無職転生~もっと本気だす~   作:ぽてちき

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第十六話「信じられる人」

シルフィと出会ってから数日経った。

 

報告の件は

オルステッドには「そのまま頑張れ」と、

ロキシーには励ましの言葉を、

パウロには「今度こそ結婚報告よろしくな!」と、

ゼニスとリーリャには「家に呼んでも良いのよ?」と

それぞれの形で励ましを貰った。

 

そしてシルフィのことについては

それぞれ初級はある程度習得、

中級魔術は一部のみできる位だ。

 

さらに今回も親しく接しているのから

好感度は申し分ない。

 

というのが近況報告だ。

そして今日もシルフィに魔術を教えに行く。

 

こんなに快晴なんだから外に出ないと勿体無いしな。

 

 

 

 

 

───

 

 

 

「それでは今日も講習を始めます!

起立!礼!着席!」

 

「よろしくおねがいします………?」

 

「今日は中級魔術に挑戦しましょう!

今日の魔術は岩砲弾!」

 

「おー……」

 

 

「まず岩砲弾とは───」

 

岩砲弾の説明を始めた。

これは俺の十八番と言っても過言ではない魔術。

全てを伝授させよう!

そういう心構えで教え始めた。

 

 

シルフィの様子は良い。

熱心に聞いているし、うなずいている。

だけど今日は少し元気が無さそうに見えるな。

今日は早めに切り上げようかな…

 

 

 

「───というのが岩砲弾です!

では実際にやってみましょう!」

 

 

「……あのさ、」

 

「ん?どうしました?質問ならどんと来いですよっ!」

 

 

 

 

「ルディ。」

シルフィが名前を呼ぶ。

 

 

 

「はい、なんでしょ──」

 

 

 

その瞬間俺の目の前に何かが突きつけられた。

 

花束?ラブレター?

それとも杖を突きつけて「手合わせを願いたい」

とか言うのかな?

 

 

と思っていた。

 

 

 

 

それが花束やラブレターだったら

どれほど良かったものか。と心の底から思った。

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイフだ。

 

彼女の争いを知らない小さな手には似合わないものが

握られていた。

 

それは『魔法』ではなく『殺し合い』を意味する

魔術師である俺に対しての冒涜でもあった。

 

 

なぜ?

 

そんなことを口にする直前シルフィが話し始めた。

 

 

 

「ルディ……。君なんだろ?

君が…この町を、この場所を、僕の両親を、

全て消そうとしているのは。」

 

 

「は…?シルフィ一体何を……」

 

 

 

「とぼけないで!!」

シルフィが口調を強めた。

 

「全部!全部!お前が!

お前が悪いことをするんだ!

そう言われたんだ!!」

 

 

「……シル……フィ…?」

 

 

 

「お前が数年後この町を!魔術で!

消そうとしてるっていうことを!!

そうなったら町も人もみんな消える!

みんないなくなっちゃうって!!」

 

 

嫌な予感が頭をよぎって冷や汗が流れた。

「……それは誰に?」

 

 

 

 

「…………僕、最近夢の中で神様と合うんだ。

白くて優しくて、楽しい話をしてくれる人なんだ。」

 

 

考えもしなかった……

考えたくもなかった現実が、ここにあった…

 

 

 

 

 

あの糞野郎ッ……!シルフィを使徒にしやがった!

 

 

 

「ふざけんなよ…!」

 

怒りを抑えきれず、唇から血が出る。

 

 

 

 

 

シルフィがゆっくりとした口調で話す。

 

「夢の中で話してた時、神様が教えてくれたんだ。

『残念だけどルーデウスは君を裏切るよ。

彼は数年後にブエナ村を魔法でまるごと消す計画を

立ててるんだ。

君と接触したのも使えると

思ったからなんじゃないかなぁ?』って……」

 

 

「それは何の根拠もない……」

 

 

「ある!神様は未来が見える力があるんだ!

『僕は良い未来にするために頑張っているんだ』

って!

だからお前が絶対するって分かる!」

 

 

嫌だ……絶対駄目だ。

シルフィを救わないと。

このままだと…

命をかけた戦いが起きてしまう。

 

殺し合いになってしまえば俺は絶対勝てない。

 

俺はシルフィを殺せない……

殺したくない……

 

 

何とか説得しないと…っ

 

 

「シルフィ!そいつはヒトガミっていう奴で

人を騙す悪い奴だ!俺だって何度も──」

 

 

「わかんないよっ!!!」

 

 

「僕にはわからない!!」

 

 

 

「ッ………」

 

 

 

 

「神様はお前が悪い奴だって言ってる!

 

でも……でもっ…どうして?

 

どうして君は僕に優しくするの…?

 

なんで?

 

君は悪い人なのに……

 

僕は…………君を…ルディをどうすれば良いの……?」

 

思いをぶつけたシルフィの目から涙がこぼれる。

 

 

 

 

「シルフィ…」

 

 

「どうして………?教えてよ……」

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「………わかった。」

 

そう言って俺はシルフィの手にナイフではなく

俺の手を握らせて走り出した。

 

 

「ル…ルディ……?」

 

 

 

 

───

 

 

 

シルフィの手を取り向かったのは

いつも見る場所だ。

とはいっても特別な思い出は無い。

何の変哲もない景色だ。

 

だが、金色が広がる麦畑。

緑豊かな山々。

その中で仕事をする人たち。

 

そんな背景美とも言えるような所で俺は好きだ。

 

 

そしてこの場所を背景にシルフィと話し始めた。

 

 

 

「……ここ、良いだろ?」

 

「……」

 

「平和を表したようなこの場所が俺は大好きなんだ。」

 

「それにここは俺が今度こそ守りたいって

思えた場所だ。」

 

 

「……それがどうしたの…?」

 

 

 

 

 

 

 

「…シルフィの前で格好つけたかったんだ。

でも何も出来そうにない…

正直俺は何も出来ないよ。

それに何者でもない。

ただ魔力と人との繋がりが多いだけの人間だ。

 

…………でもそれは半分正解だが半分間違っている。」

 

 

 

「…?」

 

 

「俺一人だったらこうなっていたさ…。

でも今は違う。

信じれる人とか、頼れる人、そして…愛し合える人…

そんな人たちがいるおかげで俺は今も生きてるんだ。」

 

 

「結局何を─」

 

シルフィの手を握る。

 

 

「きゃ……ルディ?」

 

 

「シルフィ!」

 

「な…何?」

 

 

「俺は君を……シルフィを、もう一度愛したい。

突然だし、捻りもなくってごめん…!

だけど……俺が、

俺が大切だって思い続けていたのが

シルフィなんだ。

何の変哲もないシルフィエットだ。

……だからさ…シルフィ、俺を信じてくれ……。」

 

 

「ルディ…………」

 

 

 

 

 

少しの沈黙の後、口を開いた。

 

 

 

「僕は………ルディを信じるよ。」

 

「本当か…?」

 

安堵と同時に達成感が襲う。

良かった……本当に……。

 

 

するとシルフィが笑顔に変わって話し始めた。

「……うん、やっぱりルディには敵わないなって、

もう一回僕を口説き直すなんてさ、

やるね、ルディ。

僕もこれから負けてられないよ。」

 

 

「そうだな…………え?」

 

「……それとルディ。」

 

「な、なんでしょうか…?」

 

 

「こちらこそ、

今回も僕のことを愛してくれてありがとう。

いや…こういうときにかける言葉は他にもあるね…」

 

「シルフィ!!」

俺は思わずシルフィに飛び込んでいた。

それと同時に涙が溢れだす。

 

 

「ただいま、ルディ。また会えて嬉しいよ。」

 

「シルフィ……!俺も…会えて嬉しいよ!

それにさ……また、俺を信じて選んでくれて……!

ありがとう……本当に……本当にありがとう……。」

 

 

「僕も…ありがと。

頑張ってくれて、

これから聞きたいこととかたくさんあるけど

今はゆっくり休んで。

後で話そうよ。」

 

 

「あとさ!シルフィ!」

 

「どうしたの?」

 

「本っ当にヒトガミの使徒じゃないんだよな!?

もう一度俺を信じてくれるんだよな!?」

 

「勿論だよ。

僕は何回生まれ変わってもルディを愛すよ。」

 

 

「そ、そうか……」

体から何かが抜ける感じがした後、へたり込んだ

 

「本当……ありがとう……」

 

 

「ふふ……」

 

 

 

 

 

参ったな…

格好いい所を見せて

シルフィを感動させようとしたのに…

結局駄目な男だ。

 

 

 

「ありがとう…ありがとう………」

感謝を伝えながら泣いているうちに疲れが来て

俺はシルフィに慰められながら静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─精神世界─

 

……はぁ愛って何だよ。

つまんないの。

 

やっぱり運命が強すぎて難しいなぁ。

すぐに悪い未来になっちゃう。

 

 

でもまだ僕の攻撃は止まらないよ!

それにしても…今回もあの顔が見れるなんてっ!

 

楽しみで仕方がないよ!

 

 

 

 




─前世の記憶のある人物─
・オルステッド
・リーリャ
・ロキシー
・パウロ
・ゼニス
・ザノバ
・バーディ
・ヒトガミ
・シルフィ
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