転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
古代文明の遺跡……と言っても地球の大型スーパーみたいな施設を探索することになった俺達は本屋に引き続き違う小売店を覗いていたが……。
「これ銃だよな」
「異世界にも銃ってあるんだ……」
明らかに銃っぽい物体がガラスケースの中に陳列されていた。
ショーケースを触れてみた感じ、鍵束とは別の鍵が必要そうなので、空間魔法でショーケースから取り出してみると、思ったよりも軽い。
「はえ……ん、魔石が埋め込まれてる」
「どれどれ?」
アキに銃を渡すと色々触るが、よくわからないらしい。
「さっきの書店に何か書いてある本とかないの?」
「ちょっと待ってな」
俺は異空間でそれらしい本を探す。
アキはそのまま銃を弄くり、メアリーとシュネは店頭に展示されている銃を眺めたり、店舗の裏に関連書類が無いか探す。
「あ、ナツ! アキ! あったよ!」
メアリーが何か見つけたらしく、店舗の裏……バックヤードに入ると、メアリーが銃に関する書類をテーブルの上に並べていた。
「ここにあるのは狩猟用の銃らしいね」
メアリーが弾丸を渡してきたので、受け取ると鉛で作られたどんぐり型である。
「雷管とかは付いてないっぽい?」
アキ曰く雷管という銃から弾丸を放つ際に刺激を与えて火薬に点火させる装置が付いてないことを指摘する。
「アキって銃についても詳しいのか? フィギュア作っていたのは知っていたが」
「フィギュアのキャラが銃について語っているシーンが印象的で、本当に触りだけ知ってる」
俺の方も銃に関する書籍が見つかったので、全員で関連書籍を回し読みをしてみる。
「火薬を使う代りに魔石を使う魔導具って感じか?」
銃の形をしているが、地球での仕組みと全然違っていた。
簡単に言うと、銃の後ろに埋め込まれた魔石が引き金を引くと銃身で爆発を起こしその爆発の勢いで弾丸を射出する方法らしい。
魔石が動力なので、魔力量が少ない人でも一定の火力を出すことができそうであるが……。
「うーん、想像以上に魔石に繊細な仕組みが描かれているね……火力を調整するためか、安全のためなのか……今私達が作れる技術水準は優に超えているね」
「これがか?」
「うん、多分似た物は作れるだろうけど、この銃並みに威力を出すことはできないんじゃないかな?」
アキはそう言うが、それでも面白い技術であると断言する。
「今まで課題だったゴーレムに弓以上に射程のある遠距離攻撃の手段を与えることができるからね。しかも獲物に対して弾もしくは銃を工夫することで致命傷を与えることが可能だろうし」
「どんどんゴーレムが無人兵器になりつつあるな」
「しゃーない、ゴーレムの用途は魔物を倒す兵器だし」
アキはゴーレムを兵器と言い切る。
とりあえず陳列されていたり、バックヤードで保管されていた銃や弾、その他資料を根こそぎ空間魔法で回収して店を出ると、二頭身の従業員服を着たゴーレムが俺たちの前に現れた。
『お客様、会計をお願いします』
「か、会計?」
「もしかして会計しないと襲ってくるゴーレム?」
『お客様、会計をお願いします』
勿論この店で使えるような金を俺達は持っていない。
「……逃げるしかないよね」
「この遺跡? が生きていたのが分かっただけでも収穫としよう。悪いけどこのゴーレムを機能不全にして」
俺は空間魔法でゴーレムを異空間に収納すると、一気に吹き抜けを飛行魔法で天井まで飛んでいく。
『ビービー多額万引き発生!』
アナウンスが流れ、警備ゴーレムが迫りくるが、オレが空間魔法で地上までの通路をくり抜くと、一気に外に出て、飛行しながら追ってきたゴーレムが地上に出てくる前に、出口を塞いだ。
「ふう、暴れたら遺跡が傷つくからな……魔法を行使することもできねぇし」
「まぁ色々回収できたから十分な成果が出たんじゃない? 銃っぽい魔導具や過去の技術書や魔導書も回収できたし」
「確かにな……よっと」
俺は異空間から先ほど収納した警備ゴーレムを取り出し、中の魔石を抜いておく。
抜け殻になったゴーレムをコンコンと手で叩きながらアキに
「これも研究できるか? 飛行魔法を使っていたし、アキの研究に複数の魔法を使いゴーレムの製作もあっただろ?」
「ああ、それでサンプルを1台捕まえてくれたの? 流石ナツ! 気が利く!」
「まーな、とりあえず帰還するか」
俺達は遺跡? を後にするのだった。
後日、もう一度遺跡に行ってみようとメンバー集めて行ってみたところ、俺が地上に貫通する穴を空けたことにより保護する魔法のバランスが崩れたのか、地面が陥没してしまっていた。
勿論地下にあった施設も全て埋没してしまい、発掘する労力を割く訳にもいかず、凄い勿体ない事をしてしまったのだった。
「ふむふむ、古代王朝よりも以前に現代よりも発展した文明があったとは……いやぁ、ナーリッツ男爵の近くに居ると飽きることがないね!」
シュネの父親で現在ケッセルリンク男爵家の重臣の1人であるエルウィンさんに遺跡で入手した技術書を渡して解析をお願いした。
魔導書はデーニッツさんに渡してお抱え魔法使いの人達と解析をしてもらったが、今と魔法の形態が違うため、使える部分とそうでない部分の割り振りが大変だと愚痴を言われたので、高い酒を渡して労っておいた。
エルウィンさんの話に戻るが、技術書で特に面白いと思ったのは魔導具に関する技術だろう。
「これ専門用語が多いけど、翻訳できれば更に農業や工業が楽になるんじゃないか?」
「やっぱり翻訳作業は必要ですか?」
「1000年以上も前の技術書だからね。文明レベルが進んでいたとはいえ今とは文法も違っていたり、わからない用語も複数ある。読める部分や挿絵から解析していくしかないだろうからね」
「あんまり回せる人員も居ないので、できる限りの範囲で進めてもらえれば……」
「いや、腕のなる仕事だよ。書類仕事は息子のアドミンも慣れてきたし、私はこういう解析系の仕事の方が好きだからね」
そう言ってもらえると助かる。
エルウィンさんは錬金術師や技術者の面々と協力して、古代技術の復元に挑戦していくのだった。