クリスは王都に来ていた。
現在も冒険者スーとして活動している。
王都にきて1か月経つ。
スーは王都でアダマンタイト級冒険者青の薔薇との接触に成功した。
青の薔薇は王都で有名なパーティーである。
スーはもともと何か役に立つかもしれないと親睦を図っていた。
そのため接触はすんなりと成功。
それ以降、冒険者の依頼をなんどか一緒にこなしている。
~これでラナーに接触できれば良いが~
スーは溜息を吐き、皇帝ジルクニフのことを思い返した。
~お兄様にはモモンの件は王都の到着後すぐに伝えたが・・帝国のほうは大丈夫だろう
か。一応この一件が終わったら法国に行くことになってるが・・これ以上時間がかかる
なら一度帝国に帰ったほうが良いな~
スーはふと装備品を確認した。
鞄に転移の巻物を持っていることを確認し、指輪を見つめた。
一つ目の指輪は認識阻害の指輪。ユグドラシル時代にモモンガから貰った。
これはクリスが目覚めてからつけており、もともとユグドラシルで使用していたものだ。
この指輪のおかげで現地人に自分の実力を隠し、探知系の魔法を無効化することができている。
~ジルクニフ、お兄様に実力見せるために指輪をはずしたときは凄い反応だったな~
スーは思い出してつい笑った。
二つ目の指輪は流れ星の指輪。姉から貰ったものだ。
これは星に願いをという超位魔法を3回使用でき、通常必要な経験値消費なし選択肢としてランダムに浮かぶ願い事を叶えられる。
スーは立ち、そのまま宿から酒場に向かった。
スーは見慣れた顔を見かけ声をかけた。
「よう」
青の薔薇のガガーランがこちらを向き笑って言った。
「なんだ、白銀の戦乙女さまか」
スーは顔をしかめ言った。
「なんだそれは」
ガガーランはその顔を見て笑いながらクリスに教えてあげた。
「今王都で有名になってるんだよ。綺麗な白銀の髪にアダマンタイトと一緒に依頼をこなせるくらいの実力の冒険者がいるって」
スーはそれを聞き、思った。
~そりゃ目立つよな。この一件が終わったら一度身を隠すしかないか~
そして嫌そうな声音で言った。
「そうか」
青の薔薇イビルアイはそれを眺めながらクリスに声をかけた。
「それで要件はなんだ」
ガガーランが笑顔で言った。
「もしかしてあの件考えてくれたのか!ラキュースが喜ぶな!」
クリスは青の薔薇と任務をこなしているうちに実力を認められ、青の薔薇に勧誘されていた。事情があって現在一人パーティーでいたいということ。しかし代わりに王の薔薇なら任務同行ならいつでも請け負うと今のところ伝えていた。
スーは顔をしかめた。
「いや、違う。ギルドで噂になっていた最近アダマンタイト級になった者について聞きたくてな」
ガガーランが上機嫌で答える。
「ああ、漆黒の英雄さまのことか。話に聞くと実力も相当あるみたいだぞ。童貞だったら一戦交えたいくらいだぜ」
スーは一瞬何を言っているかわからなかったが、内心慌てながら答えた。
「いや、あんなに強い戦士だ。女の一つや二つはいるだろう。そうではなくてな、どういうパーティーなのか知っているか」
ガガーランはそれを見てなにか勘付いたのかニヤニヤしながら言った。
「なんだ、やけに庇うな。おまえ惚れてるのか?」
スーは嫌そうに言った。
「そんなわけないだろう。そもそも知らないやつに惚れるやつがあるか」
ガガーランは爆笑しクリスの肩を叩きながら言った。
「冗談だよ!まあ、漆黒の英雄については噂程度でしか知らないがモモンっていう戦士とナーベという魔法使いで構成されてるらしい。そちらも相当な凄腕らしいぞ」
スーは言った。
「そうか」
今度はイビルアイがスーに声をかけていた。
「スー」
イビルアイはやや嫌そうに呟くと話を始めた。
「本当はわたしは反対だが・・仕方がないか」
「おまえにラキュースから伝言がある。私たちが関わっている依頼に協力してほしいとのことだ。もし引き受けてくれるのなら、依頼主のもとに一緒についてきてほしいとも言っていた」
スーは言った。
「その依頼とはなんなんだ?」
イビルアイは言った。
「ここでは話せない。のちほどラキュースから直接説明すると言っていた」
スーは伝えた。
「わかった」
その後、ラキュースから聞いたはなしだと王国の麻薬組織六本指の殲滅に協力してほしいというはなしであった。そして依頼主とは王国のラナー王女だと。
スーは二つ返事で了承した。一か月待ったかいがあるというものだ。
スーはご機嫌で宿に帰ってきた。
しかし部屋に近づくとなにかの気配がした。
スーは一瞬エランテルで撒いてきた隠密かと思った。
警戒して急いで部屋から離れようとすると、向こうから扉が開いた。
「こんにちは」
黒髪と赤い目の整った顔の男笑顔で扉を開けた。
~こいつ・・なかなか強いな~
スーは警戒し殺気を飛ばしながらその男を見つめる。
「わたしは、法国から伝言を任せられたものです」
スーは目を細めて言った
「法国から?なんの用で来た」
男は笑顔で「それについては室内で話しましょう」とスーを通すように手を中へ向けた。
~兄様から今後法国とは同盟を組むと聞いている。無下にはできないか。もし法国とは違う者なら殺せば良い~
スーは警戒しながらも男の言葉に従った。
「それでなんのようだ」
スーは相手を睨みつけて言った。
男は苦笑しながらスーに伝えた。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。法国は帝国と同盟を結びたいと考えています。あなたに危害を加える気はありません」
スーはそれを見てしぶしぶ警戒をといた。
男はそれを見て言った。
「白銀の戦乙女殿。やはりあなたが帝国の切り札なのですね」
スーはその言葉を聞いてまた警戒したが、男の真剣な目を見て話を聞くことにした。
「帝国の皇帝陛下から法国と同盟を結ぶ条件として切り札を紹介するという約束を結びました。
しかし、1か月経ち、皇帝陛下に切り札についてどうしたのかと聞いても王国に今派遣をしてると言ってなかなか紹介いただけていません。
そこで法国の上層から直接その方に早く来ていただけるように伝えるようにとのはなしで参りました」
スーはその言葉を聞いて思った。
~なるほど・・すこし時間を使いすぎたか・・~
スーはその男に言った。
「分かった。今案件を抱えていてな、もうすぐ終わりそうなんだ。そしたらすぐに向かおう」
「ところでなんでわたしがその切り札だと分かったんだ。皇帝陛下が伝えたのか」
男は笑って言った。
「いえ、皇帝陛下はあなたが王国に派遣されているとしかおっしゃられませんでした。あとは最近王国の腕利きの冒険者を探してこのように探りを入れた感じですね。」
スーはあきれたように言った。
「わたしが該当者でなかったらどうするつもりだったんだ」
男は言った。
「そのときはその者は消息不明になっているでしょうね。まあ幸いあなたに始めに声をかけたので問題はありませんよ。」
スーは溜息をはきながら言った。
「わかった。・・法国にはさきほどのように伝えてくれ。ではな」
男は丁寧に礼をしたあとに消えた。
~疲れた・・・~
スーは多大な疲労感に見舞われたが、ジルクニフになんとか手紙を出しベッドに潜り込んだのだった。
法国はジルクニフと手紙を交わしたあとに、事件に会います。
調査のため出ていた法国連中とシャルティア(吸血鬼)が会い、たまたま持っていたワールドアイテムでシャルティアを精神操作してしまい、シャルティアに装備者が殺されてしまったため操作できず、シャルティアを動けないまま置き去りにする事件です。
結局アインズ様がシャルティアを取り戻して解決したのですが
法国の上層部はこの一件で脅威を感じさらに強力な人手を求めます。そして帝国の切り札を早く見定めたいと感じます。そこで漆黒聖典の第一席次を見定めと顔見せのため送り込みます。