転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「バイパー・フォン・フォーグラインの家督継承を認める」
「皇帝陛下及び帝国により一層の忠義を」
バイパー様の家督継承も無事に終わり、そのままの流れで辺境伯家の抱える魔法使いと宮廷魔導師の模擬戦が行われることに決まった。
「ナーリッツ、いけるな」
「御意」
「フォーグライン辺境伯家からは次期お抱え魔法使い筆頭のナーリッツ・フォン・ケッセルリンク子爵を出そう」
「宮廷魔導師としてはパーパ・フォン・ニュイン第12席を選出致します」
俺とパーパと呼ばれた宮廷魔導師は歩み寄り、握手をする。
「よろしく頼む」
「ああ、こちらこそ……宮廷魔導師の引き立て役ご苦労」
嫌味ったらしく言ってくるが、俺は喧嘩は買う方である。
「負けたらさぞ格好がつかないだろうな……」
ボソっとそう呟いておく。
若い彼は顔を真っ赤にして激昂していたが、あの程度の言葉で激昂するとはお里が知れている。
見える限りの魔力量もそこまで多い様な感じはせず、油断しなければ俺の勝ちは揺るがない。
さて、どの様に戦うか……。
俺は思案するのであった。
その日のうちに、模擬戦が行われることになり、俺は真っ白なローブに身を包んで姿を現した。
普段はドラゴンの素材を使っている黒っぽい作業着を戦闘時には愛用していたが、挑発するのであれば、真っ白いローブに一切汚れを付けられなかったと言うシチュエーションの方が良いだろう。
パーパ宮廷魔導師は焦げ茶色のローブを着用し、普段は騎士達の訓練場として使われていると思われる場所に姿を現す。
「それでは両者構え」
パーパ宮廷魔導師は身長と同じくらいの杖を構え、俺はパーパ宮廷魔導師に右手の人差し指を突き出す。
「始め!」
パーパ宮廷魔導師は速攻として石槍を生み出し、発射してきたが、俺は空間を捻じ曲げる事で槍が当たらないようにする。
そこに居るはずなのに当たらない……視覚にとらわれていると命中せず、観客からはパーパ宮廷魔導師がわざと当ててないようにしか見えない。
魔法に長けている人でも、俺が空間魔法を使えると知っていなければ、水魔法の光の屈折を利用した幻覚魔法に誤認するという初見殺しの魔法である。
ワイバーンやドラゴンにも効果的で、射程距離が短い亜空切断を届かせるために、座標を捻じ曲げる事で、ドラゴンのブレスや近接攻撃を見当違いな場所に外す事ができる。
まぁこの模擬戦で亜空切断は行う予定は無いが……。
俺は反撃として石槍を生み出すと、格の違いを見せつけるために、パーパ宮廷魔導師の数十倍の石槍を投射した。
音速で迫りくる槍にパーパ宮廷魔導師は、石壁を生み出してガードするが、何発かは石壁を貫き、近くの地面に着弾する。
わざと当てなかったが、これで実力差がわかって降伏してくれればよかったが、パーパ宮廷魔導師は大技で状況の打破を狙ったらしい。
土石流を生み出し、俺を飲み込もうとしてきたが、俺はただの魔法障壁で土石流を止めてしまう。
魔法障壁は魔法による攻撃……火球とか、かまいたちみたいな質量が軽い攻撃には無類の強さを誇るが、質量攻撃に対しては弱いと言う弱点があった。
しかし、土石流クラスの質量攻撃を魔法障壁で簡単に止めるというのは、障壁に膨大な魔力を注ぎ込んだということになる。
「終いにしようか」
俺は無属性魔法であるアクティーナを発射。
土石流が一瞬で吹き飛ぶと、パーパ宮廷魔導師目掛けて進んでいく。
パーパ宮廷魔導師は慌てて魔法障壁を作るが、それを貫通して、地面に着弾する。
「は、はは……」
魔力量があまりに差があることを理解したらしいパーパ宮廷魔導師は腰を抜かして杖を落とした。
「戦意喪失……それまで!」
審判の判断で模擬戦は終わり、俺はその場から離れるのであった。
「実に素晴らしい模擬戦だったよケッセルリンク子爵」
俺が宮殿に戻り、模擬戦の勝利をバイパー様とご隠居様の2人に報告しようとすると、金髪をオールバックにした碧眼で軍服を着たエルフの男性が俺に声を掛けてきた。
「ヨシフ・フォン・ガーランド様でしょうか?」
「いかにも、私がヨシフだ」
一応政敵に当たる人物だが、俺に声を掛けるという事は何かあるのであろう。
「まぁ警戒するのも無理は無いが、模擬戦実に素晴らしかったから声を掛けただけだ。パーパ宮廷魔導師は素行が少々問題があってね。今回のでお灸を据える事になっただろう」
「それに、君程の実力があればお抱えではなく宮廷魔導師にもなれると思うが、どうかな? 僕が皇帝になったら宮廷魔導師として僕を支えてくれないかな?」
「……そこは帝国じゃないんですね?」
「……」
ヨシフ様はニコリと微笑んだまま俺の返答を待つ。
俺の答えは決まっている。
「お断りします。私を今の地位まで引き上げてくださったフォーグライン辺境伯家に多大な恩がある。それを無下にしたくありません」
「そうか……残念だ」
ヨシフ様はそう言って離れていくのだった。
その日の夜、俺は眠っていると、部屋に何者かが侵入してくるのを察知し、飛び起きて侵入者を押さえつけると、黒いローブを着た女性であった。
「は、離してください! 私はフォーグライン辺境伯様から充てがわれた娼婦でして」
「辺境伯様から私に娼婦が充てがわれるわけがないだろう!」
空間魔法で服の中を見ると、暗器と思われるナイフが仕舞われており、どう見ても暗殺者であるとわかる。
「メアリーが居ないからこの状態では情報を抜き取ることもままならんな」
「な、何を……ぐぇ」
俺は暗殺者と思われる女性の首をへし折って、空間魔法で遺体を回収した。
『マンシュタイン生きているか!』
俺は念話でマンシュタインに声を掛けると、マンシュタインから返答があり、彼の部屋にも侵入者が居たため、迎撃に手間取り俺への声掛けが遅れたと弁明していた。
『失態ではあるが、夜間部屋に入るなと言っていたから仕方がない。次は念話で良いから伝えろ』
『気をつけますが、組織だった暗殺者という事は辺境伯様も危ない可能性が!』
『!?』
俺は寝間着のまま宿を飛び出すと、ヘス男爵の屋敷へと向かう。
「無事で居てくれ!」
ヘス男爵の屋敷に飛び込むと、男爵のメイドや召使い達が殺されており、探知魔法で生きている人物を探すと、バイパー様とご隠居様の部屋に反応があり、ドアを蹴破って侵入すると、暗殺者と思われる人達がメイドゴーレムによって惨殺されていた。
「バイパー様! ご隠居様! ご無事で!」
「うむ! 無事だ! しかしヘス男爵が!」
ヘス男爵は既に亡くなっており、蘇生も不可能であった。
「緊急事態宣言だ。夜間ではあるが宮殿に向かうぞ」
「宮殿ではなく即時領地へ退避を!」
「それはできんのだ! 帝都で貴族が暗殺されたのだぞ。何が起きたか証人が居なければ我々が悪者にされてしまうのだ」
ご隠居様に指示に従い、生き残りや蘇生可能な家臣達を治療し、マンシュタインと合流してから宮殿へと向かうのであった。
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