転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「……辛い? なんで? 塩水なのに? 塩辛いわけじゃなくて七味とかの辛さがするんだけど」
「お、おめでとう。ランコには錬金術師の才能があるっぽいね」
錬金術師の才能測定方法……魔力水に塩入れて煮込みながらかき混ぜる……本当に簡単な方法なのであるが、これで錬金術師の才能があれば塩水以外の味や変化が起こる。
甘くなったり、凍ったり、沸騰したり、水量が増えたり……まぁどんな変化が起こっても錬金術師の才能があると判別するだけなので、変化によって才能の差まではわからない。
「おめでとう、そして絶対に逃さないから……」
「え? え?」
アキがランコの肩をがっしり掴む。
「この世界の錬金術師は基本詐欺師扱いされているんだが、うちの領地では本物の錬金術師の育成をしているからな。それでも才能あるのは20人に1人くらいの割合だから人数が確保できてないんだよ……それに転生者なら地球で見てきた物質の再現ができるから、知識量と想像力の差で他の人に比べて圧倒的に有利なんだと」
俺が説明するとランコは納得したらしい。
「ゴーレムが作れるようになれば凄い生活が楽になるよ〜! 農作業をほぼ自動でやってくれたり、屋敷の掃除をしてくれたりとかの単純作業を任せられるし、性能を上げれば魔物の討伐もできるようになるから凄い便利になるよ〜」
アキがメリットばかり吹き込むので、ランコもそれなら習いたいと言ってしまった。
ゴーレム作れるようになるくらい知識を詰め込むとなると数ヶ月はかかるし、素材の調達も苦労するだろうな……。
俺しーらね。
そのまま夜はアキとランコが錬金術の話で盛り上がり、俺やメアリー、シュネは早めに眠りに就くのだった。
翌日、俺達はランコに案内されて村の様子を見学させてもらった。
その間にフジさんが先行して俺の開拓地に向かう人達の人選をしてくれるらしい。
「男だ……」
「他所の人が居る……」
村人達は俺、メアリー、シュネ、アキを見て驚いていた。
まぁそこら辺はあまり気にせずに、ランコに田んぼについてとか色々聞いてみる。
「まずここの米は日本の現代種にも匹敵する米質になっていて収量も多い。1反(約10アール)で450キロが1回の収穫で得られます」
米は成長が早いので、気温と水さえしっかりしていれば2期作……熱帯等の場所によっては3期作もできる。
一方で麦系は収穫までに半年以上かかってしまう為、2期作が不可能なのである。
ランコの話を聞きながらこの世界の一般的な小麦を主体とする農業と稲作を比べてみよう。
まず先程出てきた1反当たりの収穫量であるが、小麦は平均150キロ前後、肥料をしっかり与えられ、魔法使いが管理している農園で約300キロの収穫量となる。
一方でヤマト村で栽培されている米は温帯ジャポニカ米と呼ばれる種類で、日本や中国、韓国とかでよく栽培されている米の品種である。
ランコ曰く祖先の中に日本の転生者がいたと思われ、その人物のチートが植物の種を取り寄せる事ができる……だったらしい。
その力を使って現代日本の米やイ草、野菜の種を持ち込み、増やすことに成功したらしい。
それが数百年の間で徐々に改良が加えられ、肥料が少なくても収量が落ちない様になっていったらしい。
家畜の飼育数が少なく、肥料の生産量に限りがあった為に、どうにかして収量が落ちない様に改良していったのだとか。
お陰で肥料をしっかり与えれば1反600キロ以上の収量になるが、肥料が少なくても450キロの収量で落ち着いているらしい。
なので小麦と比べると3倍も収穫量に差があり、それが2期作できるので単純に2倍……1年で1反当たり900キロ……150キロの麦の6倍の収穫量となるのである。
これは稲作中心のアジアやインドと麦作中心のヨーロッパで近代以前の人口に大きな差があったのと似ている。
なので面積的には俺達が昔住んでいたニューベルク村と同じくらいの農耕面積なのに、人口は倍居るし、米の分他の作物を育てることができるので、ニューベルク村よりも段違いに豊かであった。
あと近くに岩塩が採れる山があったり、稲作に必要な水を賄う湖が近くにあるのもこの村がニューベルク村より豊かな生活が出来た要因だろう。
まぁうちの領地は始まったばっかりなので全力でパクらせてもらう。
乾田(水田を途中で乾燥させることができる田んぼ、現代日本で主流なやり方)ができる水路を今なら整える事ができるし、豊富な地下水や川から水を引いてくれば稲作に必要な水源も確保できる。
2期作でなくても小麦との2毛作でもできるし、水田にすると栄養が水を入れるときに入ってくるので、土地が痩せにくくなるという効果もある。
2毛作するならある程度の肥料は必要になるが、2毛作ができるとなれば家畜に与える餌(藁や米)も豊富に確保できる為、家畜を大幅に増やすことができる。
今はただ広いだけの土地であるが、稲作を導入できれば領地はずっと豊かにすることができるのである。
しかもエロフ……エルフの皆さんが男が多いうちの領地に移住してくれれば男女比率は均等に近づくし、メリットばっかりである。
和の文化面も吸収できれば、それは地域の特産品にもなる。
田んぼだけでなく村を巡っていると、鍛冶屋では昔ながらの刀鍛冶が刀を打っていたり、陶磁器作りの工房があったりとここだけ江戸時代に近い文化があった。
「すげぇ……貿易の商品になりそうな物がゴロゴロ転がってる……」
「私からしたら馴染み深い物なんだけど……そんなに?」
「外の世界は町は近代ヨーロッパ位の文化レベルはあるから、刀とかは芸術品としても武器としても売れるだろうし、陶磁器は町の住民の趣味に合わせれば高値で取引されると思う……」
他に売れそうな物は織物だろうか。
生産量は少ないが綺麗に色付けされた織物は絶対に需要がある。
それこそ漆を使った食器、周囲で狩られた魔物の素材を使った工芸品なんかも高値で売れるだろう。
「文化が違うから異文化の品ってだけで高値がつくと思うし、生産量が限られているから余計プレミアになると思われる」
「なるほどね……」
需要を作り出すのは比較的簡単。
俺が辺境伯様に贈れば、辺境伯様が社交界で自慢するので、それを見た貴族達が自分も欲しいとなり、注文が来ることになるだろう。
「こっちからしたら宝の山に見える」
「そう言ってもらえるとなかなか嬉しいね」
あと目星い物としては、セルロイドを使った品があった事だろうか。
セルロイドと言われてあまりピンと来ないだろう。
俺もピンと来なかったが、メアリーが大学で習った事があったのと、アキが卓球をやっていた時にセルロイド製の卓球のボールに使われていたというのが丁度問題になった時期だったらしく、2人が知っていた。
ぶっちゃけて言えば燃えやすいプラスチックである。
最初期のプラスチックとも言われて石油を使わないのも特徴。
硝化綿とクスノキの精油を混ぜることで比較的簡単に作り出すことができ、ヤマト村では加工しやすくて軽く、それでいてある程度頑丈なのを利用して魚の罠として活用されていた。
もんどりとも呼ばれる仕掛けで、竹でも作れるのであるが、竹で作るよりも水中での劣化が遅かったり、水中なら燃える心配が無いので活用されていたのである。
「セルロイド単品なら燃えやすくて、摩擦熱で自然発火する可能性があるけど、錬金術で外周をコーティングすれば……うん、使い道は凄い広がるかもしれない!」
アキは大興奮で、セルロイド製のもんどり(魚の罠)を見るのだった。
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