転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「えっと、ラインハルトの計画だとここに井戸を掘って、ここに水路を引いて……」
開拓開始から3週間後。
整地作業は約1200ヘクタールの面積を開拓し、現在は町の外周を取り囲む土壁の建設と内部の開発が行われていた。
引き続きアキのナイトゴーレムが魔物はどんどん狩っているが、万が一開拓した地域に侵入してきた場合、今度入植してくる人達に被害が出てしまう可能性がある。
なので、安心感を与える為に高さ3メートルの土壁を魔法の力で建造していたのである。
土壁と言っても木材で骨組みを作っている為、ブラッディベアーや大きな猪の魔物の突進にも耐えるように作られている。
それを森側の外周約300キロ作ることになり、魔法が使える家臣の皆は壁の建設に駆り出されていた。
そちらの方はメアリーとシュネ、それにラインハルトとマンシュタインに指揮を任せ、俺はアキと一緒に井戸や水路作りに注力する。
最初井戸掘りをアキに任せていたが、空間魔法が使えて、地中の様子を確認できる俺のほうが効率が良いことがわかり、水路をアキが、井戸掘りを俺がするという分担作業をしていた。
井戸掘りというと掘削機を使い、地中深くまで掘り進めていく方法を考えるかもしれないが、俺の場合魔法がある。
掘りたい場所を指定し、土魔法で掘削。
出てくる土砂は空間魔法に一旦収納し、後で整地の材料として使う。
日常で使う井戸だと30メートルくらいで十分であるが、農業用水としても使うため、100メートル以上掘り進める。
すると地下水脈を貫通するので水が湧き出てくる。
これにパイプを設置し水を汲み上げてくれる魔導具を設置する。
過去の転生者が作ったと思われる手押しポンプも実は存在するが、魔導具が使える場所は動力式ポンプが主流である。
蛇口を捻れば水を汲み上げてくれて大量の水をもたらしてくれるからね。
「火山とかが近くにあれば温泉が掘れたのかな? ……いや、ちょっと待てよ」
俺は前世の知識で千葉県には火山が近くにないけれど、地熱の力で温泉を運営しているという知識を思い出す。
「地熱か……まぁ水温が低ければアキに頼んでワイバーンの魔石使って水を温める大型装置作っても良いもんな」
というわけで、地熱を利用したお湯が掘れないか試してみることにした。
場所は町の中心から少し離れた将来娼館とかを建てる予定の花街付近である。
「地熱を活用するってくらいだから相当深くだよな……」
どれぐらい掘れば良いのが分からないので、とりあえず1000メートル掘ることに。
通常のパイプを複数個魔法で溶接し、動力式ポンプの動力の魔石もより大きめの物へと換装する。
それを降ろしてみて、水を汲み上げてみると、5分後に水が湧き出てきた。
「おお! ちゃんと温かい!」
出てきたお湯は47度くらいで思った以上にちょうどよい温度だった。
「あちち、おお!? 思った以上に適温のお湯が出てきた……地熱って凄いな」
後で知ったが、その土地の平均気温+地下100メートル毎に2度から3度水温が上がっていくらしい。
なのでこの土地は年平均気温が17度くらいで1000メートル掘ったから、水温が30度上昇し、汲み上げたら47度くらいになったというわけである。
これを活用すれば水さえ出ればその土地の平均気温を確認することもできるのである。
閑話休題
「お湯が出たって事は上手く使えば温室栽培とかも出来そうだよな……まぁ設備投資に色々必要になるから、まずは冬場の乾燥する時期に土地が乾かないように散水機を設置することから始めた方が良いかもしれないけれど」
そんな事を考えながら、温泉を掘った俺だった。
アキの方の水路建設も順調で、ローマの様な上下水道を整備することができそうである。
土魔法の石化の魔法を使えば、コンクリートの様な事は出来るので、川から引いてきた水や井戸から吸い上げられた水は地下を通り、沈殿池へと流れ込む。
沈殿池では魔導具を用いた水質の洗浄や枯れ葉等の沈殿物の除去が行われ、水位が上がるとまずは領民が誰でも水を汲める各地の噴水へと水が流れる。
この世界で生活をしていて、やたらと町に噴水が多いなと思った事があったが、大きな町だと一々井戸を掘るわけにはいかないので領民が水を汲むことが出来る噴水が活用された。
現代だとモニュメントの側面が大きかった噴水だが、昔は生活用水を入手する公共施設であるとラインハルトの教育で学んだので、必ず噴水を各地に作るように言われていて、アキが作ったのである。
あと水路を地下にしたのは汚物や災害でもインフラがストップしないようにだ。
沈殿池の水位が更に上がれば個人宅へと水が流れる仕組みになっていた。
まぁ食堂とか家臣の家とかには井戸が設置されており、水位を気にせずに活用することができる。
それとは別に下水道も整備され、魔導具のトイレは高価なため、公衆トイレに設置するのは維持費が高くなってしまうので、下水道を設置し、水が常に流れ続けることで水洗とした。
流れた汚水は洗浄施設へと送られ、洗浄後農業用水へと再利用されることになる。
本当に更地から町作りなので上下水道の設置や公共施設を土地の所有者が居ない今なら自由に建てる事が出来るので、理想の町作りみたいな事が出来てしまう。
まぁ図面通りに全て行く事は無いが、それは現場の努力と魔法の力でゴリ押しよ。
飲料水を確保し、公共施設の設置(トイレや噴水、俺の掘った温泉を活用した公共浴場)、駐屯地や冒険者予備校等の広さを取る施設の土地の囲い込みをし、最後に居住予定者達の住宅や倉庫等を設置していき、水道や下水道と接続していく。
「ふぅぅ! 1日50軒以上! 壁の建設が終わった人達から協力してもらっているけど滅茶苦茶つれぇ……」
領民の為に領主が12時間近くの労働をする……うん、普通じゃないな。
結局領民の迎え入れが終わるのはそれから更に1ヶ月が過ぎてからになるのだった。
タイムスケジュール的に春前には生活基盤を整えようと頑張ってきたが、皆のお陰でなんとか間に合い、領民予定の1000人と孤児約300人を迎え入れる準備が整えられた。
あとはここまで領民達を移動させる工程が待っている。
「さて、領民を迎えに行くか」
俺と領民達を迎えるための警備役10人を連れてハーゲンシュタットの町に飛んで戻るのだった。