無職転生~もっと本気だす~   作:ぽてちき

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第四話「私はあなたの」

ロキシーと出会う。

 

それが次の俺の目標だ。

ロキシーとの子供、つまりララがヒトガミを倒すうえで必要不可欠になるらしい。

 

とは言っても…

「どうしようか」

 

リビングの片隅でそんなことを考える。

 

「ルディ?そんなに悩んでどうかしたの?」

優しいながらも頼りがいのある声が聞こえる。ゼニスだ。

 

「少しばかり悩みがありまして…」

ある程度はぼかして会話を続けよう。

 

 

「そうなの?てっきり悪いところでもあるんじゃないかって心配してたのよ。」

 

「ははは。問題ありませんよ!あなたのお子さんは立派に育ってますよ。」

 

 

「なら良かったわ。」

ゼニスが安堵の笑いをあげる

 

 

そういえば今世ではあんまり家族との関わりが積極的じゃなかったな。

ここは家族との交流も深める絶好のチャンスだ。

 

「もしそうだったら何か手伝いましょうか?なにしろ、元気が満ち溢れているもので。」

 

 

「ふふっ、ならリーリャの手伝いを任せようかしら。」

 

「はいっ!かしこまりました!」

 

「ルディは元気ねぇ~。」

 

暖かい会話だ。長年ゼニスとはこんな会話は出来ていなかった。やはり心地よいものだ…母親との会話というものは…

 

ずっとこの生活が続けば良いのに…

 

しかし数年後、転移災害に巻き込まれこのフィットア嶺は

消滅してしまう。だが、今世ではそれを俺が食い止めるのだ。

かつて何も出来なかったこの俺が…必ず…

 

 

 

 

 

────リーリャ視点─────

 

私はルーデウス様のことは

素晴らしい人物であると思っている。

でもなぜだろう。私の頭の奥底で

ルーデウス様を忌み嫌っていた記憶が眠っている。

そんなことは決して無いのに。

 

 

 

 

「リーリャ!何か手伝うことはありますか?」

ルーデウス様が私に向かって話しかける。

 

「そうですね…では家の掃き掃除でもお願いしましょうか。」

 

「仰せのままにっ!」

 

 

 

「ふふふ、ルーデウス様は気さくな方ですね。」

 

「そうですか?自分ではあんまり思ったことなんて無いんですが。」

 

「ええ、旦那様と奥様によく似ておられますよ。」

 

「えへへ…そうですかぁ…」

本当によく似ておられる。ルーデウス様と話をすると昔の旦那様と奥様のことを思い出してしまう。

…でも本当の理由はそれなのだろうか。

この懐かしい感覚を感じている理由は。

 

 

「ではリーリャ。僕は掃き掃除をしておきます。ですので、休んでおいてください。」

 

「いえ、ルーデウス様の指示でも私の使命は変えられませんよ。何しろ、私はこの家のメイドなのですから。」

 

「そうですか…では、僕は掃除しますよ。」

 

「お願いいたします。」

ルーデウス様はとても賢い方だ。

この年で気遣いも出来るなんて…

 

 

私は食器の片付けを続ける。

奥様は洗濯物を干しに、旦那様は日課の鍛練をしに外に居る。

早く片してしまわねば。

 

 

 

 

 

「リーリャ!終わりました!」

早い。本当にやったのだろうか…?

 

「ずいぶんとお早いですね」

 

「ええ。リーリャにお礼を言いたくって…」

お礼?

 

「毎日家事をしてくれてありがとうございます。日々のことは感謝しにくいので、思った今伝えておきました。」

ルーデウス様がにこやかに笑う。

 

 

 

 

どういうわけか、途端に思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はこの笑顔を知っている。

 

 

その名前、性格、顔を知っている。

 

かつて私が忌み嫌っていた。

かつて私が尊敬を抱いた。

かつて私が私の子供を遣えさせようと決意した。

かつて私が生涯を通して遣えた。

 

 

その人物を。

 

 

 

 

どうしてこんなに大切なことを忘れていたのだろう。

私はとんだ馬鹿者だ。

どんなに大変な思いを一人で抱えていたのだろう。

 

 

 

 

私は…………あなたの……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ルーデウス視点─────

 

ガシャーン!!

 

リーリャの手から積み上げられた食器が甲高い音をたてながら

崩れ落ちた。

 

リーリャは手で口を抑え「信じられない」というような顔で涙を流している。

体調が悪いのだろうか?

なら俺が治癒魔術をかけてあげよう。

そう思い、手を伸ばした瞬間。

 

 

 

「ルーデウス様……いや…"旦那様"……」

 

リーリャが大粒の涙を溢しながら捻り出すような声で放った。

 

 

まさか

 

 

 

「リーリャ…?もしかして記憶が…?」

 

 

「……お久しぶりで…ございますっ……ご迷惑をっ…おかけしました……申し訳ありません…」

 

 

目が見開かれる。

まさか記憶が。

 

「本当ですか…?」

 

 

何年後ぶりだろうか。懐かしい感覚、記憶、思い出が一気に脳裏を駆け巡る。

俺の大切な家族である一人の記憶が、今。

 

 

 

 

 

途端にどおっと、ダムが崩壊したように俺の顔はぐしゃぐしゃになってしまった。

 

 

 

良かった…オルステッド以外にも前世の記憶がある人が…

しかもリーリャが…

 

 

 

 

 

 

 

 

その日俺たちは溜まっていたものを全て出しきるほど

おもいっきり泣いた。

ゼニスやパウロは首をかしげていたがそんなことはどうだって良い。

 

 

 

今は再会を祝う祝砲をあげようじゃないか…

 




前世の記憶のある人物
・オルステッド
・リーリャ
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