ポケットモンスターSpecial Frontier   作:400円

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F戦のBGMが良い意味でポケモンっぽくなくてどハマりしました。あとメガニウムが救われててホッとしました。

ヒロインは彼女です。


青と紺碧の会合

 翌日。次の街を目指す事をレッドとカスミに伝え、朝早くにカスミの屋敷を後にして早々にハナダシティを出たアズールは昨日の通信内容を思い出していた。

 

 ────

 

「火竜笛アンビシオン……?」

「うん。アズール君の話から照らし合わせると、それで間違いないと思う」

 

 通信機越しに赤い笛の正体を推測したのは、アズールの旧友。

 ハンターの中でも"レジェンドラスタ"という特別な役職に就いている女性「チルカ」はハンターの武器種の1つ、狩猟笛のエキスパートであり、彼女であればリオレウスを使役している赤い笛について何かわかるのでは?と推測したアズールがアイシャに取り次いでもらった次第である。

 結果、推測の域には過ぎないと補足しつつも赤い笛の正体を証言だけで判定できたのは流石だとアズールは感心する。

 

「それにしても、外にいたんだねー。どおりで最近見ないなーって思ったわけだよ」

「ポケモン……ああ、そっちで言うモンスターみたいなモノだと思ってくれ。その研究をしている博士からの依頼でな」

「成る程ぉ、それじゃしばらく帰ってこれなさそうだね」

「ああ。なかなか骨が折れそうな依頼だ」

「アズール君なら大丈夫だと思うけど、気をつけて」

「ありがとう……そろそろ通信を切らせてもらう」

「ん。アイシャには私から言っとくね。此方でも何か分からないか探っておくね」

「頼んだ。情報感謝する」

 

 

 ────

 

 

 それにしても、とアズールは疑問を抱える。

 アンビシオン"っぽい"と分かったのはいいが、問題はその笛をどうやって小さくしたのか(・・・・・・・・・・・・)である。

 狩猟笛という武器種は内部構造が非常に複雑で、モンスターの角をくり抜いて穴を開けただけの角笛とは違っていとも簡単に軽量化出来るようなシロモノではない。

 仮にそんな事ができてしまえば、工房の鍛冶職人たち皆開いた口が塞がらないだろう。

 

(……あれ?コレ疑問が増えただけなのでは?)

 

 過ってしまった考えを否定するように首を振り、次の目的地である「シオンタウン」に続く道を進む。

 屋敷の執事によれば、ハナダシティを東に進んだ先にあるイワヤマトンネルを越えた先がシオンタウンであり、タマムシシティを目指すのであれば避けては通れない道だと教えられたアズール。

 本来であれば図鑑の地図機能では南に下れば最終目的地のヤマブキシティがあったのだが、間が悪いことに工事中の為通れませんと門前払いをくらってしまった。 

 非常事態であると伝えても「何いってんだこいつ」と小馬鹿にしたような表情でそんな知らせは来ていないと突っ撥ねられ、強引に突破してやろうかとも考えたアズールだったが、流石にお尋ね者になるのは悪目立ちが過ぎると良心に諭され、思いとどまって現在に至る。

 

「……かなり大幅な回り道だな、全く」

「そこのお兄さーん!」

 

 間の悪い工事に恨みを馳せながら歩いていると、その先で手を振る黒服の少女が眼前に現れる。

 知り合いでもいたんだろうなと通り過ぎようとしたら少女と目が合い、少女は「お前だよ」と言いたげにニッコリと笑った。

 

「あー、何か?」

「"リオレウス"の情報、欲しくない?」

「……は?」

 

 予想外すぎる一言に目が点になるアズール。

 すぐに正気に戻り、少女が何者なのかと警戒心を強く持ちながら少女の提案に対して疑問を投げかける。

 

「……何処で知った?」

「あら、交渉成立?」

「違う。リオレウスの名を何処で知ったと聞いている」

「ふふ、なーいしょ」

「……話す気がないのなら交渉の余地はない。失礼するよ」

 

 そう言い、アズールは少女の横を通り過ぎようとしたが、すれ違いざまに足を止めた。否、止めざるを得なかった。

 

赤衣の男(・・・・)

「……何だって……!?」

 

 メゼポルタでも屈指の要注意人物の通称が少女の口から出た事で、驚きを隠せずに少女に振り向き直すアズール。

 この時彼の内心では「どういった情報なのかは定かではないが、何かしらの情報は持っている」と判断した彼に少女の交渉に応じないという選択肢は既に無かった。

 

「……対価は何?」

「ちょーっと護衛してほしいかなって。イワヤマトンネルに行くんでしょう?私もその先に用があるから、どうせなら強い人に守ってもらいたいじゃない?」

「なら、そこら辺の人でもいいだろう?」

「そう。だからお兄さんがそこら辺の人(・・・・・・)ってわけ」

 

 そこら辺の人に手当たり次第にリオレウスの情報を欲しいかと荒唐無稽な質問を聞いてきたのかと、少女が行ったであろう行動に内心呆れるも、金銭面等の対価でないだけマシかと安堵の息を漏らす。

 

「……わかった。情報に関しては道中聞くことにする」

「やった♪よろしくね、お兄さん」

「アズールでいい。君は?」

「アタシはブルー。気楽にブルーちゃん、でいいわ」

「……道は此方だろう?行こう、ブルー」

「あーん、連れない人ねぇ」

 

 先に行くアズールの後を追うようについて行くブルー。

 この時はこれがブルーとの長い付き合いの始まりであることを、アズールはまだ知る由もなかった。

 

 

 ────

 

 

 イワヤマトンネルに向かう道中、アズールはブルーに情報を何処で得たのかを改めて質問する。

 先程とは違い、交渉成立した事もあってブルーはあっさりと情報の出どころを団員同士の会話だと明かした。

 

「……盗み聞き、ね」

「ええ。ロケット団の団員がそう言ってたから間違いはないわ」

 

 何なら聞く?とブルーはレコーダーを取り出し、アズールに手渡す。半信半疑でレコーダーを起動すると、男二人が小さい声で「赤き竜」「笛の出どころ」とロケット団で通っているであろうリオレウスの呼称名と笛の内容が録音されており、情報の精度に問題は見受けられないとアズールは判断し、レコーダーをブルーに返した。

 

「ね?」

「……一応聞くけど、ロケット団じゃないよね?」

「あんな連中と一緒にしないでもらえる?それに第一、仮にアタシがロケット団ならもう少し手荒になってるんじゃないかしら?例えば……複数人で囲んで連行!とか」

「……それもそうか」

 

 実際にやられて突破したとは言わず、納得して「ごめん」と一言謝罪を入れると、ブルーは「そんなことより」と話題を一転させ、アズールの手持ちを見せてほしいと詰め寄る。

 

「……先に言っとくけど、持ってるのはスターミーだけだよ」

「えーっ、うっそだあ……狼のポケモンとか持ってるでしょ?」

「……持ってないよ。ほら」

 

 そう言い、腰部分に付けられたスターミーのボールだけを見せる。別の位置にドラギュロスの入ったボールもあったが、彼女にそれを見せるのはやめたほうがいいと脳が警鐘を鳴らしていたので敢えてドラギュロスを見せる判断は避けることに。

 同時に、妙に察しのいいブルーの指摘にカグラとノノをカスミに預けていてよかったと心の中で安堵の息を漏らす。

 

「ホントだ……あーあ、残念。お金になると思ったのに」

「……(ドラギュロスをださなくて大正解だった)」

「……なーんて。ホントは持ってるんでしょ」

「いやだから持ってな「もう一匹、いるよね?」……」

「出してくれないの?」

 

 甘えた声とあざとい仕草でアズールの気を迷わせようとするも、メゼポルタの普段でもう嫌と言うほど慣れてしまっていたアズールにその誘惑は全く効かず、ドラギュロスのボールを取り出したうえでブルーにその脅威を語る。

 

「コイツを出せば、少なくともこの周りは焼け野原になる」

「えっ……」

「加えて、僕を含めて周囲の人間とポケモンの命の保証もできなくなる。それでもいいなら出すけど?」

「……ごめんなさい、さっきのは忘れて?」

「分かってくれたならありがたいよ」

 

 そう言い、ドラギュロスのボールを仕舞う。

 ある程度の命令は聞いてくれるので、命の保証の下りは若干誇張表現ではあるが、赤い閃光や漆黒の雷によって焼け野原になるのは間違いないので、無闇に出したくないとアズールは考えていた。

 

「あ、見えてきた」

「……あれがイワヤマトンネルか」

 

 そうこうしている内にお月見山とはまた違った雰囲気の天然洞窟の入り口が見えてくる。

 トンネルの中は長い道のりである事を表しているのか、入り口の近くには万全の状態で挑めるようにとポケモンセンターが建っていた。

 

「休む?僕は大丈夫だが……君は?」

「アタシも大丈夫。しっかり守ってね、騎士様♪」

「……りょーかい。情報がまだあるなら、聞かせてもらうからね」

「まっかせてー♪」

 

 早く早くと急かすブルーに気乗りしない気持ちを抑えつつも、共にイワヤマトンネルに足を踏み入れる。

 

「……ターゲット、イワヤマトンネルに入りました」

【了解。これよりオペレーション「狩猟(ハント)」を始める】

 

 背後よりRの文字が入った黒い服の連中が後を追うようにイワヤマトンネルに入っていったのを2人はまだ知らない。

 




世界観解説
・メゼポルタの普段
 メゼポルタでは"見た目"よりも"機能性"を重視しているため、女性ハンターの見た目は過激なものが多い。他地方では間違いなく捕まるであろう服装もメゼポルタでは"ハンターの装備"として認可されているものであればその限りではないので、男性ハンターの中では眼福と捉えるものもいれば、見飽きたと何とも感じなくなったもの、見てる此方が恥ずかしいと共感性羞恥に晒されるものと三者三様の意見がある。
 なお、女性ハンターも同じく恥ずかしいと感じるものもいれば、何とも思っていない人物が割といるのも中々問題でもある。
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