転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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れ、錬金術だぁ!

 グツグツと七色に光る鍋をかき混ぜる実里……俺や桜花さん、つららちゃんはその様子を見守る。

 

 鍋に投入するのはよくこねたパンの生地……勿論発酵の魔法をかけてあるやつである。

 

 それを鍋に入れて煮込んでいき、約1分すると、鍋の中で生地が膨らみ、更に焼けていくではないか! 

 

 お玉で出来上がったパンを掬い上げて食台に乗せる。

 

 実里は出来上がったパンを包丁で切り分けていき、俺達に差し出す。

 

「食べてみて」

 

 俺は意を決して食べてみると……普通のパンであった。

 

 普通に美味しい……パン屋で焼かれたような特別な美味しさは無いが、スーパーやコンビニに並んでいるような普通のパンである。

 

「普通に美味しいな」

 

「普通だね」

 

「うん……でも実里ちゃんの料理の腕を考えると、このパン美味しいよ」

 

「でしょでしょ! よし!」

 

 料理の腕を磨くよりも先に実里は錬金術を覚えてしまったのだ。

 

 この空間に来て45日目のことである。

 

「これでメシマズなんか言わせないから!」

 

「凄いんだが……え? どういう仕組みなんだ錬金術って……」

 

「まぁ錬金術って地球での意味と異世界での意味は全く別物なんだけど……地球だと金を生み出す科学の前身って感じだけど、異世界の錬金術は魔力を混ぜた、異世界ならではの仕組みの技術っぽいんだよね」

 

 実里曰く、鍋……というか素材を入れるための器、熱するための火、もしくは熱源、触媒となる物質……今回は魔力を込めた水の3点を用意することで錬金術は始まるらしい。

 

 今回はパンを作るのに、パン生地の発酵の時短と加熱という工程を錬金術で省略し、結果焼きたてのパンが出てくるという、過程と結果にあるあいだの部分を省く錬金術を行ったらしい。

 

「今はパンだけだけど! 色々なことでもできると思うの!」

 

 そりゃこんなやり方でパンを作られたら……色々な事が出来るだろうな。

 

「じゃあ実里、レシピ纏めるから調味料類を錬金術で再現することはできないか?」

 

「調味料? 良いけど」

 

「異世界に行ったら調味料が殆ど無いと思うからな。錬金術で作れるんだったらそれだけでありがたいんだ」

 

「へ、へぇ……夏兄にそれだけ言われちゃあ……やるしかないね!」

 

 若干テンションが上がる実里だった。

 

 

 

 

 

 

 

「錬金術か……僕達にもできるかな?」

 

「試してみます? 桃奈さん」

 

 桜花さんが先ほどの錬金術を見て自分達にもできないだろうかと言い始めたので、実里がじゃあ才能あるかどうか試してみようと提案をした。

 

 用意するのはコップと魔力のこもった水、箸、塩。

 

 実里がコップを手に持って熱を発生する魔法でコップの中の水を沸騰させ、そこに塩を入れてよくかき混ぜる。

 

 塩に対して何かしらのイメージをぶつけ、塩水以外の結果になれば錬金術の才能があるとの事。

 

 試しに実里が実例を見せる。

 

 手で持ったコップの中に塩を入れてグツグツと沸騰させ、箸でかき混ぜてから冷却の魔法でコップを冷やし、俺から順に一口飲むように言われて飲んでみると柑橘系の甘酸っぱい味がした。

 

「はぁ!? え! さっき入れたの塩だよな?」

 

「塩だよ」

 

 テーブルに乗っている塩を摘んで舐めると、確かに塩である。

 

 塩を混ぜてどうやったらオレンジジュースの様な味になるか全く見当がつかないが、これが等価交換により過程と結果を変更することができる錬金術……ということか。

 

 俺も実里と同じ手順で試してみるが、出来上がったのは塩水。

 

 桜花さんやつららちゃんも塩水にしかならなかった。

 

「じゃあ本当にたまたま実里に才能があったということなのか……」

 

「精神体でできるってことは魂に結びついた才能なんだろうね」

 

「料理の味がおかしくなるのはその片鱗だったということか……」

 

 俺が納得すると、味音痴ではないと実里がプリプリ怒り出してしまったので、罰として俺が道具を片付けることに。

 

 まぁその後実里とのケンカプレイのセックスは滅茶苦茶燃え上がったと言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 この頃になると俺も普通にパンが焼けるようになり、つららちゃんと桜花さんも発酵の魔法を覚えてパンや焼き菓子を作れるようになっていた。

 

 今日は俺が作ったパンケーキを間食として皆で食べながら経過報告をしていた。

 

「実里ちゃんが錬金術を覚えて、阿部君は脱水の魔法を覚えたんだよね。つららちゃんが飛行の魔法を習得できて、僕が植物を生やす魔法を覚えたんだよね」

 

「植物を生やすと言っても土魔法で作った花壇に花を咲かせる魔法じゃないですか……実質」

 

 俺が茶々を入れると、桜花さんは

 

「ちっちっち! わかってないなぁ阿部君は、異世界だと色々活用方法がある魔法なんだぞ」

 

 何故か自信満々にそう言う。

 

 農業くらいしか使い道を思いつかないが……。

 

 まぁ本人が納得しているからいいのだろう。

 

 ただこれで全員飛行魔法は習得し、炎、水、風、土を生み出すことにも成功。

 

 身体強化の倍率も10倍は皆できるようになり、魔力総量も1300を超えていた。

 

 魔力の成長量が最近一段階上がった感じで、前までは1日で20ほど魔力総量が上がれば良かったのだが、最近だと40ほど上がるようになっていた。

 

 まぁ性行為の回数が増えた事も関係していそうだが、どうなのだろうか……。

 

「さてと、異世界についてわかった情報を説明していくけど」

 

 ちょくちょく異世界について本で調べていた桜花さんが説明を入れる。

 

 帝国の通貨についてであり、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の5種類が存在し、価値は日本換算で小鉄貨が1円、鉄貨が10円、銅貨が100円、間に大銅貨が挟まりこれが1000円、銀貨が1万円、金貨が10万円、白金貨が100万円みたいなイメージを持てば良いらしい。

 

 物価は本によると宿1泊が大銅貨1枚、食堂での1食が銅貨1枚から5枚、鉄製の武器が銀貨1枚以上という相場らしい。

 

 日本より物価は安そうである。

 

「場所によっては物々交換も盛んらしい。貨幣経済が行き届いてないから地域格差も凄いことになっているっぽいね」

 

「となると町に転生した方がいいですかね? 桜花さん」

 

「うーん魔法の鍛錬とかを自由にするんだったら田舎スタートでも問題無いと思うんだよね。町だと人数がそこそこ居るから合流するのに手間がかかると思うんだよね」

 

「転生なので容姿も変わっているでしょうからね……電話やグループチャットができるような魔法を覚えておく必要がありますね」

 

「うん、確か念話の魔法があったと思うからそれを後々覚えておこう」

 

 魔力の波長が合う相手に対して意思疎通をすることができる念話魔法……最初に合流するためにも覚えておくことが必須だな。

 

 町スタートのメリットは都市の住民なので比較的裕福な親に生まれる可能性が高いと言うことである。

 

 デメリットは合流するのに時間がかかるのと家業を継ぐように言われる可能性が高く、冒険者になるとしたら転生先の親と縁切りしないといけないかもしれない。

 

 村スタートのメリットは野生動物や広い敷地で魔法の練習をしやすく、合流も早いうちに出来るだろう。

 

 デメリットは幼少期から農作業に従事させられる可能性が高いのと、魔物や野盗によって攻撃される危険性がある事だろうか……。

 

 あ、町スタートだと冒険者の職業登録がしやすいってメリットもあるか、冒険者の溜まり場みたいな場所は町にしかないっぽいし。

 

 うーむ、一長一短……俺的には村スタートで良い気がするが、実里は町を押している。

 

 桜花さんとつららちゃんはまだ決めかねている状況か。

 

「とりあえず3ヶ月目を目処に転生について色々決めていきましょう」

 

 俺がそう締めて、今回の話し合いは終わるのだった。

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