ポケットモンスターSpecial Frontier   作:400円

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原作ポケスペのシオンタウンの流れは全部すっ飛ばします。じゃないと時系列が合わねえってなってしまいますゆえ……それはそうとZAにハマりすぎてました。


幕間のシオン

 

 リオレウスを退けることが出来たアズール達は大幅なタイムロスをくらったものの、本来の目的通りにイワヤマトンネルから脱出し、次の街である「シオンタウン」を目指す。

 リオレウスの撤退直後、さすがにこのままではいけないだろうとグリーンが警察に連絡をとったことで、凄惨な現場とリオレウスによって虐殺されたロケット団員だったもの(・・・・・)は後日警察によって処理される手筈で進むこととなり、情報の共有もやむ無しと判断したアズールは極秘扱いとして扱ってもらうことを条件に現在起きている事態を警察に明かした。

 

「リオレイア(・・・)?」

 

 微妙に名前の違う緑のリオレウス……もとい、リオレイアに頭をかしげるブルーの問い返しに頷く。

 

「こっちでは“雌火竜“とも呼称されていてね。名前の通り火竜の雌個体だ」

「えっ、雌なの?」

「……成る程。だからあの時忠告していたのか」

「そういう事……」

 

 がくりと肩を落とし、事態の悪化に深くため息を吐くアズール。忠告を聞いたことのないブルーは再びアズールに何故?と問うとその危険性を改めて話し出す。

 

「リオレウスとリオレイア……コイツらは纏めてリオス種とも呼ばれていてね。個々の強さはさして強くないんだけど……問題はコイツらの繁殖力でね」

何処でも繁殖できる(・・・・・・・・・)、とか?」

「……その通り。彼奴等は非常に繁殖力が高い。環境さえ整っていればどこでも巣を作れるんだ」

「質の悪いニドラン種みたいだな」

「ニドラン……が何なのかは後で聞くとして。グリーンくんの言う通り非常に質が悪いんだ」

 

 それこそ、カントーの生態系が破壊されるほどにね。と続けるアズールに目を見開くグリーンと、想像もつかない内容にいまいちピンと来ていないブルー。

 

「どうするんだ?」

「幸い、リオス種を従えているのがロケット団と分かっているから……とりあえずは奴らを追う。まずはシオンタウンからだ」

「なら、あの塔を目印にするといい」

 

 そう言い、グリーンが指差した先には一際目立つ塔がそびえ立っており、分かりやすい目印だと礼を言うとグリーンは踵を返してイワヤマトンネルへと戻っていく。

 

「一緒に来ないのかい?」

「ポケモンを鍛える。アンタがいつでもいるわけじゃないだろ?」

「……助かるよ。でもなるべく僕を頼るように。友人を見殺しにしたくないからね」

 

 振り向くことなく、鼻で笑いながらグリーンはその場を後にする。

 その後ろ姿を見送り、アズールとブルーはシオンタウンを目指すのであった。

 

 

 ────

 

 

「一緒にいるだって!?」

「そっ♪」

 

 シオンタウンに到着してすぐにポケモンセンターへと足を踏み入れ、イワヤマトンネルの疲れを癒すべく休憩を取っていると、不意にブルーから言い放たれた言葉に驚くアズール。

 

「あっ、別に変な意味じゃないからね?単純に命が危ないなーって思った故の判断よ」

「……確かに。あの"キョウ"とかいう奴に僕と一緒にいた事をみられた以上、標的になり得る要素はあるか」

「そういうこと。それに、そばにいれば良い資金源になりそーだし♪」

「……ホントはそっちが本心じゃないの?」

「7∶3で命が危ないからが勝ってるわ」

 

 それでも3割はあるんかい。とは突っ込むことはせずにこれからの旅にブルーが加わることを了承すると、アズールの通信端末に着信が。

 着信に出ると案の定アイシャが鼓膜を破ってやると言わんばかりの声量で「おつかれさまでーす!」と言う。

 本来であればうるさいの一言でも言ってやりたかったアズールだったが、イワヤマトンネルの一件もあってアイシャが丁度いいタイミングに通信を寄越したことに内心感謝しつつ、これまでに起きた出来事を話しだした。

 

「──と、いうわけだ」

【うぇえ……まさかリオレイアまでいたとは】

「ああ。現地協力者の助力もあって何とか退けることができたが……厳しい戦いを強いられるだろうな」

【うーん……どうします?】

アイツを寄越してくれ(・・・・・・・・・・)

 

 アイツ、という要求に通信端末越しのアイシャは「……マジですか?」と聞くと「ドラギュロスよりマシだろ」と応えるアズール。

 気苦労が測れる深い溜め息の後にアイシャは「わかりましたよ……」と諦め気味に吐き捨てる。

 

「すまない。手間を掛ける」

【今に始まったことじゃないですよー……はぁ、シエロさんに行ってもらうかぁ……】

「……いや。シエロはちょっと……」

【うるさいです。気苦労ばっかり増やすアズールさんへの罰です。妹さんにしぃーっかり、怒られてくださいね!】

 

 半ば一方的に通信を切られ、自業自得とはいえ今後来るであろう気苦労に頭を抱えるアズール。

 その様子をみながら、静かにしていたブルーが口を開く。

 

「今の、メゼポルタから?」

「……ああ、うん。これまでの経緯と戦力増強の申請」

「ふぅん……それで、アイツって?」

僕の切り札(・・・・・)

 

 切り札と聞いて金になりそうだとほくそ笑むブルーにすぐには来ないよとアズールが期待させないように釘を刺すと、途端につまらなさそうな表情になり、残念そうに呟く。

 それに苦笑しつつも、話の腰を折るように先ほどから気になっていた事をブルーに訊ねる事で話題の転換をはかる。

 

「そういえば、ニドランって何?」

「えっ、あぁ……ちょっと待って、描くから」

 

 思い出したようにブルーへニドランというポケモンの詳細を聞くと、スラスラと紙に特徴を描き出すブルー。

 数分も経たない内に大雑把な特徴を描き終えたブルーが紙を渡すと、分かり易いイラストと共にニドランの特徴が書き記されていた。

 

「……なるほど、体色と体格が目に見えて違いがあるのか……というか、上手いね」

「でしょ?1000円でいいわよ」

「いや金とるのかよ」

 

 守銭奴めと悪態をつきながら、しぶしぶ支払おうとするアズールに冗談だと返し、手渡されたお金を懐に納めることなくアズールに返す。

 

「というかまさか、キミの収入源って……」

「こーれっ♪」

 

 どこから出したのか、見るからにインチキじみた道具がズラリと並ぶ。もしかしたら狩猟道具に使えるかもと一瞬頭に過った道具もいくつか見受けられたが、あんまりにもバカバカしい考えの自分にあきれた笑みを浮かべるアズール。

 

「……ほぼ騙し取るようなもんじゃないの?」

「そんな事ないわよ?なんなら試す?」

「謹んで辞退させてもらうよ」

 

 辞退の表明に露骨に舌打ちをして残念がるブルーと、本当にこれからこの子と一緒で大丈夫なのかと一抹の不安を抱えるアズールなのであった。

 

 

 ────一方、メゼポルタ地方【ハンターズギルド】。

 

 

 

「っはぁあぁ〜…………っ」

 

 アズールとの連絡を終えてこの先の仕事が倍増した事に深い溜め息を吐くアイシャ。そんな彼女を見て何事だと視線を向ける同僚達に「何でもないですよー!(こっち見んな)」と空元気で応えると、思い思いに散ってゆく同僚達。

 

「……珍しいね、溜め息なんて」

「シエロさぁ〜ん!!聞いて下さいよぉ!!」

 

 彼女を心配するように声をかけたのは、アズールの妹であり、兄と同じハンターであるシエロという青年。

 アズールに対してある種の特効(・・・・・・)を持っている彼女は今振り回されたばかりのアイシャにとって救世主ともいえる存在であり、今アズールが担っている依頼(クエスト)の事を洗いざらい話しだす。

 始めこそ慰めてあげるつもりで聞いていたシエロだったが、内容を聞いていく内にその表情は険しいものに変わってゆく。

 

「──ってことなんですよお!?ひどいですよねぇ!?」

「兄さん……ドラギュロス渡したのに、もうあの子を使うの……?」

「ホンッ!トーですよねぇ!私達の気苦労も知らないで……」

 

 いないもの(アズール)に対しての愚痴が止まらないアイシャを余所に、自分と思って連れて行けと半ば強引に押し付けたドラギュロスをたった一戦使っただけで自身の切り札を使おうとする兄にほんの少し怒りが湧くも、アイシャからの一言でそれは霧のように消え去る。

 

「はぁ……というわけで、シエロさん。貴方のお兄さんにこのコを連れてって貰えま「任せて」言い切る前に了承ありがとうございます!ついでにうんと言ってやってください!」

「了解。それも任された」

 

 アイシャに手渡された兄の切り札と自身の相棒を携えて早速出発の準備に取り掛かろうとしていた所に忙しない様子のギルドの職員が「シエロさん!!」とアイシャに負けず劣らずの声量で彼女を呼び止める。

 

「……うるさいよ。なに?」

「も、申し訳ありません!それが……シエロさんにお会いしたいという人物がいまして……」

「今手が離せないって言って追い返して」

「そ、それがですね「その配達依頼、私も行くわ」ああっ!?い、いつの間に……!!」

「…………貴方は」

「……お兄さんってモテるんですねぇ」

 

 皮肉交じりにアイシャが呟いた先にいたのは、妖艶かつ不気味な笑みを浮かべる白いドレスの少女。

 何も知らない人からすればただの女の子という認識で終わるが、彼女の正体(・・・・・)を知っているシエロの額に人知れず冷や汗が滴る。

 

何故ここに(・・・・・)?」

「そんなに警戒しなくてもいいわ。今回は貴方達じゃない(・・・・・・・・・・)

「……えーと、この方は?」

「はじめまして。私は……そうね、アンセスでいいわ」

 

 アンセスと名乗る少女は礼儀正しい一礼をすると、シエロに聞かれる前に同行する理由を端的に話す。

 

「身内を引き取りに行くの」

「身内……ですか?」

「ええ。ちょっとヤンチャ(・・・・)したみたいだから、軽いお仕置きも添えてね……」

「……わかった」

「えっ、いいんですか!?」

「フフッ、話の早い人は好きよ?」

 

 深紅の瞳を細めて、すんなりと同行を許可してくれたシエロに感謝をするも──ギルドの職員がそれを阻む。

 

「だ、ダメですよ!!ハンターでもない、ましてや女の子が依頼に同行するなんて!」

「……ふぅん?」

「それにこの女の子は部外者なんですから──「ですから、何かしら?」……っ!?」

「困ったわ……それなら、ちょっとお話(・・・・・・)しないといけなくなるわね……?」

 

 アンセスから唐突に漏れ出した殺気に竦むギルド職員。アイシャ自身も背筋に何かが這い上がるような悍ましい気配を感じ、唯一殺気に怯むことなく気を保っていたシエロが助け舟を出す。

 

「何かあれば責任は(アズール)が取る。それでいいでしょ?」

「……っ、わ、わかりました」

「分かったら早く行って」

「しっ、失礼します!!」

 

 脱兎のごとくその場を去るギルド職員に殺気を納めるアンセスにシエロは警告の意味も込めて告げる。

 

「次それやったら、兄さんと挨拶に行くから」

「フフッ、それも悪くないけど……貴方達に嫌われるのは嫌だから自重しようかしら」

「な、なんですかこのコ……ホントに人ですか?」

「あら、人よ?」

「……とりあえず、このコも連れて行くから。処理よろしく」

「はぁ……分かりました」

 

 そう言い、アンセスの手を引きながらその場を後にするシエロ。抵抗することも無く流れに従うアンセスに何を考えているのか分からないと畏怖する彼女を余所に、自身が急に現れた本当の理由を語りだした。

 

「私のコ達を勝手に外に持ち出した連中がいる」

「知ってる。リオス種でしょ……あと、兄さん」

「そうね。そのコ達もその内の一つ(・・・・・・)だわ……貴方達は、私が見てるし特別に許してあげる」

「……いや、待って。もしかして……」

 

 ──リオス種だけじゃない?

 

 シエロの問いに微笑むアンセスの目は、笑っていなかった。

 

 




人物紹介
・【シエロ】
アズールの妹。見た目はMHFのシエロ装備そのまんま。
兄大好きっ子で兄と一緒に戦いたいからという理由でハンターとなり、ちゃんとその夢も叶えた出来る子。
知り合い以外には少しだけ冷たい。

・【アンセス】
深紅の瞳を持つ白いドレスの少女。
常に余裕の笑みを浮かべている。
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