狭めていくピカチュウ。そこにヒトちゃんの放った鉄砲水がリオレウスの眼に直撃し、リオレウスが大きく仰け反った。

 

「ほう……眼を狙ったか」

「ナイス!コレなら敵味方の区別もつかないはずだ!」

「ええ……だけど、あまり効いてない……気がする」

「フフ、その通り。この赤き竜は炎タイプだが弱点は水ではない!どうやら赤き竜を制そうとしたようだが……貴様の目論見は外れていたようだな!」

 

 そう言い、カスミを嘲笑うと「ああ、そうだった」とわざとらしく思い出したような素振りを見せ、男はレッド達を更に追い詰める事実を話し出す。

 

「赤き竜は大変気性が荒くてな……お前達が眼を狙った事で奴の怒りは頂点に達しているぞ!」

「……何だって!?」

 

 咆哮を轟かせ、口から炎が漏れ出すリオレウス。

 次の瞬間、再び後方に飛びながら火球を吐き出すも、さっきよりも遥かに威力の上がった火球が地面に炸裂し、小規模の爆発が巻き起こる。

 それに巻き込まれたカスミは爆風に吹き飛ばされてしまい、洞窟の岩壁に打ち付けられた事で気絶してしまう。

 

「カスミっ!!」

「まずは一人。残るは……お前だけだっ!」

「くっ……!」

 

 絶体絶命の状況に晒されるレッド。

 そんな事など関係ないと言わんばかりに容赦なくトドメを刺しに、リオレウスは今にも火球を放とうとしていた──

 

 

 ──時は少し遡り、お月見山の入口では。

 

 

 見張り役を担っていたロケット団員達は一瞬の懸念こそあれど、何だかんだ言って負けるわけがないと勝利を確信していた。

 たかが子供一人と未確認のポケモン2匹。あわよくば子供のポケモンを奪い、見張り役を全うした上で更に功績を立てようとすら目論んでいた筈なのに、この結果は予想を遥かに下回っていた。

 

「……う、ぐぅ……」

「ば、かな……ぁ!!」

 

 自分を含め、地面に突っ伏しているロケット団員達を見てアズール自身と、彼が操る2匹の異常な強さに畏怖を覚える。

 ポケモンだけならまだしも、アズールの歳不相応な身体能力。

 まるで日常茶飯事(・・・・・)だと言わんばかりにロケット団員やポケモンの攻撃をスラスラと避け、隙を晒した者から急所を的確に狙った一撃を差し込まれ、アズールは意識を刈り取っていった。

 援軍を呼ぼうとロケット団員は腰に付けてあったトランシーバーに手を伸ばすも、敢えて潰さないでおいたアズールは容赦なくトランシーバーを持った手を蹴り飛ばし、転がった先でカグラがそれを踏み潰す。

 

「……さて、改めてだけど質問させてもらおうかな」

「ぐ……っ」

「抵抗はしないほうがいい。五体満足でいたいならね」

 

 "提案"ではなく"脅迫"で協力を促すアズール。

 表情は笑顔でも氷のように冷たく、笑っていない眼が本気である事を表しているのと同時に、その背後では餌を持つようにカグラとノノが身構えているのもあって、歯向かえばどうなるかを団員は容易に分かってしまった。

 

「さあ、質問だ。先日ニビシティのポケモンセンターを襲ったのはお前たちか?」

「……だったらどうした?」

「赤い竜はお前達が使役しているのか?」

「……ハッ、どうだろうな?」

「……協力的になってほしいんだけどなぁ」

「っぐぉおっ!?」

 

 腕を踏み付け、僅かに重心をかける。

 このまま力を入れ続ければ確実に腕が暫く使い物にならなくなるのは明白で、焦った団員は慌ててアズールの質問に答えた。

 

「わ、わかった!そうだ!ニビシティを襲った赤き竜は我々の仕業だ!」

「どうやって使役した?」

「わ、わから「次は折るよ」っ!?ふ、笛だ!奴を呼べる笛があるんだ!それを使って赤き竜を使役している!!」

 

 脚に力を込め、ミシミシと音を立て始めた所で持っている情報を出した団員。

 アズールは「ご協力ありがとう」と欠片も思っていない言葉を贈りながら、団員の処遇をどうすべきかと考えていると、突如洞窟の奥からリオレウスの咆哮が轟いた。

 

「洞窟内から……!まさか、笛を持っている人物がいたのか!?くそっ、レッド君達が危ない……!」

 

 団員から得た情報とリオレウスの咆哮を照らし合わせると、レッド達がリオレウスと交戦している可能性が非常に高い。

 討伐経験どころか対処法すら分からないレッド達が勝てる見込みなどゼロに等しいと分かっていたアズールは足早に洞窟内へと足を踏み入れる。

 

「(暗いな……カグラに力を借りるか)カグラ!レッド君の痕跡を辿ってくれ!」

 

 アズールの指示に従い、「ワン」とカグラが一鳴きすると一歩前に出て地面を嗅ぎ出し、程なくしてレッドの匂いを覚えたカグラはレッド達がいるであろう居場所へと駆け出す。

 やがて見えてきた先にはレッドと倒れているカスミ。そして今にも火球を放とうとしているリオレウスに、それを使役しているであろうロケット団達が見えた。

 

「カグラ!ノノ!2人を守るんだ!!」

 

 直後、放たれた火球はカグラの放った風圧弾によってレッドに被弾することなく爆散し、背後から現れた援軍に安堵の表情をみせるレッドがいた。

 

「兄さん!助かったぜ!」

「安心するのは後。まずはアイツを何とかしないと……!」

「ほう、援軍か。まったく、入り口の連中は不甲斐ない奴ばかりだったかな?」

「アイツが持ってる笛に気を付けてくれ!」

 

 レッドの警告の先にはこれ見よがしに赤い笛を手に持つロケット団の男が。

 メゼポルタの人間なら分かる火竜の素材を用いて作られたであろう笛にあのリオレウスは本当にロケット団の配下の存在なのだと思い知らされ、アズールは分かりやすく舌打ちをする。

 

「どうする、兄さん!?」

「(本来ならば倒すのが一番だけど……レッド君達がいる以上、ここは退くしかない……!)レッド君、ここは撤退だ!」

「りょーかいっ!!」

「逃がすと思うか!?やれ!赤き竜よ!!」

 

 三度リオレウスが火球を放つも、カグラが対抗するように風圧弾で相殺し、空中でぐるりと縦回転しつつ反撃の鬣がリオレウスを襲う。

 一方でノノはというと、カスミに攻撃が当たらないようカスミを守るように立ち塞がっている。

 

「ピカチュウ!天井を狙うんだ(・・・・・・・)!!」

「ハハハ!血迷ったか!?」

 

 レッドの指示にピカチュウは背くことなく自身の蓄えていた電力を存分に発揮し、雷狼竜(ジンオウガ)に匹敵するであろう放電を天井目掛けて解き放つ。

 心中でもする気かと高笑いする男の表情が驚愕に変わったのは、その行動が起こした結果の直後。

 大放電の末に天井から分離した巨大な岩盤が両者の合間に立ち塞がり、お互いに追撃ができない状況を作り出した。

 これを好機と判断したアズールは迷うことなく撤退の意思を表明し、レッドもそれに乗じて撤退する事に。

 

 一方で、ロケット団側では逃がしたことに舌打ちする男と、岩盤を破壊しようとするリオレウス。そして各々悔しそうにするロケット団の下っ端たち。

 

「……あの男。赤き竜を見て物怖じしてなかったな。それにカントーでは目撃すらない2匹のポケモン。もしや、赤き竜の事を把握している……?」

 

 赤服の子供が兄と慕っていた青年……アズールの事を訝しむ男。

 アズールが使役していたカグラとノノの存在もあって、リオレウスの弱点を知っていそうなアズールを今後は徹底してマークする様になったのは、もう少し後のことである。

 

 

 場面は戻ってアズール達。

 

 

「……あれ、ここは……」

「目が覚めたかい?」

「アズール……と、レッド……あれ?じゃあ……」

「ノノがキミの事を運んでくれているんだ」

 

 目が覚めたカスミに「感謝してね」と言いたげに一鳴きするノノ。お礼も兼ねてカスミがノノを撫でると嬉しそうに尻尾が左右に振られていた。

 

「……って、なんで泥だらけなわけ!?」

「そりゃあ……洞窟内で気絶してたらそうなるよ」

「まったくだ。俺の活躍見せてやりたかったぜ!」

 

 腕を振り上げたり大雑把な仕草をしながら現場の戦闘をどうにか再現しようとするレッドを他所に、カスミは「それにしても」と別の会話を切り出す。

 

「惜しかったね、月の石……」

「まぁ、仕方ないよ。命があるだけまだマシさ」

「……へっへー、そうでもないぜ?」

 

 そういい、ポケットから月のマークが象られた石を取り出すレッド。本人曰く、崩れ落ちていた最中に偶然見つけたので拝借させてもらったとのことだった。

 

「……なかなか目敏いね」

「褒め言葉だぜ、兄さん!」

「さっすがぁ……あ、そうだ。二人とも行き先はあるの?」

 

 カスミの質問に、アズールは「とりあえずハナダシティに」と答え、レッドも「同じく」と答える。

 

「そうなの?じゃあちょうど良かった。お礼も兼ねてウチで休んでいったらどうかしら?」

「……む、それは有り難い。是非呼ばれるよ」

「俺も賛成!」

「決まりね。それじゃ、行きましょ!」

 

 そう言い、カスミはノノに駆け出すよう指示し、ノノも「任せて!」と言わんばかりに駆け出す。

 何故カスミの指示を聞いているんだとアズールは疑問に思いながらも、その後をレッド共に必死に追う二人なのであった。

 

 

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