ポケットモンスターSpecial Frontier   作:400円

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軽く迷走していました。
それと今回から地の文の書き方をアズール視点中心に変えてみました。2、3話ほどこの書き方を試してみてやはり違うなと思ったら修正する予定です。




ある少女の秘密と、狩人の秘密

 

「……なるほど。そんな事が」

 

 Unknownの襲撃をなんとか退け、全員満身創痍の状態で帰還した僕達。全員の疲れ果てた状態に驚いたエリカにとりあえず二人を先に休ませるよう告げ、事の顛末をエリカに報告すると、なんとも言えない表情で現れた新たな脅威に頭を悩ませていた。

 

「…Unknown、正体不明の竜……」

「ああ。ヤツは僕らの地方でもあまり分かっていなくて……唯一分かるのは、あらゆる種(・・・・・)のモンスターの特徴的な技を利用する点と、異常なまでの強靭さ…悪い部分しか分かっていないんだ」

 

 メゼポルタでも頭を悩ませる存在、Unknown。

 中でも厄介なのが、「見たものの認識を捻じ曲げる」というオカルトに頭から突っ込んでいるとしか言いようのない能力。

 どれだけ敵として相対していても、その正体を理解から遠ざけ、分からないという認識に固定するという滅茶苦茶な能力こそがヤツの解明を遠ざけている第一要因とも言えるだろう。

 

「…やはりそれも、倒すのですか?」

「当然。といっても…ヤツの場合は赤衣の男が連れているみたいだから、そう簡単には出てこないだろうけど」

「裏を返せば、赤衣の男がいる場合はほぼ遭遇する、と」

「……そういうこと」

 

 この短期間でリオレウス以外のモンスターも多数いたということが判明した以上、他の場所にも何体か放出されてしまっているだろう。そう思うと気が滅入る。

 

(……シエロは勘弁して、とは言ったけども…最高の助っ人になりそうだ)

 

 一人で地方に蔓延るモンスターを狩り尽くせは重労働どころの騒ぎではなく、過労死まっしぐらのトンデモブラック業務だ。

 二人でもさして変わらないが、メゼポルタの最高戦力と言われているシエロであれば瞬殺とまでは行かなくても、特に足踏みすること無く滞りのない結果を出してくれるだろう。

 彼女が従えているモンスター達もそう簡単には従わないモンスターばかりだし、助っ人としてこれほど心強いものはない。

 

「…それで、これからどうなさるのですか?」

「とりあえずは此処を出るよ。ロケット団に顔が割れている以上、僕やブルーを引き摺り出す為に他の人に危害が及ぶかもしれない」

「目的地は?」

「特に決まってない…というより、目的地のヤマブキに侵入できない以上、侵入できる方法を探るしかない」

 

 それに、ポケモンの戦力も増強する必要がある。

 先の戦いで攻撃を庇ったカグラが負傷し、よりにもよって自慢の脚をやられた為、療養も兼ねてエリカのもとに預けることとなった。

 それだけではなく、悔しい事にスターミーとカラカラだけでは心許ないのが分かった以上、ポケモンの戦力増強は目下の課題でもあった。

 それならば、とエリカが戦力増強にもってこいの場所「サファリゾーン」を提案してくれた。

 何でも人がほぼ手をつけていない大自然で悠々と暮らすポケモン達が多数存在し、運が絡んでくるが、そのポケモン達を捕獲するチャンスもあるという。

 

「…アリだな。動けなくなったカグラの代わりになるポケモンがいれば、戦力ダウンもマシにはできる」

「サファリゾーンは此処から南下したセキチクシティという場所にあります。それと……提案しておいてなのですが、どうやらサファリゾーンにも…いるようです」

「……まぁ、だろうね。人の手が多く入ってるカントー地方の中でも唯一の手つかずの大自然を此方(メゼポルタ)の竜達が放っておくわけがない」

 

 無論、サファリゾーンに飛竜種を紛れ込ませたのは間違いなく赤衣の男だろう。あの男も飛竜達と同じでそういう天然物が好物なのだから、サファリゾーンの存在を聞いて閃いたに違いない。

 そうと決まれば、早速出発の準備──と言いたいところだが、ブルーとの対談を先に済ませなくてはならない。

 彼女のことだ、はぐらかしてその場をなあなあに納めるだろうが……彼女の鳥に対する苦手意識は推測の域をでないが、相当なトラウマとして刻まれている。

 無論メゼポルタのモンスターと対峙したから、というのもあるのだろうが…ヒプノックはリオス種に比べたら危険度の低いモンスター。雰囲気からでも「リオレウスよりは強くなさそう」と初見でもそう思いそうなのに、リオレウスと一度対峙していたブルーは動けなくなるほどまで陥った。

 今後の事を考えるのであれば、今聞いておくのは決して時期尚早ではないだろう。

 

「決まりだな。次はセキチクシティ……の前に。ちょっと一室貸してもらえるかな?ブルーと話しておくことがある」

「分かりました。それと…コレを持っておいてくださいな」

 

 エリカが取り出したのは彼女を越えた証でもあるレインボーバッジ。カスミの時と同じように戦ってすら無いのに良いのかと聞くと、「ソレ以上の事をやってくれたのだからせめてものお礼です」と差し出してくれた。

 そういう事であればその厚意を無下にするのは失礼に値する行動なので、ありがたくレインボーバッジを手に取った。

 

「大事にするよ」

「そうしていただけると、私も嬉しいです」

「…それじゃ、ちょっと部屋借りるね」

「ええ。貴方、ブルーさんの部屋に案内を」

 

 エリカの侍女に連れられ、ブルーが休んでいるであろう部屋に案内され、侍女がゆっくりと襖を開ける。

 其処には目に見えて意気消沈しているブルーが。雰囲気を察したのか、侍女がそのまま立ち去るのを見送ると、遠慮することなく部屋に入る。

 

「……はぁ」

「溜め息とは珍しいね」

「…女の子の部屋に入り込むのはシュミ悪いわよ?」

「同感だ。でも聞いておくことがあるからね。一緒に行く以上その課題を野放しにしておくわけにもいかないだろう?」

 

 反論することなく、ブルーは再び視線を向こうにやる。

 暫くの沈黙の後、彼女は思い返すように語りだした。

 

「……アタシ、昔誘拐されたんだ」

「………」

「その誘拐した時に利用されたのが鳥ポケモンで……連れ去られる形でアタシは故郷を…マサラを離れる事になった」

「…マサラ出身だったのか」

「ええ。ちょうど貴方があの男の子…レッド、だっけ。その子にカグラとノノを見せていた時に、リオレウスや貴方のことを知った」

 

 …あの時か。今となってはもう今更だから隠しても仕方ないと思っているが、あの時点で知られてしまっていた事に軽率だった過去の自分を殴りたくなった。

 

「…これが、アタシが鳥を恐れる理由」

「……そうか。教えてくれて、ありがとう」

 

 思っていたより悲惨な理由に此方もなんて声をかければいいのか言葉に詰まる。

 そりゃ誘拐されたのであればあの怯えようも納得がいく。ありえない話だと分かっていてもまた同じ目に遭うかもしれないという先入観が彼女の奥底に根付いている以上、鳥ポケモンや鳥竜種は彼女の天敵であり、近づける事すら危うい。

 どうしたものかと考えていると、ブルーが伏せた表情のまま、自身の秘密に対する対価を僕に求めてきた。

 

「…ねえ、貴方の秘密も教えてよ」

「僕の?」

「アタシだけじゃ不公平でしょ?」

「……わかったよ。じゃあ、一つだけ」

 

 コレを言うのはあまり気が進まないが、重い空気の中で言うのならさして変わりはないだろう。

 そう判断した僕は彼女に秘密…という程のものかは別として、彼女の過去に釣り合いそうな重めの話をする。

 

「僕は、面倒なのに呪われてるんだ」

「…なにそれ?」

「予想通りな反応。僕もキミの立場ならそう言ってた」

 

 ブルーの不機嫌そうな顔に苦笑しつつ、袖を捲くる。

 すると不機嫌な顔から一変してブルーの表情は驚愕の顔に変わり、醜いものを見るように顔を歪めた。

 焼け爛れ、今も尚ドス黒い何かが纏わりついている様な感覚が残る…悍ましいの一言が相応しい僕の腕。

 

「…遥か昔に、たった一晩でメゼポルタ一の大国を滅ぼした龍がいてね。つい最近まではそれが御伽噺だったんたけど……僕がそれを覆してしまった(・・・・)時についたんだ」

「……不意に、ってこと?」

「そうなるかな。ただの調査が御伽噺の存在を引っ張り出して、逃げれば死ぬと思ったから生き延びるために戦った代償としてコレが残った」

 

 袖を戻し、悍ましい腕を隠す。

 僕を含めて誰が見てももう神経が通っているとは思えない腕は不思議な事にまだ神経が通っており、自分の意思で動かすことができている。

 ただ──あの存在(・・・・)が常に背後にいる気がして、時折とても恐ろしく感じる。

 

 

「…キミの過去に比べたら、安いものだけど。これが僕の秘密。多分治ることのない、生きてる限りずっと続く呪いだ」

「………」

「さ、お互いの秘密も暴露したし、そろそろ次の目的地の話にしよう」

 

 半ば強引に話を切り上げ、次の目的地とその目的…戦力増強とモンスター調査を兼ねてセキチクシティのサファリゾーンに出向く事を伝える。

 ブルーには無縁の場所だろうし、ここでお別れだと思っていた矢先、ブルーは僕の考えとは裏腹についていく意思を示したと同時に、僕に一つの提案を投げかける。

 

「メゼポルタのモンスターをアタシにも使わせて」

「……わかった。ならノノを「そうじゃない」」

自分専用の(・・・・・)モンスター。悔しいけど、アタシのポケモン達じゃメゼポルタのモンスターに対抗するのは難しいし……前に一緒に戦った男の子の言う通り、いつも貴方が隣にいる訳じゃない」

「………分かっているだろうけど、ポケモンとは訳が違う。捕まえたところで、最悪自分が捕食されるなんて事もあり得るんだ」

「覚悟の上よ」

 

 モンスターと戦うこと以外の目的は何もないと強い意志を抱いた目で訴えてくるブルーに折れた僕は予備のハンターボールを2つだけブルーに手渡した。

 

「……ハンターボールは、モンスターに対してであれば確実に捕獲を完了させる対モンスター専用のモンスターボールだ。ただし、それには条件がある」

 

 一つ、モンスターを瀕死状態になるまで弱らせる。

 二つ、休息時以外は捕獲の精度が落ちる。

 三つ、モンスターの弱点部位に当てる必要がある。

 

「……そんなにあるのね」

「…そんな簡単に捕まえられるほどモンスターは軟じゃないからね。ポケモンも同じだろうけど」

「でも、当てれば確実に捕獲できる…と」

「その通り。初回だし、僕も手伝おう。キミのポケモンの火力を疑っているわけじゃないけど、知識がある人間はいたほうがいい」

「うん。それじゃ…行きましょ」

 

 ボールをしまい、その場から立ち上がって部屋を後にするブルーを背に「…始末書用意してもらわないとな」と独りごちる僕なのであった。

 

 




人物解説

・アズール(追加)

蝕まれた腕
とある御伽噺の存在と交戦し、勝利の代償として刻まれた焼け爛れた腕。見るも悍ましいその腕の持ち主は常に誰かに見られているような感覚に襲われ、意思なき者がその視線に晒され続けた時、正気は失われるだろう。

その中でも彼は例外として正気を失うことなく自身を保ち続けている事から、とある御伽噺の存在と同じ名を持つ存在に目をつけられる事になった。
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