それから無事に薬草を獲得したうさぎはモモンガに許可を取り薬品の研究をしているところだ
それをモモンガが少し疲れたようにじっと見ていた
ひと段落着いたところでうさぎは作業をやめ溜息をついた
「うさぎさん、終わったんですか?」
うさぎはそれを横目に見ながら答えた
「ああ、これで終わりだ」
そしてふと笑顔で言った
「懐かしいな」
それをモモンガが不思議そうに聞く
「どうしたんですか?」
兎は懐かしそうに思い出しながら話し始めた
「いや、昔もこうして現実で薬の研究してたと思ってな」
「ユグドラシルのとき現実でもわたしは薬の研究者だったんだ」
「その時薬を貧しいものにも渡せないことでわたしは相当心をやられていてな」
モモンはそれを聞いて優しく笑ってうさぎの手を撫でた
「うさぎさんは優しいですからね」
うさぎはその行為にジト目を向けたがそのまま話し出した
「それでな、ある日研究所の外に出たときにけが人を拾ったんだ」
「その男を確認しようとするとふらふらしながら仕事に戻ろうとするから、私は自分の当直用ベッドに無理やり眠らせた」
「回復したみたいだから帰らせたんだが」
「その出来事でわたしの心は少しだけ回復したんだ」
「そいつには今も感謝している」
モモンガから小さい声で言われた
「その・・その人の名前は知ってるんですか?」
うさぎは不思議そうに言った
「ああ、貰ったメモに書いてあった
確か
鈴木 悟
ってやつだったな」
うさぎはモモンガに急に強い力で抱きしめられた
「うわっ」
「なにするんだよ!」
するとモモンガに小さな声で言われた
「おれなんです」
うさぎは思わず声に出る
「は?」
モモンガはもう一度震える声で言った
「鈴木悟は俺なんです」
うさぎは思わぬ再開にしばらく動けなかった
「おまえが鈴木悟?」
モモンガがうさぎの髪にうずめた顔を動かすのを感じた
兎は混乱した頭で何か話そうとした
元気にしてたか?とおまえ早く言えよとか
色々考えた末うさぎは口にした
「そうか・・そのありがとな」
「お前には随分と支えられたから」
「支えてくれてありがとう」
うさぎは照れ臭くなり下を向いた
その出来事があってから少しだけモモンガに気を許すことが多くなった
ベッドでモモンガに抱きしめられる
その声は優しく、うさぎを傷つけることはない
「好きだ」
うさぎはその言葉に鼻を鳴らしながら
ほんのり頬が熱いのを感じるのだった
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モモンガside
うさぎに薬草を強請られ宝物殿をなんとか凌いだモモンガはやつれながらも
なんとかうさぎさんに薬草を渡せた
その心は達成感に満たされていた
彼女をじっと見る
美しい金髪の髪が揺れる
繊細な指が丁寧に薬品を扱う
その表情は目が輝いて笑みが零れていた
可愛い
モモンガはニヤニヤしながらうさぎを眺めていた
ふと彼女が溜息を吐きこちらを向く
彼女を後ろから抱きしめる
そして彼女がふと零した昔話に
モモンガは目を見開いた
彼女が前世からの運命の相手であり、
この異世界で再会するべくして再会したのだと確信し
モモンガは、高揚感に包まれる
心臓の鼓動が速くなり
喜びと鎮静で感情がジェットコースターのように上がり下がりする
この世界で、まさか再び巡り合えるとは・・・!
アインズの脳裏には、ユグドラシルや現実世界でのうさぎとのやり取り
共有した時間、そして特別な感情が蘇る
ユグドラシルで自分を無愛想に助けてくれたうさぎ
ずっと自分がつらい時相談に乗ってくれたうさぎ
前世で強引ながらも自分を介抱し心配そうに見つめるうさぎ
自分が回復して安心して笑いかけるうさぎ
それは、アインズ・ウール・ゴウンという存在になってからでは決して感じることの
できなかった人間としての温かい記憶だった
この再会は偶然などではない
アインズ・ウール・ゴウンが異世界に転移したこと
そしてうさぎがこの場所にいること
その全てが必然だったのだとアインズは確信した
この事実に、彼は感情の高ぶりを抑えきれずにいた
好きだ
彼女に回した腕に力がこもる
好きだ
慌てたその表情も優し気なその瞳も
モモンガは咄嗟に彼女の髪に顔をうずめる
柔らかな彼女の感触に花のような香り
彼女の顔が見れず顔を髪にうずめたまま
モモンガは震えながらその運命を噛み締めていた