ポケットモンスターSpecial Frontier   作:400円

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ZAのランクマが思いのほか奈良公園
それはそうとあの人を早めに出します。


玉虫の鳥竜

 

 どんよりとした空気のシオンタウンを早々に出発した二人はヤマブキシティを挟んだ先にあるタマムシシティへと辿り着く。

 道中、ヤマブキシティの関門にも立ち寄ったが案の定工事中という確認のしようがない理由を盾に追い返されたのは言うまでもなく、タマムシシティはそれがあった場合の次期候補目的地だったが──予期せぬ長期滞在になるとアズール達はその時は知る由もなかった。

 

 長期滞在の理由となったのは、リオス種の聞き込みの最中で住民達が口々に頭を悩ませる被害が相次いでいるという話をしており、ポケモンにもそういうのがいるんだなと感心されられていた所に住民達が話す詳細を聞いてを見事にへし折る存在がアズールの頭をよぎってしまったから。

 赤い鶏冠に青い皮膚、黄色く染まった嘴と鋭利な爪のポケモン?がタマムシシティの一角を占領するように牛耳っており、そいつが人やポケモンに襲いかかるという内容。

 特徴からして思い当たる節しかないアズールは見過ごす訳にもいかないと言うことで急遽そのモンスターの調査に取り掛かることにした。

 

「まさか、ランポスまで……」

「メゼポルタの?」

「ああ。集団で襲い掛かる小型のモンスターでね。単体なら然程脅威ではないんだけど……複数ならちょっと面倒なくらいかな。ともあれ肉食である以上、放置するわけにはいかない」

 

 最悪イワヤマトンネルの一件みたいに凄惨な事態になるかもしれないと語るアズールに、フラッシュバックしたブルーの表情が若干青褪める。

 

「まずは出現エリアから絞るか……キミはどうするんだい?」

「うーん、そうねぇ……ちょっと別行動をとろうかなって」

「そうか。なら連絡手段を渡しておくよ」

 

 そう言い、予備の通信端末をブルーに「売らないでね」と釘を刺した上で手渡すアズール。

 

「ランポス…あー、住民達が言ってた特徴に似てるやつを見かけたら連絡してくれ。くどいようだけど、交戦はなるべく避けるように」

「りょーかい♪そっちも寂しくなったら連絡してね♡」

「重要な時以外はしないから安心して」

 

 適当な返事でその場を後にするアズールに聞こえない声量で「やっぱりつれない」の不服そうに呟き、アズールとは逆の方向へと歩みを進めるブルー。

 その後間もなくして合流することは今の二人には想像もついていなかったのは言うまでもない。

 ブルーと別れ、アズールは最早恒例となった聞き込みを行うことに。

 リオレウスの時とは違って既に認知されているからか、ランポスと思わしき対象はよくタマムシシティの郊外に現れると住民から情報を得られたので早速タマムシシティの郊外を探索する流れになった。

 

 

 ────

 

 

 一方で、ブルーはアズールより受け取った通信端末とは別の端末で誰かと連絡を取り合っていた。

 

「…じゃあ、やっぱりタマムシシティに?」

【確実に。多分、ゲームコーナーが怪しいと思う】

「ふふ。ありがと」

 

 連絡越しの人物はブルーの頼みで何かを探っていたらしく、ブルーの提供した合致した情報を元に大凡のアタリをつけた結果を報告する。

 やっぱりか。としめた顔で自身の目的が達成できた後のビジョンを浮かべてほくそ笑んでいると、連絡先の人物の声色が若干変わる。

 

【……それはそうと、姉さん(・・・)。隣にいた奴は?】

「ああ、あの人?」

 

 ただのカモだと言いたかったが、思ったよりガードが硬い事と、敵に回してしまった場合のリスクも考えるとどうしてもそうは言い表しにくいなと思ったブルー。

 

「うーん…ボディガード?」

【こっちに聞かれても……排除しようか?】

「それはダメ。アンタでも勝てるか怪しいわ」

【……わかった。でも何かされたら言ってくれ】

「大丈夫よ。アタシの色仕掛けに全くかからないし……自分で言ってて腹が立つなぁ」

【………じゃあ、切るから】

 

 同意しづらそうに連絡先の人物は通信を切ると、ブルーは得た情報に従ってタマムシシティのゲームコーナーへと向かう。

 

(情報通りなら……このポスターの裏に…あった♪)

 

 ゲームコーナーの目玉ともいえるスロットには目もくれずに奥の方に向かい、何の変哲もないポスターをめくる。

 その裏側の更に片隅、目を凝らさなければまずわからないであろう位置に押し込み式のスイッチが設置されており、ブルーは躊躇うことなくそのスイッチを押し込む。

 するとブルーのすぐ隣でガコン!と仕掛け階段が作動した音が鳴った。

 これほど大きな音が鳴れば誰か気付くのではと警戒心を高めるも、ゲームコーナーの騒音でかき消されているのか、作動音に気付いたと思わしき客はいない。

 

(なるほどね、ゲームコーナーの騒音でカモフラージュしてるんだ……ま、アタシには関係ないけど♪おじゃましまーす♪)

 

 見るからに怪しげな階段を物怖じする事なく降っていくブルー。

 その先の施設がロケット団アジトでなければ、彼女とアズールが合流する事は無かっただろう。

 勿論それを知る由もないブルーはまさか合流するわけないと高を括りながら、異邦の竜達の情報や本来の目的(・・・・・)の情報が眠っているであろう宝の洞窟へと足を踏み入れるのであった。

 

 

 ────

 

 

 場面は戻って、アズール視点では。

 

「……はぁ。やっぱりか」

 

 得た情報をもとに該当する郊外へとやってきたアズールが見たのは、縄張りだと示すように爪痕が残った木々。

 その見慣れた爪痕がランポス種のものであるとすぐに察してしまった自分に軽く嫌気が差したと同時に、初期の頃の情報以上にメゼポルタのモンスター達が流出している事態に溜め息しか出ないアズール。

 実行犯と思わしき赤衣の男の情報もいたらしい(・・・・・)という最早情報ですらない噂程度のもの。難航どころの話ではない現状だった。

 それでも此方側のモンスターを野放しにするわけにもいかないので、こうしてアズールは調査を続けているわけでもあるのだが。

 

「…いざというときは頼むよ、スターミー」

 

 任せろ、と言わんばかりにボールの中で背中の星?を回転させているスターミー。

 どうやって回転させているのかと疑問に感じていると、見慣れたフォルムのモンスターが木々の合間を横切る。

 

「……ある意味(・・・・)情報通り。質より量とはこの事だね」

 

 得物と定めたのか、鼻息を荒くしながら木々を縫って現れたランポスだが……微妙に姿が違った。

 赤い鶏冠と黄色い嘴、青い体皮までは合っているが、鋭利な爪は爪でも、赤く染まっている上にランポス種に比べて一回り大きい。

 ランポスはランポスでもドス(・・)の名を冠するランポスがアズールの目の前に立ち塞がり、ギャアギャアと喧しく鳴いて威嚇する。 

 

「…ここの住民の人、よく死なずに済んだな……ゆけっ、スターミー!」

 

 一瞬武器なしでもやれるか?と慢心を抱いたアズールだったが、すぐにその考えを捨ててスターミーを繰り出すと、挨拶代わりの初撃をお見舞いする。

 

「フラッシュ!」

 

 定番の眩い光がドスランポスの視界を襲い、防ぐ術がないドスランポスは目眩を起こす。

 畳み掛けるようにスターミーの追撃「ハイドロポンプ」が勢いよくドスランポスの胴体を吹っ飛ばし、一定の距離が空いた。

 

「…水を被ってる今なら、これだ!スターミー、10万ボルト!!」

 

 (スターミー)とは相性の悪いはずの電撃がスターミーの宝石から迸り、水に滴ったドスランポスに通常よりも威力の増した電撃が襲いかかった。

 我ながら容赦がないなと思いつつも、攻撃の手を緩めずにこのまま沈黙させようとした時、ドスランポスは電気を纏ったままスターミー目掛けて飛びかかる。

 

「…!そりゃそうか、バックだスターミー!」

 

 既のところでボールのキャプチャーレーザーが間に合ったのもあり、ドスランポスの攻撃を喰らうことなく撤退に成功したスターミー。

 しかしそれは、アズールとドスランポスの一対一の勝負に切り替わったことも意味していた。

 今度はお前だと言わんばかりにドスランポスの力任せの突進がアズールに迫るも、軌道の読みやすい攻撃であることもあって横に跳躍することでそれを回避。

 突進の勢いがあまって派手に木にぶつかるも、なんてこと無いのか、それともそんなの気にならないくらい怒っているのか、再び喧しく鳴き喚く。

 

「そんなに鳴いてもエサにはならないよ…っと!」

 

 穿龍棍を持っている時にも使っている蹴りをお見舞いし、再度アズールは距離を取る。

 しかしドスランポスも馬鹿ではない。再び距離を取ったのなら飛びかかればいいと考え、勢いよく襲い掛かった。

 

(……かかった!)

 

 ドスランポスの見えない武器ともいえる俊敏性。それを飛びかかりという軌道を変えれない……いわば俊敏性を殺すような動きに誘い込めたアズールはしめた顔で用意していた特注のボールをドスランポスに放り投げる。

 モンスターボールにそっくりだが、実はそうでないボール。「ハンターボール」と名付けられたソレはメゼポルタのモンスターにのみ反応するボールで、オーキド博士の依頼の際に外の地方の技術に感心した工房班が僅かな期間で造り上げた逸品ともいえる。

 そんなハンターボールに収容されたドスランポスはボール内で激しくもがくも、その努力も虚しく完全に沈黙。安堵の息を漏らしながら、地面に転がったボールを拾い上げた。

 

「……モンスター、捕獲完了」

「お見事です」

 

 背後から聞こえた声に振り向くと、拍手をしながらアズールのもとへと寄ってくる女性が。

 

「……誰だ?」

「そんなに警戒しないでください。少なくとも、貴方の敵ではありませんわ」

「信用する材料がない以上、当然だと思うが?」

「ふむ…では、私がジムリーダー(・・・・・・・・)である、と言えばどうでしょう?」

 

 お淑やかに笑みを浮かべながら、信用できる材料を提示する女性。それを裏付けるように続けて彼女は懐からバッジを取り出した。

 

「それは……」

「レインボーバッジ。無論、公認の物ですわ。嘘だと思うのであれば、他のジムリーダーに聞いてみるのも良いでしょう。まだ…信用できませんか?」

「………分かった。そこまで言うなら本当のものなんだろうし、もし敵対しているなら声を掛ける前に不意討ちしてるだろうからね」

「わかっていただけたようで何よりですわ」

「それで?僕に何の用事が?少なくとも初対面の女性から頼みごとなんて……」

 

 滅多にないと言いかけたところで、つい最近──なんならちょっと前まで同行していた少女の初対面もソレだった事を思い出し、目の前の女性もやっぱり何か企んでいるのでは?と疑問を抱くアズール。

 

「どうされました?」

「なんでもない。ともあれ立ち話もなんだし、どこか腰を落ち着けられる場所で話そう」

「でしたら、私の屋敷に招待いたしますわ」

「…もしかして、カントーって富豪多いの?」

「そんな事はないと思いますよ?それと…申し遅れました、私はエリカといいます」

「僕はアズール。さっきの態度、申し訳ない」

「ふふ、気にしていません」

 

 どこか儚げな笑みをこぼすエリカに優雅とはこの事を言うんだなと僅かに見惚れながらも、彼女の屋敷に向かうアズールなのであった。




用語解説
・ハンターボール
オーキド博士の依頼と共に提供された技術をもとに工房班が開発したメゼポルタのモンスターだけを捕まえるボール。
外の地方のポケモンには一切反応せず、ポケモンを捕獲するのであれば別途モンスターボールが必要であるというデメリットこそあるものの、メゼポルタのモンスターであればモンスターの収容先がハンターボールでない場合のみ所有権を無視して捕獲できる。
ハンターボールに収容されている場合は所有権のあるポケモン同様に弾かれる。
リオレウスなどの大型モンスターの場合は瀕死まで弱らせる必要があり、なおかつ休眠状態でなければ捕獲の難易度は大幅に上がる。

カグラやノノ、ドラギュロスもこのボールに収容されている。
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