転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
〜メアリー視点〜
「ふふーん、いい感じ〜」
メアリーの目の前には無数のゴムの木が育っていた。
作業用ゴーレムや管理を任されている元孤児でも魔法の才能が乏しいとされた子達がゴムの採取を行なっていた。
ここはゴムのプランテーション農園であるが、ケッセルリンク男爵領では農業の効率化と男爵側から大規模な資金、技術の投入により、大規模農園が次々に誕生し、プランテーション農業……単一作物の農業が徐々に広まりを見せていた。
その中でも他所への輸出品として人気なのは茶葉……ヤマト村で育てられていた日本茶葉に近い品種が辺境伯家や他の貴族達にも受けて、大々的に輸出が行われていた。
まぁ帝国南部で主流であるマテ茶の栽培も行い、気性的にも相性がよかったので、マテの木のプランテーション農園が幾つも開かれていた。
次に木綿の栽培面積も広がってきており、移民の中に紡績機に関する技術を持っていた人物がいた為、彼に支援して紡績工場を作らせて、木綿を布に加工する事が行われていた。
品質は特別高いというわけでは無いが、布はどこでも需要があるのでウチでの主力輸出商品になっていた。
ゴムの栽培に話は戻るけど、僕の植物の成長を早める魔法を使い、品種改良を繰り返した事で、原種に近かったゴムの木も天然ラテックス(ゴムの原料の樹液)を大量に産出する品種に改良したし、ゴムだけでなく、コーヒーや前に発見されたカカオ、更に日本のイチゴに近い品種なんかも発見し、改良を加えた。
あとはヤマト村で栽培されていた果実類とかもステラリアの気候に合うように改良が加えられて、領民の需要分の栽培が行われていた。
その中でもゴムは活用できる幅がとても多く、行商人の使う馬車の性能が上げられるタイヤや瓶詰めの密封性が高まり、保存期間がコルクよりも伸びるゴムパッキン、靴も冒険者や農業従事者が好むゴム製の長靴やゴムシューズなんかが領内で需要が高まっていたし、建材やゴーレムの素材、農具にも活用できるため、爆発的に需要が増加していたのである。
なので、僕はゴムの木の栽培方法の確立と大規模栽培確立に1年ちょっと頑張って、何とか軌道に乗せたのである。
「いやぁ、魔法様々だね。普通なら何十年ってかかるのが1年ちょっとで終わるもんね……」
「あ、こっちに居た!」
「ん?」
僕に近づいてきたのは、僕とこの1年ちょっと品種改良に協力してくれたリンだった。
リン達の事最初はナツを誘惑した泥棒猫って思っていたけど、彼女達の特殊な環境とナツも不用心だったのもあって、今は許している。
ただ、僕、アキ、シュネの3人が次は子供を産むってナツと約束しているので、2人目は作らずに、ナツに抱かれる時もリン達の価値観では禁忌である避妊をしてもらっている。
(辺境伯様から言われているけど、5年後を目処に辺境伯様はバイパー様に家督を譲られるらしい。その儀式は帝都で行う為、僕達もその時に帝都に行き、ナツを子爵へと爵位を上げるように執り行うらしいからね)
(僕やアキ、シュネもクリスから子供を孕んでも大丈夫って言われているから、もう少ししたら皆とタイミング合わせて子供作って……リン達の実証で10ヶ月と10日の妊娠じゃなくても、成長促進剤を組み合わせれば6ヶ月で出産できることは分かっているから、15歳の誕生日くらいを目安に1人目を出産したいね)
それに子育てが始まれば今みたいに自由に動くことは難しくなる。
少なくとも離乳するまではほぼ付きっきりって形になるし……。
「その為にも仕事を片付けておかないと」
「何か言いましたか?」
「いや、何でもない。リンは僕を探していたみたいだけどどうしたの?」
「そうでござった! 確認してほしい事ができたので、急いできたのだが……忙しかったか?」
「いや、大丈夫。農業関連?」
「そうそう、帝国産の小麦とヤマト村の背丈の低い小麦の交配実験で、ようやく良さそうな物が完成してな! 拙者的には良い出来だと思うのだけど……一応メアリー殿にも見てもらおうかと」
「直ぐに向かうよ」
試験場では新しい品種の小麦が育っているのであった。
〜ナツ視点〜
「ラインハルト、うちのケッセルリンク領が他の開発が行われている領地に比べて大成功の部類って本当なのか?」
「ええ、辺境伯家が統計を取っているので、数値が改竄されていない限りはケッセルリンク男爵領が1位になりますね」
人口約3300人、男女の比率は男性6、女性4。
第2陣の移住者で女性の比率を多めに採用したが、それでも女性の方が少ないのが現状である。
耕作面積も広がったし、錬金術師も育ってきた事で、フレンの作業用ゴーレムは他の人達でも作れるようになり、量産が可能になったので、農業の規模がどんどん拡大していったため、生産効率が向上。
小麦や大麦、米を粉末にして混ぜたパンの生産も普通に行われ、官営の大衆食堂の食事レパートリーも増えていた。
その大衆食堂で出された料理を自宅でも再現する人も多く、それが転じてパン屋を開く人も出ていた。
あとは領地がどんどん広がっているが、アキのポーンゴーレムを更に移動に特化させた、多脚式移動用ゴーレムがバスの様に機能し、町になりかけているステラリア中心部と郊外の田園地域の移動格差も他の領地より緩やかであることが報告されていた。
(昔の俺達が住んでいた旧ゲンシュタイン騎士領の生産力を1とすると、うちの隣のグレンツェ騎士領が3、うちが30から35くらいで、辺境伯領が500ってところか?)
(辺境伯様からの支援が一番手厚いフレデリック様の領地が6か7くらい、俺達が解放したミスリル銀の鉱床がある鉱山町が10から15の生産力と考えると、うちが他所に比べて1歩リードか)
辺境伯様に人だけでなく家畜の支援を貰った事で、牛200頭、豚500頭、鶏2000羽、馬200頭、羊300頭と多くの家畜も第2陣の移住者の生活が落ち着いた半年後に譲って貰ったりもしたが、現在はヤマト村の品種との交配をさせたり、家畜を扱える人材の育成に集中している。
食卓に安定供給できるようになるのはもうしばらく後だろう。
(開拓地はまだまだ広げることができる。それこそ満州くらい広いんだ。日本の3倍近く土地は広く、日本のように山が多い訳でもないから魔物の領域さえ解放できれば農業に適した土地でもある)
(今年中に旧ヤマト村の場所まで解放する頃には育成している元孤児達も魔法使いとして使えそうな子が沢山出てくる。それに性能が上がったアキのゴーレムを使えれば、関東くらいの広さは得られるようになるかな?)
(いつまでも領地の端っこに屋敷を構えている訳にもいかないから、旧ヤマト村近くにあった琵琶湖並みにデカい湖近くに本拠地となる町でも作ろうかね)
そんな事を考えながらラインハルトの話を聞くのだった。