転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
やっぱりヨシフが今回の暗殺祭りを主導していたんじゃ無いかと思う今日この頃、皇帝の命令により、東部の大貴族であるヘッケナー公爵の討伐及び帝位継承権を持っていたザンジバルの帝位剥奪が正式に決定され、討伐軍が編成された。
「こういう時にメアリー連れてくれば良かったかもな。心読めるから関係者に聞けば一発だろうに」
まぁメアリーは子育てに忙しいので連れて行くわけにはいかないので、領内で安静にしてもらっているが……。
そんなこんなで、俺も討伐軍に組み込まれて、リリスの指揮下へと入らせてもらった。
本来なら宮廷魔導師見習いの配下達を指揮下にするところ、少々強引に宮廷魔導師筆頭の力で組み込んでもらったのである。
これでヨシフ様の配下とかになったら何されるか分かったものでは無いからな。
「とは言っても、今回の戦争も宮廷魔導師の派閥争いに関わってくるからのぉ」
俺、リリス、ジェルの3人及び、その配下の宮廷魔導師見習い達は前線から少し離れた後方の町の宿を貸し切ると、そこで呑気にお茶を飲みながらリリスが今回の戦争について話してくれた。
「まず今回の討伐軍の大将は帝国軍の重鎮リッター将軍が担うことになっておる。あやつはガチガチの北方派閥じゃて、それ故にヨシフとも繋がっておる」
「つまり今回の戦争の手柄を北方の諸侯に立てさせる可能性が高いと?」
「そうじゃな。宮廷魔導師からも3位のエジョフ他3名が戦争に率先して協力を表明してのぉ。西部は帝位継承者の再選定で混乱し、南部は力がほぼ無い。そんな中、ヘッケナー公爵の討伐に北方派閥が達成できれば、帝位は確実にヨシフが継ぐことになるじゃろうて」
「私ができることはありますか?」
「正直に言うと無いのぉ……ジェルは戦いたいか?」
「うーん、僕が出ても良いけど弱い物いじめになっちゃうし、今はナツの近くに居たいからパス」
「まぁ出番は無かろうて、後方でどっしりしておくのも努めじゃぞ」
「……出番がないならそれはそれで良いが……早く領地に帰りたい」
「ねぇねぇ、空間魔法の中に色々な食べ物とかも入っているんでしょ? 何か美味しい物無いの?」
「帝都で舌が肥えている2人に出せる物か……ミートパイでも食べるか?」
「良いねぇ! 何の肉使ってるの!」
「ワイバーンの肉のやつとドラゴンの肉のやつあるけどどっち食べたい?」
「じゃあドラゴン!」
「儂もドラゴンを食うてみたい。というかやっぱりナツはドラゴン倒せるのじゃな」
「まぁ未開拓地にドラゴンが多く生息しているから間引かないといけなくてね」
俺は異空間から熱々のドラゴンミートパイを切り分けてから器によそっていき、紅茶を淹れていく。
「あむ……んん! 肉の美味しさが牛や豚とは大違い! ワイバーンも美味しいけど、ドラゴンはそれよりも一段と肉って感じ」
「感想が雑じゃなジェルは……どれ? ……んん……ガツンと腹にくるのぉ。生物的強者じゃからか? 美味いは美味いが、沢山食べたら胃もたれ起こしそうじゃな」
「そう? これなら幾らでも食べられるけど!」
「身体的強者のジェルの胃袋であれば負けないじゃろうがな!」
2人ともギャーギャー言いながらも美味しそうに食べていく。
俺もミートパイを食べながらこの戦争がどうなっていくかについて聞いておく。
「皇帝が討伐を指示した時点でヘッケナー公爵とザンジバル元皇太子の命は無いのぉ。その一族も基本連座じゃな。ヘッケナー公爵に協力した貴族も連座、こちらに協力した貴族は領土安堵……というくらいであろう。あとは暗殺された貴族で後継者が居ない者は取り潰し、後継者が出てきても当主を暗殺されたという汚点から爵位を1段階下げる処分になるじゃろうな」
「その判断で喜びそうなのヨシフだけだよね? 多かった貴族年金減らせるし、子飼いの貴族を養子としてすぐに送り込める余力があるの北方派閥の人しか居ないし」
「前哨戦ってわけか」
俺はそう口にした。
「前哨戦……共和国に矛先が向くか、それとも中央の権威を高めるために内乱を誘発するか……どちらにせよ多くの血が流れそうじゃな」
「うへ……共和国に向いてくれよ……やだよ内乱になるの」
「じゃがあやつはやるぞ……ナツはどうするんじゃ? 内乱になったら」
「そりゃもう徹底抗戦しますよ。まぁ最終的に決めるのは上司のバイパー様になるでしょうが」
「ふむ……まぁ儂とジェルもヨシフの帝位が確定したら隠居する。そしたらナツの領地にでも行こうかのぉ」
「政治はもうこりごりだよ……私もナツの所行きたい」
「私達って出会ってまだ数週間ですよね? そんなに私を気に入ったんですか?」
「うむ! 儂より魔力量が圧倒的に多い男は見たことが無かったからな! それに出世欲も他の貴族に比べ薄いのも良い! それにナツの年齢的に儂の寿命と同じくらいだから一緒に居ても同じくらいの時期に死ねるのも良い!」
「僕は番になるんだったら、僕より強い人が良いから! ナツなんか好みの顔してるし、強いからどうかな?」
「私奥さんが何人もいるんですけど……」
「じゃあ儂らが押しかけても何も不都合は無いのぉ」
「そうそう! この戦争終わったら押しかけよう!」
なんか話が明後日の方向に飛躍していたが、落ち着かせると、伝令が入り、本格的に戦闘が前線で始まったらしいが、ヘッケナー公爵が抱えていた魔法使いでは宮廷魔導師達の攻撃に耐えられず、頼みの綱のドラゴンスレイヤーの冒険者達は既に共和国へと逃げ出してしまい、戦線は維持することもできず、瞬時に崩壊したとのこと。
「ね、これで僕が出てたら弱い物虐めになっていたでしょ」
「そのようじゃな……」
あとは広い領地を進んでいく移動時間の方がかかる。
帝都からヘッケナー公爵領の中心都市に移動するのに徒歩だと2週間は掛かるので、また防衛線を引き直して来るだろうが、時間稼ぎにしかならない。
「ヘッケナー公爵を東部の辺境伯が見限ったって情報も入っているし、詰みだね。これで共和国から援軍が入ることも無くなったのじゃ」
「共和国呼び込んだらそれは売国奴ですよ」
「そうじゃな。流石に国を売り渡すまでは行かなかったようじゃな」
数日後にはヘッケナー公爵とザンジバル元皇太子が捕らえられ、比較的短期間で戦争自体は終わった。
元々東部の貴族達も北部へと鞍替えが行われていたため、ヘッケナー公爵とその縁戚の貴族だけの抵抗になってしまい、兵力も不十分だったのと、中央と北方の帝国軍が想像より精強だったことがよく分かった。
「アキのゴーレム兵の増産を急いだ方が良いかもな」
俺はぼそっと呟くのだった。