転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
移住の旅は……それはそれは快適であった。
ゴーレムの中は空調が効いていて、寒い思いをしなくて済み、食事休憩の時には温かい料理が配られた。
白パンが配られた時には公爵領の時の様な不味い白パンを思い起こしたが、柔らかく、麦の味がふんだんにするちゃんとした白パンで安心し、食べきってしまった。
野菜だけでなくベーコンの入ったスープも一緒に食べて、腹を満たし、夕食にはチーズたっぷりのパスタが出て、夜の間もゴーレムは移動を続けた。
翌朝、朝食を食べ、他の移民者と色々話をしたりして、時間を潰し、昼食を食べて2時間が経過した頃に建物がある場所が見えてきた。
『到着したぞ……ようこそステラリアへ!』
男爵様が念話で到着したことを伝え、ゴーレムから降りると、所々に家が点在する広々とした土地が広がっていて、馬車から降りた人々は事前に申告した、移住区分(家族移住か冒険者移住とか)で、私はリアと一緒に住みたいため家族移住で申請していたため、家族用の広い家へと案内された。
「これが私達の家か!」
ちょっと年季の入っているが、十分立派な家で、中に入ってみると1階6部屋、2階に4部屋もある広々とした家になっていた。
2人で住むにはちょっと大き過ぎるかもしれない。
「凄い、お風呂がちゃんとある!」
リアの言葉を聞いて風呂場に向かうと、大人が4人くらい入れそうな大きな風呂がそこにあり、ちゃんとシャワーも備え付けられていた。
お風呂だけでなくトイレも1階に2箇所もある。
リビングのテーブルの上にこの家について説明が書かれており、元々は宿だったらく、築35年改修済み。
家族移住者にはこれくらいの広さの中古物件を割り振っているので気にしなくて良いらしい。(家族移住者があんまり居なかったので、私達は比較的良い物件に当たった)
「基本1階で過ごすことが出来そうだな」
「そうね!」
1階の寝室にはセミダブルのベッドが2個備え付けられており、クローゼットには日常で必要な服が1人3着と作業着が用意されていたし、キッチンには鍋や包丁等の調理器具から食器が一通り用意されていた。
食料庫は冷凍室になっていて、中を見てみると、2人で毎日使っても数ヶ月分は大丈夫そうな小麦粉の袋や塩等の調味料、日持ちする野菜なんかが置かれていた。
至れり尽くせりである。
一通り家の中を確認して、リビングに戻り、移住者向けの説明書を手に取ると、数日以内に生活や労働を手助けしてくれるゴーレムが派遣されること、食堂は独身の移住者が優先で、中心部に行くゴーレムバスが巡回しているので、それに乗るか、ゴーレムを活用して馬車を購入し、引かせることで移動が楽になることも書かれていた。
「生活に必要な品等は基本的にステラリアの中心部で揃えられるようにしてある為、必要物資はそこで購入すること、農業に必要な品は倉庫の中に入っていること……か」
「とりあえずこれだけ上質な小麦粉があれば美味しいパンが焼けるわ! パンを焼くための窯もちゃんとあるし、レシピ本も買ったから公爵領にいた頃よりまともな食事はできそうよ」
「それはありがたい……あとは近隣住民の方への挨拶か……私は色々確認作業をするから夕食を頼めるかい?」
「わかったわ」
こうして私とリアはステラリアでの生活が始まるのだった。
農業に全く触れたことがなかった私は指導員から色々教わりながら農業を始めることになった。
男爵様が既に土地を整地してある程度整えてくださっていたので、私の家に派遣されたゴーレムホースと作業用ゴーレムの力を借りて、与えられた土地を耕し、作物の種を植えていったが、指導員の方から習った収穫量の目安からざっくりとした収入を計算したのだが、食っていくには十分かもしれないが、税金で取られる事を考えると、あまり余裕があるわけでも無い……という金額であることが判明した。
これでは将来性が無い為、俺はケッセルリンク男爵の行政所を訪れて、土地とゴーレムをもっと借りる事はできないかということを聞いてみた。
すると担当してくれた職員は可能ではあるが、借金という形になってしまう為、担保として返済出来ない場合は農奴に落ちてもらうかもしれないことを伝えられたが、代りの担保として俺達が貯めてきた結婚資金を当てる事にした。
「……誠意を見せてもらいましたので、こちらからも融通しましょう」
限界まで借金もして、俺は追加で1000アール……10ヘクタールの土地と作業用ゴーレム10体、木綿栽培に必要な素材一式を揃えたのである。
木綿は比較的連作障害に強く、肥料さえちゃんと与えていれば6年くらいは収穫量が減らなくて済む。
7年目は大豆等の別の作物を育てる必要があるが、上手くいけば3年から4年で借金は返済できる計算である。
しかも2年は男爵様から食料の支援を受けられるので、土地余りを起こしている今のタイミングで始めるが吉と俺は博打に出た。
俺の様に多少学のある奴は与えられた土地の広さでは金持ちには成れないと悟り、土地やゴーレムを借りて作物を育てることにしたのである。
指導員の先生もちゃっかり俺と同じ様に大規模な土地を借りて、作物を育て始めていた。
先生はより換金性が高く、収穫が容易なアブラナやヒマワリを栽培していた。
しかも作業用ゴーレムは私が思っている以上に高性能で、製作者はフレンという錬金術師が作っているらしい。
戦闘用や私達が移動に使われたゴーレムはナイトゴーレムというらしく、高性能でステラリアの魔物にも負けない性能をしていたのだが、魔物と戦わなくても良い私にとっては人型の作業用ゴーレムで十分。
重い水の散布機を持って土が乾かないように水を散布してくれるし、草取りも文句を言わず日夜動き続ける。
暇な時は他の人が収穫期であれば貸し出して収穫の手伝いをさせることで小遣い稼ぎにもなる。
私も農業の勉強を行い、リアはゴーレムホースに乗って中心部で料理の勉強や食材を仕入れてきて、美味しい料理を作ってくれたり、家事をお願いしたりしていた。
秋になり、綿の収穫が始まると、綿花をゴーレム達が収穫し、男爵様が用意してくれた出荷箱(ほぼコンテナの様な大きさ)に詰めて、運ばれていき、換金される。
本当は綿を糸や布に加工できれば更に収入が上がるのだが、そこまでは手がまわらないのでやむを得ない。
でも1年目の収穫で、ちゃんと返済できる目処が立ち、肥料や来年分の栽培に必要な機材を購入してもある程度の金額が手元に残ったし、家の裏の畑では私達が食べていくには十分な量の野菜の収穫もできた。
その野菜の一部を売って作業用ゴーレムを更に追加し、2年、3年と続けていくのだった。
2年目にはリアが懐妊し、3年目になる頃には子供も産まれた。
資金を担保に更に土地を借りて広げ、今では30ヘクタールもの広さの農地を管理するに至っている。
返済期限は延びてしまったが、6年目までには全て完済できる予定であるし、今では75体もの作業用ゴーレムを運用している。
周囲の人達も広い土地を借りて運用し、どんどんステラリアの町では様々な作物の収穫量が増えているし、最近では紡績工場や油を絞る工場などの加工工場を運営し始める人も出てきた。
何を隠そうヒュースもその1人で、彼は自分の農地の権利を担保にし、私と契約して製糸工場を建ててしまった。
勿論男爵様の協力はあったが、今では後から移住してきた人を20人雇い、更に作業用ゴーレムを150体動かして大量の糸を生産している。
ヒュースは私をも凌ぐ金持ちとなり、若い奥さんを捕まえて幸せの絶頂の中に居る……。
「移住して良かった……」
勿論全移住者が成功したわけでも無いが、9割の移住者は前の生活より良くなり、男爵様に恩を感じるのだった。