無職転生~もっと本気だす~   作:ぽてちき

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第十三話「ターニングポイント1」

あれから数日後、事件が起きた。

あれは皮肉なくらい澄んだ青空の下、

家の庭でパウロと稽古をしていた時だった。

 

 

 

 

───

「ルディもあれから腕が上がったなぁ!」

 

「ええ!生涯鍛練してきましたからね!」

何気ない幸せな時間だった。

だがその日に運命は変わった。

 

「……ッ!?」

その途中、何かの気配を感じた。

 

俺がやらなければ、できるのは俺しか居ない…そう思った。

 

「……父さん、リーリャと母さんを頼みます…」

 

「ルディ…?一体何を…?」

 

「早く家にっ!」

 

 

「……っああ!……無事でいてくれよ!」

今回はパウロが正直で助かる。

もう少し手こずると思っていたのだが。

 

 

 

そんな中、パウロたちは避難させた。

 

心の準備はできた。

 

いつでもいける。

 

 

 

 

坂道を登って姿を表したのは、かつて死闘を繰り広げた

戦友……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王バーディガーディであった。

 

「うむ?久方ぶりの再会というのに湿気た面をしているな!

ルーデウスよ!」

威圧感のある懐かしい声が響く。

 

 

 

「バーディガーディ……久しぶりですが穏便に…

なんてことは無理そうですね。」

 

「ああ、残念ながらそうだ。」

 

こいつはなぜ現れた…?

やはりヒトガミの命令なのか、もしくは……

 

 

 

 

「結論から言おう。

我輩がここへ来た理由の一つはヒトガミに言われたからだ。

だが本当の目的は貴様の命などではない。」

 

「それはどういう…?」

 

「我輩……いや、ヒトガミの目的はたった一つ。」

 

 

「貴様のその腕輪を外させることだ。」

 

「これが目的…だとすると

ヒトガミは俺と会話がしたいんですか…?」

 

「その通りだ。

だから貴様の命などいらんが……我輩の目的は違う。

我輩は貴様に敗北した。だからもう一戦やりに来た。

ただそれだけだ。」

 

 

 

ヒトガミは無理やりにでも腕輪を外すことが目的、

となると必然的に戦闘は避けられない。

そこでバーディに向かわせることにより、

腕輪を外すことと戦うことはどちらも叶うことになる。

この二つの目的を達成できる適合者ってところか…

 

 

「……嫌だ、と言ったら…?」

 

 

「貴様の腕を貰ってでも腕輪を外させる。」

 

やるしかないのか…

 

 

 

オルステッドは今は助けに来れない。

ロキシーもザノバも無理だ。

シルフィやエリスはまだ出会ってない。

もちろんドーガやシャンドル、ギレーヌにクリフ、

ルイジェルド達も出会ってない。

パウロは戦えるが、この戦闘では足手まといだろう…

ゼニスもリーリャも戦えない。

さらに魔道鎧もなし……

 

ヒトガミにとって最高の瞬間じゃねぇか…

 

 

俺はロキシーから貰った初心者用の杖を手にした。

 

俺に力を貸してくれ…ロキシー……

 

 

 

 

「だったらバーディ!醜く足掻いてやるよ!」

 

「そうこなくては!」

 

 

 

 

 

開幕は俺の岩砲弾から始まった。

岩砲弾はバーディの足に命中。

よろけさせることに成功。

 

今回バーディは鎧を身に纏わない生身の状態だ。

それは俺も同じ。

だが一つ違う所がある。

それは俺が一発食らえばアウトということだ。

 

 

「フハハ!懐かしいぞこの感触!」

 

続けて放つ。

頭、右腕、左腕、胸、腰、足、

命中したがやはり再生される。

 

「想像以上に厳しいかもしれぬっ!」

 

結果バーディは一歩も動けず足止めされている。

……いけるっ!

 

 

 

 

 

その瞬間バーディは姿勢を低く、足に力を集中させた。

飛んでくる。

 

 

だがそれはさせない!

泥沼っ!

 

読み通りだ。

バーディが飛んでくるその瞬間

泥沼で足止めをすることができた。

 

 

 

 

「貴様は相当強くなりおったな!」

 

だがバーディは不死身。

封印手段がないのにどうすれば……

 

 

 

 

 

「っ!?」

次の瞬間バーディは投げ飛ばしてきた。

自分の腕を。

 

 

 

 

「土壁!」

 

間一髪防げたがバーディの足止めが不十分に…

「やべぇ……!」

 

 

飛んできやがった!

練度を上げた土壁で咄嗟に防御したが虚しくも

間に合わなかった。

 

 

 

 

 

 

バーディの拳を食らい後方にぶっ飛んだ。

魔術で威力を殺してなんとか致命傷は避けたが、

今の体では防御力が足りない。

 

 

 

「……かはッ…!」

かなりヤバい…早く治癒魔法を…

 

「させぬ。」

瞬間に俺の左腕が吹き飛んだ。

 

「がァッ……!」

ヤバいヤバいヤバい!

 

早く回復…攻撃…防御…早くしないとッ……

 

 

 

 

 

バーディが悲しみを受けた顔で話し始めた。

「……残念だ。まだ不十分だと言うのか…。」

 

「……ッ!バーディ!!まだ……やる気か?

それだったら俺は…………」

 

 

「いや、もう勝負はついた。……だがルーデウス!

今回は我輩の勝ちだがこれは不戦勝だ!

貴様が十分に戦える年に成ったとき、

我輩は改めて貴様と戦おう!」

 

 

 

「ハハ……それは何とも……陛下らしい考えですねッ……」

 

「ではまた会おう……ルーデウスよ!

次も我輩が勝利してみせよう!」

そう言い残してバーディは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見逃して貰えた……だがバーディが本気だったら

俺はここで死んでいただろう…

 

「一体……どういう風の吹き回しだよ……」

 

 

 

 

薄れゆく意識の中で俺は話した。

「オルステッド様…申し訳ありません……

父さん…母さん…リーリャ……ごめんなさい……

ロキシー…シルフィ……エリス……ごめんな……

俺が…弱くっ……て………………」

 

 

 

 

 

 

 

意識が消える……これからどうしようか……

皆……ごめんなさい…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

目が覚めると真っ白で何もない空間に居た。

ここでの姿は相変わらず

ルーデウス・グレイラットの姿だ

 

この感じも嫌だけどなんか懐かしいな……

 

 

「やあ!」

白いもやのかかった気持ち悪い奴に話しかけられた。

 

「気持ち悪いだなんて落ち込んじゃう!」

 

……否定はしないところ実際思ってんだな。

 

「まあ、皆に言われるからね!」

 

 

 

 

ところでお前何が目的なんだ?

俺の命じゃなくて俺との会話を取った理由はなんだ?

 

「ちょっと!質問責めだなぁ。

まずは僕との再会を祝わないと!」

 

お前に祝われることなんか一つもねぇよ。

それにこの前と比べてずいぶんご機嫌だなぁ

俺に一泡吹かせたからか?

 

「それもそうだけど君の計画を台無しにできるからね!」

 

 

 

 

 

……あーあ、お前に見られたせいで計画台無しだぜ。

本っ当お前最悪だ。

 

「そういって貰えると助かるよ!」

 

 

 

……ところで話が脱線してるようだが?

目的を早く言えよ。

 

「脱線なんかしてないよ、それが目的。

君の計画を知ること。」

 

 

 

 

………………はあ。

またしてもしてやられたってのかよ。

 

 

「ハハハ!君のその態度も久しいねっ!」

 

 

 

 

話が済んだならとっとと出してくれよ。

こんな気持ち悪い所に居たくねぇ。

 

「君が話せって言ったんだろ?

でもまあ、久しぶりに話せて楽しかったよ。」

 

 

 

 

 

フッ。お前とは本当に分かり合えないな。

……でも、

 

「なんだい?」

 

今度も敵どうし恨み合っていこうぜ。

 

「ハハ。でもそれは御免だね。

なにせ、今回は僕が主役だ。」

 

 

そうかい。だったらせいぜい頑張れよ。

じゃあな。

 

「ああ、君もねっ!」

 

 

 

 

 

 

意識が戻る中

アイツのにやけた面が目に入った。

ムカつく顔だ。

 

今回もアイツと戦わないといけないのかよ……

面倒だなぁ………………

 

でも今回も吠え面かかせてやるよヒトガミ。

 

 

第二ラウンド開幕だ。

 

 

 

 




─前世の記憶のある人物─
・オルステッド
・リーリャ
・ロキシー
・パウロ
・ゼニス
・ザノバ
・バーディ
・ヒトガミ
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