転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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つららの転生体と思われる少女は結構バイオレンス

 家族の生活を数日間観察してみたが……大変そうである。

 

 朝食は予想していた通りライ麦を使った黒パン、それに薄い塩味のスープが並ぶだけである。

 

 しかも量が少ない。

 

 兄貴のレグレットことレグがこれじゃあ少ねえと駄々をこねるが、おかわりが用意されているわけでもないので父親のベルントから叱られて終わりである。

 

 それにレグに対して農作業を手伝えと言うが聞く耳を持たず家を飛び出してしまう。

 

 母親のカタリーナは呆れ、ベルントは怒りを露わにしている。

 

 流石にこの状態で遊びに行きたいとは言えずに、水汲みするよと母親に提案すると、頭を撫でられてナツは良い子ねと言われてしまった。

 

「あの馬鹿は長男だから家を継げると思っているが、正直ナツに継がせたいくらいだ……」

 

 父親もレグに呆れて、俺の方を跡継ぎにしたいと言う始末。

 

 冗談じゃない……俺は町に出て冒険者になりたいんだ! 

 

「ねぇお父さん……魔法が使えたら冒険者になるために町に出ても良い?」

 

 両親は顔を見合わせ

 

「ナツも冒険者に憧れる歳か……」

 

「でもねナツ、魔法を使えるって言っても水を少し出せるとか火を付けられるとかじゃなくて、狼や熊を倒せるくらいの魔法を使えないと冒険者としてやっていくことは難しいし、そんなのができるのは幼い頃から魔法の鍛錬をしていた人達か金持ちくらいよ」

 

 現実を諭す様に言うが、その程度のことであれば普通にできる。

 

「ただ……レグが長男だから次男のナツを養えるだけの食い扶持は家には無いからな……冒険者になってもらうしかないだろう。魔法が使える使えない関わらず」

 

 おりょ? 親父は俺を冒険者にしたいのか? 

 

 だったら好都合。

 

 両親の手伝いをして好感度を稼ぎつつ、円満に外の世界に送り出してもらおうじゃないか。

 

 俺は水を汲んでくると言って桶を持って共用の井戸に行くふりをして水で桶をいっぱいにして、身体強化で楽々水を運んでいく。

 

 そのまま水釜に桶の水を入れながら、水魔法で水を生み出し続けて、水釜をあっという間に満タンにする。

 

「これでヨシッと」

 

 両親は既に畑仕事をするために家に居らず、桶を置いたらメアリーに会いに行く。

 

 メアリーに会いに、メアリーの家を訪ねると、メアリーは既に出掛けているとメアリーの親御さんに言われてしまった。

 

 ここは念話で何処にいるか聞く。

 

『メアリー、今何処に居るんだ?』

 

『あ、ナツ。今シュネの所にアキと一緒に向かってるよ。シュネのことだからナツも呼ばれると思うからシュネの家に向かった方が良いよ』

 

 記憶を頼りにシュネの家に向かうと、茶色のワンピースを着た銀髪で白い尻尾が特徴的な少女が家の前に立っていた。

 

 そして俺を見るや否や

 

「ナツ……遅いじゃありませんこと!」

 

 プリプリと怒り出した。

 

 お嬢様口調で話す竜人の少女こそ、恐らくつららの転生体であるシュネー・フォン・ケッセルリンクである。

 

「まぁまぁシュネ様、ナツも急いで来た訳ですし」

 

「そうだよシュネ様」

 

「メアリーもアキもナツに優しすぎますわ! ナツは小作人の子供! 将来私みたいな地主に一生こき使われる身分ですの!」

 

 いや、シュネも別に地主の娘であって地主になれるわけじゃないだろ……と言うことを口に出すと癇癪起こされる記憶しか無いので黙っておく。

 

 一応没落した元貴族、シュネの両親には周りの大人もそれなりに敬意を持って接しているが、それを見たシュネは増長して偉ぶっているって感じか。

 

 それで同じ年の連中を取り巻きにしていつも遊んでいると……他の男子はレグ達の年上グループに混ざって遊んでいて、ナーリッツ君も最初はそっちにいたけれど、レグの兄貴がナーリッツ君の扱いが酷かったので少女グループのこっちに混ぜてもらっている……という感じか。

 

 それでもシュネのグループもナーリッツ君の扱いはあんまり良くない……客観的に見たら凄く可哀想である。

 

「ナツ! 今日は私魔法の練習をしたいと思いますの! 貴族たるもの魔法が使えないと笑いものでしてよ。なので動く的になってくださいまし」

 

 こんなんばっかりだなナーリッツ君……まぁ今は俺こと阿部夏樹の精神が混ざっているので多少の攻撃は効かないだろう。

 

「さぁ! 走り回りなさいナツ!」

 

 しゃーない、付き合ってやるか……。

 

 俺が走り始めるとシュネの口に光が集まり、頬を膨らませると火球を飛ばしてきた。

 

 おいおい、流石に当たったら痛いじゃすまねぇぞ! 

 

「シュネ様それはやり過ぎですよ!」

 

 アキがそれはやり過ぎであると止めに入るが、シュネは堂々としながら

 

「なに、ナツであればこれくらい大丈夫よ!」

 

 何が大丈夫なのか分からないが、軽く身体強化の魔法を自身にかけて火球を避けていく。

 

 スレスレを避けるようにしすると、やりますわねとか言って火球を更に増やしていく。

 

 これも全て避けると、シュネは大きく息を吸い込み、今度は氷の塊を高速で発射してくる。

 

 シュネが増長している理由がこの竜人なのに水や氷の魔法にも高い適性があることで、シュネの両親もシュネの事を天才と褒め称えているらしいし、シュネであれば功績を残して貴族として復権することができるのではないかと一族の希望扱いされていた。

 

 まぁ彼女も成り上がるとしたら冒険者になるしかないので、シュネも冒険者になることは確定しているが……。

 

 ただ口から発射するだけでは芸が無い。

 

 つららだったら神の間で模擬戦した時は炎も氷も両指からマシンガンの様に射出していたんだけどなぁ……。

 

 というか攻撃するにしても無駄が多い。

 

 子供が避けれる時点で攻撃魔法としては駄目だろ。

 

「ぜはぁ……ぜはぁ……あれ? 調子が悪いのかしら……ナツに全く当たらないわ?」

 

 彼女にとって渾身の技を全て避けられて疲労困憊の中、俺が涼しい顔をして戻ってくると

 

「み、見てなさい! 次は必ず当てますからね!」

 

 そう宣言をしてシュネは家に帰ってしまった。

 

 残された俺達3人は唖然としながらもそのままアキの家にお邪魔して編み物をしたり、アキの家族の手伝いをして黒パンを少しいただいたりして過ごすのであった。

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