無職転生~もっと本気だす~   作:ぽてちき

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第九話「くだらない馬鹿話」

パウロの記憶を戻す。

それが俺の次の目標だ。

戻すほどのアテなど何も無いがいけるのだろうか。

でもオルステッドの計画通りにやれば大丈夫なはずだ…

 

俺は前世でパウロと話せなかったことを沢山話したい。

あれから妻が二人増えたんですよとか、

子供も沢山できましたとか、

そしてパウロと腐れ縁のある人たち

エリナリーゼのこと、

ギレーヌのこと、

タルハンドやリーリャ、ゼニス。

それにギースも…

 

酒の席で、楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、

苦しかったこと、全部本音でぶちまけたい。

とは言ってもまだ酒は飲めないが…

 

俺にとってパウロは二人目の父親だ。

その分の思いも恩も数えきれない程ある。

絶対戻してやる。

そしてまた再会を喜び合うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─パウロ視点─

 

俺にとってルーデウス・グレイラットは自慢の息子だ。

勤勉で、礼儀正しく、誰にも優しく非の打ち所が無い奴だ。

俺が同じくらいの年と比べたら失礼な程にだ。

 

そんな息子から珍しい時間に誘いが来た。

 

「稽古をつけてくれませんか?」と。

 

時間的には全然早いのだが、

ロキシーちゃんが居なくなってしまった

悲しみを紛らわすためなのだろう。

 

それなら俺も手助けする義務があるな。

そして話をするんだ。

お前はロキシーちゃんのことが好きなのか?とか

どんな子がタイプなんだ?とか

 

ほとんど冷やかしみたいだが、

自分の子供と話せることが

幸せなのは誰でも知っている。

 

 

俺も男だ。こういう悲しみに暮れてる奴が居れば

腹を割って話す。

それが男の友情というやつだろう?

 

 

 

───

 

 

 

稽古が始まった。

ひたすら剣を打ち込みながら戦い方を教える、という感じだ。

 

 

「ルディの剣術はこの年齢だと良すぎる位だが、

まだまだ剣士になるには程遠いぞ!」

 

ルディが答える。

「別にっ!僕がなりたいのは剣士じゃなく魔術師ですよ!」

 

「まあ、そう言わずに剣士になれよ!」

 

「…っ!考えときましょう!」

 

 

ルディには魔術の才があるが、自分の子供だ。

剣士にしてぇ!

 

 

 

─数時間後─

 

 

 

「ふぅ…少し休憩を下さい。」

ルディは疲れきった様子で質問した。

 

「あぁ、これくらいにして休憩するか。」

 

 

 

 

 

「それにしても懐かしいですね。」

 

「何言ってんだか、お前まだ五歳だろ。」

 

「昔は毎日、こんな感じで父さんに教えられてましたっけ。」

 

何言ってんだルディは、時々おかしなことしだすんだよな。

 

「どうかしたのか?稽古のしすぎでバカにでもなったか?」

 

「元からバカなのは認めますが、そんな理由じゃありませんよ。」

 

 

「じゃあ何だよ。」

 

 

 

 

「……やっぱり父さんは変わらないですね。

ミリスでもう一度再会した時、

怒りながらでも感じてました。」

 

「本当に何かあったのかぁ?」

…頭が痛いな。俺もバカになっちまったか?

 

「ヒュドラと戦う前でも、

僕に良い所を見せて、カッコつけて

父さんは本当にバカですよね。」

 

「突然何なんだよ。失礼な奴だぜ。」

ルディは何を言いたいんだ?何か伝えようとしてるのか?

……頭痛ぇ…

 

「父さん、俺、父さんが死んでしまってからも

頑張ったんだ。

ロキシーを妻にして、

そんときにはノルンにキレられて大変だったなぁ。」

 

 

「ルディ…やめろ…」

 

「それからノルンとアイシャの誕生日を祝ったり、

ロキシーとの新婚生活を楽しんだり、

シルフィとも結婚生活を楽しんだり、

それから俺の子供のルーシーを沢山可愛がってさ。

本当に可愛いんですよ?

父さんにも見せたかったなぁ……」

 

 

「ルディ…もうやめろ…頭が……」

 

 

「それからも、空中要塞にも行ってみたり、

魔王様と戦ってさ。

危なく死ぬまで契約させられそうになったよ…」

 

何言ってんだ……そんなことは…知らな…………

いや………………

 

 

「…………それからさ、俺、地獄を見たんだ。詳しいことは言えないんだけど……

でもそれからオルステッド様にも会えたし、

エリスとも再会して結婚できた。

それからも色々あったよ……」

 

「……ルディお前…………っ」

頭が割れそうだ…何だよ…俺は何か忘れているのか……?

何か思い出せそうだが……何かが引っ掛かっている。

俺…………どうしたんだ?

 

 

 

 

「本当に語り足りないよ。

父さんと別れてから、いろんなことがあってさ、

でも言わせて欲しいんだ。」

 

「…………」

 

 

 

 

「……あのときは俺を庇ってくれてありがとう。

……そしてごめん…………俺が弱いばっかりに…」

ルディが泣いている。

俺は何か泣かせるようなことをしたのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………たしかにした。……

 

 

俺は自己的な理由で突っ込んで……皆に苦労をかけて…

結果死んで、皆を悲しませる結果になっちまった。

 

そんな記憶も今は懐かしいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

─ルーデウス視点─

 

本当にいけるのだろうか…

思いをぶつける。というオルステッドの計画は。

 

 

 

 

するとパウロが抱きつき、

「ルディ!…………本当…ごめんな……!」

 

「俺が親父で!俺が不完全な親父で!すまなかった…!」

 

 

「……いえ、父さんは俺にとって唯一の誇り高き父親ですよ。」

 

 

「本っ当……俺は駄目だなぁ……っ」

鼻水と涙でパウロはぐっしゃぐしゃな顔をしている。

 

 

「…………ハハッ…その今の顔を見ると納得できますね……

やっぱりさっきの言葉取り消します…。

父さんは駄目な父親ですから、

俺が支えてあげないと…ですね。」

 

「ハハハッ……その通りだ…。」

 

「ハハハハッ…!」

 

 

 

その日は死ぬほど笑った。

そして話を沢山した。

今までのことを、沢山。

 

くだらない話をした一日だった。本当に。

 

バカにするものなど一切見当たらなかったが、

なぜか笑えてきた。

 

 

 

 

なんだよ、オルステッドの計画完璧じゃん。

 

 

 

 

でもこんなくだらなくて

懐かしい瞬間を今はそこにとどめておきたい……

 

そう思えた一日だった。

 

 

 

 

 




前世の記憶のある人物
・オルステッド
・リーリャ
・ロキシー
・パウロ
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