転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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帝国の内情

 ナツ達が領内で子作りや開発に励んでいる頃、辺境伯家では当主である辺境伯自身とバイパー、それに帝都に滞在する協力者の貴族と通信魔導具を用いて連絡を取り合っていた。

 

「それは本当ですか? ヘス男爵」

 

『ええ、次期皇帝に関して派閥闘争が水面下で始まりつつあります』

 

 現在の帝国……ザリエル帝国の皇帝……レオポルド帝の年齢は105歳。

 

 エルフの血を定期的に取り入れて寿命を伸ばす傾向が皇族にはあるのだが、レオポルド帝はエルフの血は4分の1のクオーター。

 

 人族の血の方が強く、既に結構な御老体である。

 

 そして皇帝には複数人の血縁者が居るのであるが、皇帝の継承法で、帝位はなるべく長期の方が良いため、50歳以下の者でなければならないというのがあり、皇帝の息子達ではなく孫世代が継承権を持っていた。

 

 それで、今回有力な候補者達は4名。

 

 帝国に4家存在する公爵家の血縁者である。

 

 帝国は南北アメリカ大陸を合わせたよりも大きな国家な為、東西南北と中央で政治的な分裂が引き起こっているのである。

 

『その後継者の北部に地盤のある一番若い17歳のヨシフ様がここ数年頭角を現し始めております』

 

「ヨシフ・ガーランドか」

 

『はい』

 

 ヨシフ・ガーランド……北部地域を纏めるガーランド公爵の血縁者で、後継者候補者きってのカリスマを持つ人物である。

 

 話術や演説等の弁舌に長け、扇動者としての一面を持ち、北部地域で起こっている隣国との紛争でも、得意の話術で帝国に有利な条件で停戦や講和を引き出し、実績を挙げている。

 

『帝都でも彼を慕う下級貴族が多く、現状最有力と言わざる得ません。しかもヨシフ様の場合エルフの血が半分を超えているため、100年以上の長期政権が期待できます。安定した皇帝を望む層からも支持されているのですが……』

 

「ん? ヘス男爵。何か問題があるのか?」

 

『ええ、ヨシフ様はどうやら皇帝の権限を強め、中央集権を目指す可能性を秘めております』

 

「な!? それをすれば帝国内で内乱が起こるぞ」

 

『流石に急進的な方法ではしないと思われますが、自身の長寿を利用し、皇帝の権限を強めていくことはできるかと……弁舌が得意なのも貴族の中では特に効果がありますし』

 

「……注意しておく必要があるな……」

 

 皇帝の選出方法は基本前皇帝からの指名制であり、宰相に次期皇帝を伝えている。

 

 そして皇帝の身に何かが起こった場合、宰相から次期皇帝の発表があるのである。

 

 ただ帝国混乱期には宰相の権限が強く、他貴族からの圧力で都合の良い皇帝を発表したことがあった前例もある為、現在では大臣にも伝えることになっている。

 

「南部としてはクルップ公爵のレフ様に皇帝に就任してもらいたいが……」

 

 レフ・クルップ……クルップ公爵の異母弟であり、現皇帝の妹の娘が先代クルップ公爵に継室となり、その息子がレフ・クルップということになる。

 

 年齢は35歳、帝位継承権は現クルップ公爵より高い。

 

 ただクルップ公爵とは歳が近く、仲が良いのと、レフ様が調停者としての能力に長けている為、公爵領では最高裁判官の様な役回りに就いていた。

 

 無能では決してないが、神輿として担ぐには軽すぎず重すぎずと言う評価をされていた。

 

『現在帝都で南部利権を餌に味方を増やしてはいますが、正直厳しいと言わざる得ません』

 

「そうか……」

 

 クルップ公爵領は帝国随一の工業地帯を有している為、資金力はある。

 

 その為どれぐらいレフ様に資金力を投入するかにより政局は動いていくだろう。

 

「ヘス男爵、引き続き帝都で味方を増やすように工作を続けてくれ」

 

『は! では失礼します』

 

 通信が切られ、部屋には辺境伯とバイパー様、それに辺境伯家の重臣が5名ほど。

 

「父上、私の代で新皇帝になりそうですね」

 

「そうなるな。皇帝が変わる時、良くも悪くも政局が大きく変わる。レオポルド帝の治世も50年以上続き、安定していたが、改革を望む声も大きくなっている」

 

「……ケッセルリンク男爵を寄子に出来たのは辺境伯家にとって幸運でしたね」

 

「ああ、バイパー……お前の命を救ったのもあるが、ドラゴンを討伐できる戦闘能力と新兵器たる強力なゴーレムを多数生産、運用できる家だ。再び帝国が荒れたとしても今であれば自衛することができる」

 

「ゆくゆくは経済植民地の様な状態の南部地域の自立化でしょうか」

 

 クルップ公爵と辺境伯家は関係が深いが、経済力に関しては圧倒的に辺境伯家が劣っていた。

 

 いや、公爵4家、東西南北の辺境伯4家の合計8家のうち、一番経済力が無いのが南部の辺境伯家……フォーグライン辺境伯家である。

 

 なのでクルップ公爵をイギリスとすると、フォーグライン辺境伯領はインドやカナダ、南アフリカやオーストラリアみたいな立ち位置であり、貿易レートも友好領として優しくはしてくれていたが、経済規模が違い過ぎて、実質経済植民地の様になっていたのである。

 

 そんな南部地域が今まで生きていられたのは魔物の領域に挟まれていて他国と国境が接していなかったからに尽きる。

 

 南部の経済力だと紛争の絶えない北部地域の帝国でも精鋭な軍と比べて、軍事力は5分の1以下。

 

 そんな国がケッセルリンク男爵家という核兵器を手に入れたみたいな状態で、この核兵器……原子力発電(各魔物の領域の解放や未開拓地の開発)もできるとなれば……ねぇ。

 

「開発した土地には投資をしなければならないが、その資金は不正していた一門を粛清したことで抽出することができた。私は一門殺しの悪名を引き受け数年後には引退するから……投資を回収するのがバイパー、お前の役目だ」

 

「お任せください。父上が引退する頃には開発が進んでいる領地からの余剰穀物にも期待できます。それを食糧不足のクルップ公爵に売る代りに工作機械や技術の導入を進め、領地の国力上昇に努めます」

 

「わかっているなら良い。ケッセルリンク男爵家を上手く使い、双方成長するようにしておけ……ケッセルリンク男爵家に技術導入で後れを取るなよ」

 

「ええ、それは注意します」

 

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