転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
皇帝の居る宮殿に向かった俺達は誰が黒幕であるか、全く見当がついていなかった。
「一番可能性が高そうなのは……政敵であるヨシフ様でしょうか」
「いや、彼が暗殺という手を用いてまでこちらを陥れる必要は無いだろうから違う。私の中ではナーリッツに叩きのめされたパーパ宮廷魔導師が怪しいと思われるが……」
と言い合っていたが、なんだか帝都の様子がおかしい。
「ナーリッツ、探知魔法が使えるか?」
「ええ……他の貴族も襲撃を受けているようです!」
「なに?」
俺の空間魔法で見た情報によると、他の貴族の屋敷も荒らされていたり、襲撃されているような様子であった。
「組織だった犯行か?」
「恐らくは」
ますます状況が混沌としてくる。
宮殿に到着した俺達は衛兵に事情を説明すると、中に通され、客間で待機する様に言われた。
「こりゃ混乱が収束するまで領地に帰れないと思った方がいいぞ」
「……領地まだ安定していないのに……」
「はは、ごめんなナーリッツ」
「いえ、バイパー様や先代様が悪いわけでは無いので……」
すると扉が勢いよく開き、見知った顔が入ってきた。
「リリスさん! ジェルさん!」
「な、ナーリッツならば無事じゃと言ったであろう」
「それはそうだけど……」
「2人も襲撃されたの? もしかして」
俺は恐る恐る聞くと、頷かれ
「恐らく帝都在住の貴族達に無差別で暗殺者が放たれておる。宮廷魔導師達は緊急招集され、宮殿の警備じゃな」
「いったい誰が……こんな事を」
「恐らくヘッケナー公爵もしくは継承権を持っているザンジバル様が怪しいと」
2人によると帝国東に領地を持つヘッケナー公爵とその息子のザンジバル様は、帝国でも有数の融和派や庶民派として知られている人物であり、共和国と繋がりがあるのではないかと噂されていた人物らしい。
その当人達は数日前に帝都から離れていて、直接的には事件を起こしていないのだが、この暗殺者達が共和国の特殊部隊の可能性があるとのこと。
「共和国は北部の諸侯と領地問題を度々起こし、ここ最近はヨシフ様率いる軍に負け続けていたからね。ここで博打を打ってくる可能性は十分にあるよ」
「何か証拠があれば良いのじゃが……」
俺はバイパー様を見て、彼も頷くと、異空間を開き、先ほど殺した暗殺者の亡骸を2人の前に差し出した。
「ナツ、お主空間魔法の使い手じゃったか」
「切り札なので隠していました……もうしわけない」
「よい、空間魔法ならば隠して当然じゃ。この亡骸は暗殺者か?」
「はい、使えるかわかりませんが」
「上出来じゃ。そこのメイドよ! 5位の根暗を呼んでこい」
「エドキンス様でしょうか」
「そうじゃ! 奴なら情報を引っこ抜ける」
ジェルが教えてくれたが、エドキンスというのは宮廷魔導師第5位の黒魔術師らしい。
ネクロマンサーとしての資質も持ち合わせており、貴族暗殺などで降霊術を使って犯人を探すのにこき使われているとのこと。
すると、灰色の髪をし、前髪で目を隠した青年が現れた。
「よ、呼ばれましたが……降霊術ですね」
「うむ、話が早くて助かる」
目の前で降霊術が行われ、エドキンス様曰く共和国の特殊部隊で間違いないし、なんなら数年前から帝都に侵入して機会を伺っていたとのこと。
「何故今日なのですか?」
「今日……いや、今回の襲撃は南部の重鎮である辺境伯と北部の公爵及び南部と東部以外の皇帝候補者が集まっている状態なので、攻撃するには絶好の機会だった……と彼女は語っています」
「他の大物貴族の皆様方は無事なのでしょうか」
「僕を呼んだかい?」
すると扉の前にヨシフ様が姿を現す。
「全く、中央の貴族は警戒心がなってない。まぁうちの派閥からも何名か殺られたが、私と父上、子爵以上の面々は無事だ」
「となると西部の方々が」
「ああ、多分これは狙い撃ちされているな……エドキンス、悪いが俺達も何名か亡骸を確保している。そいつらから組織の人員を洗い出してくれ」
「か、かしこまりましたヨシフ様」
狂乱の夜が明けて、翌日になると帝都の警備隊や軍も動員されて暗殺者達の洗い出しが行われ、なんなら闇ギルドと呼ばれる汚れ仕事を生業とするところにも協力を要請した結果、帝都で根を張っていた共和国の暗部及び後援していた者達、共和派という民衆は弾圧の末に一掃されることになった。
しかし、多くの人員は昨日の混乱のうちに帝都を脱出しており、協力者である東部の大貴族ヘッケナー公爵の領地に逃げたとのこと。
「しっかしまぁ大暴れしたなぁ……」
西部の帝位継承者が暗殺に成功していたし、貴族も中々の数が死んでいた為に、これに皇帝が大激怒。
直ぐに共和国に味方していると思われる東部のヘッケナー公爵の釈明の為に呼ばれたのだが、ヘッケナー公爵は自身にあらぬ疑いをかけるなと招集を拒否。
これにより親族ではあるが皇帝から各貴族達にヘッケナー公爵討伐を厳命し、南部から戦力を持ち込む事が出来ない為、俺が代替戦力として送られ、バイパー様や先代様は直ぐに領地に戻って、食料や後方支援物資を送る準備を行うのであった。
「大変じゃのぉナツは」
「嫁達を帝都に連れてこなくて正解でした……これでますます領地に帰ることができなくなりましたからね……」
「しっかし、本当にヘッケナー公爵が手引きしたんじゃろうか……帝国全体が敵討ちだと共和国に対して強硬姿勢に傾いて喜ぶの北部の連中じゃろうに」
「それが解せませんよね」
リリスさんとも話すが、本当に融和を目指していたヘッケナー公爵が暗殺者を送り込んでいたら、融和どころの話では無い。
例え貴族を一掃できたとしても、公爵単独では皇帝が本気を出した戦力には敵わないのだから……。
「まぁやれることはやりましょう。指揮権は知り合いですしリリスさんに委ねますから、こき使ってくださいな」
「まぁそこまでお主が暴れる必要は無いと思うぞ……ジェルもいる事だしな」