転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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首謀者の討伐

「お前らアキーニャ以外は飛行魔法使えるのか」

 

 成り行きでアンデッドドラゴンを倒した俺達はアンデッドドラゴンの魔石と幾つかのアンデッドドラゴンの骨を異空間に入り込み、辺境伯のお抱え魔法使いであるデーニッツ・クロスさんと行動を共にすることになった。

 

「クロスさん」

 

「デーニッツで良い」

 

「じゃあお言葉に甘えて……デーニッツさん。アンデッドドラゴンって強いんですか? 正直手応えなかったんですが……」

 

「……おいおい、お前らの価値基準どうなってるんだ。死んでいるとはいえドラゴンだぞドラゴン。魔物の中でも最上位にいる魔物を手応えが無いとか……末恐ろしいな……おい」

 

 それにとデーニッツさんは付け加えて

 

「ナーリッツだったか、お前空間魔法が使えるんだな」

 

「ええまぁ……使えますが……領主様の小間使行きですかね」

 

「馬鹿、アンデッドドラゴンを倒せる魔法使いを拘束させるわけないだろ。でもお館様に報告はするからな」

 

 お館様……つまり領主である辺境伯様だよな……。

 

 今の俺達が会っても上手く言いくるめられて終わりそう。

 

 話は飛行魔法に戻って、魔力の消費大丈夫かと聞かれる。

 

 俺達は問題ありませんと答える。

 

 そうこうしているとアンデッド達の軍勢が辺境伯軍や冒険者達と戦っている場所に到着する。

 

「アキ、アンデッド達だけで良いから土で囲める?」

 

「了解」

 

「シュネ、メアリーは俺と一緒に火力を集中で」

 

「「了解」」

 

 アキは空中で魔法を発動させると、空中に魔法陣が現れ、次の瞬間、土が一気に盛り上がった。

 

 アンデッドの軍勢の約9割を囲むと、シュネが巨大な火球を作り出して、土で囲ったアンデッドの集団に火球をぶつける。

 

 そして俺とメアリーが風魔法で風を送って炎の勢いを強める。

 

 一瞬で巨大な火災旋風が巻き起こり、土で囲われたアンデッド達は焼けて消滅していく。

 

 約10分ほど火柱が上がり続けると、土壁が崩れ、大量の灰がそこに集まっていた。

 

「お前らすげぇな」

 

 デーニッツさんが俺達に感心しているが、まだ1割のアンデッドは残っている。

 

「加勢した方がいいですかね?」

 

「いや、もう十分だ」

 

「では……なんか怪しい動きをしている奴が居るのでそこに行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ! クソ! クソ! 完璧な計画だったのに」

 

 事の始まりは天才ネクロマンサーである俺を周囲が認めなかった事に起因する。

 

 ネクロマンサーは信用が第一だと言うが、そんなことで天才である俺ではなく、家柄だけが取り柄の奴が優遇されて、俺は閑職に回される。

 

 そんなのを黙っているつもりはなかった。

 

 だったら実績で黙らせればいい。

 

 俺はあの手この手で変死体を手に入れ、降霊術を行ったり、教会が囲っている屋敷に立ち入って浄化したりして実力を認めさせようとした。

 

 しかし俺は死体をいたずらに苦しめ、教会が立ち入り禁止にしている場所に何度も立ち入ったとして危険人物扱いされ、町で暮らすことを禁止する追放刑に処された。

 

 納得がいかない。

 

 俺は森で実験を繰り返し、闇夜に紛れて人の死骸を回収。

 

 そして魔物の領域で大規模な実験を行った。

 

「フハハハ! まさかドラゴンの亡骸が眠っていたとは!」

 

 古くに朽ちたドラゴンすらも呼び起こし、そして魔物達を巻き込んでどんどんアンデッドへと姿を変えていく。

 

 そしてこの天才である俺を蔑ろにした町の奴らに復讐をしてやるんだ! 

 

 ゆけ! アンデッドドラゴン! 町を蹂躙しろと命令し、飛んでいくアンデッドドラゴンを見届け、俺に対処しようとやってきた辺境伯軍や冒険者の連中を俺のアンデッド軍団で蹴散らしてやろうとした時、突如アンデッド達が土壁で覆われ、そして大規模な火災旋風が巻き起こった。

 

 自慢のアンデッド軍団が一瞬で灰となったのを見た俺は呆気に取られていると、俺の前にふわりと魔法使い達が降りてきた。

 

 ガキが4人と……辺境伯の筆頭魔法使いであるデーニッツの奴か! 

 

「貴様か! デーニッツ! 俺を邪魔するのは!」

 

「誰だてめぇは」

 

 デーニッツの奴、天才である俺のことを知らねぇだと? 

 

「俺は天才ネクロマンサーのヘッツァー様だ! 知らねぇとは言わせねぇぞ」

 

「……危険人物のヘッツァーかよ……この騒動もお前がやったな」

 

「それがどうした。俺の才能を理解できないのが悪いのだ」

 

 俺はそう言うと、地中に隠していた巨大モグラのアンデッドをデーニッツの前に出現させて攻撃を行おうとする。

 

 すると俺の腹部に巨大な石柱が突き刺さっていた。

 

「かなぁ!?」

 

「デーニッツさん、首謀者は首だけあれば十分ですよね。犯行についても降霊術で探ればいいでしょうし」

 

「容赦ねぇな……アキーニャだったか」

 

 俺はまだ意識があるうちにモグラに指示を出そうとするが、地中から火柱が上がる。

 

 モグラのアンデッドは灰となり消えてしまった。

 

「シュネナイス」

 

「まあこれぐらいはしないとね」

 

 俺は最後の足掻きも失敗に終わり、失意の中、体が冷たくなる感覚に襲われるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ヘッツァーの奴、もっと要領よく振る舞えば辺境伯付きのネクロマンサーになれたものを……」

 

「デーニッツさんは知ってたんですか? 彼を」

 

「まーな、本人が言うように天才ネクロマンサーではあったが、天才過ぎて周りが全く付いてこなかった。激昂する癖があるのは知っていたから、知らない振りして見たら案の定な」

 

 アンデッドドラゴンすら動かしていたのだから相当なネクロマンサーであったのだろう。

 

「指導者を失ったアンデッドは脆い。もう辺境伯軍に被害が出ることもねぇだろう」

 

「そうですね」

 

 俺が探知の魔法で冒険者達や辺境伯軍が戦っていたアンデッド達の統率が取れなくなって戦線が崩壊しているのが見て取れた。

 

 それにアンデッドの大半は俺達が消し炭にしたので、残っているのも数十体居るか居ないかくらいである。

 

「さてと、ナーリッツ、アキーニャ、シュネー、そしてメアリー。町を救ってくれてありがとう。辺境伯の代わりに感謝する」

 

 いきなりデーニッツさんが俺達に頭を下げた。

 

「いえ、自分たちができることをやったまでで……」

 

「それが出来るやつがどれほどいたか……とにかく辺境伯からお褒めの言葉をいただけると思うから覚悟しておけよ」

 

「うへ~」

 

 デーニッツさんは、首謀者のヘッツァーの首を魔法で切断すると。

 

 胴体は火で燃やしてしまった。

 

「さてとじゃあ行くか」

 

「行くって?」

 

「辺境伯様の屋敷にだよ」

 

 急転直下で物事が動いていくと驚愕というより唖然としてしまうのだと俺達は思うのだった。

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