~・・・おかしい、目を開けたら自分の部屋に戻っているはずなのに~
うさぎはやたら豪華なベッドの上で目が覚めた。
~なんだ、どこだ、ここは~
混乱しながらうさぎは身を起こそうとした。
そこに部屋のノックとともにメイド服を着た女が入ってきた。
メイド服の女とうさぎの目があった瞬間に部屋に女の声が響き渡った。
「クリスティーヌ様!」
その声を聞いたメイド服、執事服を着た人間が次々と入ってくる。
皆一様に驚き、喜びの顔を浮かべる。
一人の執事が涙目でうさぎに声をかける。
「クリスティーヌ様、目を覚まされたのですね。」
その時、とても豪華な衣装を纏った男が入ってきた。
金髪の美しい髪に宝石のような赤い瞳。
その男は少し驚いたような表情を浮かべたあとにうさぎに声をかけた。
「クリス、目が覚めたのか」
うさぎは混乱しながらも言いづらそうに声を発した。
「あの・・・どなたですか?」
次の瞬間、部屋の空気が凍った。
「クリス・・私だ、お前の兄のジルクニフだ。」
うさぎは目を瞬かせた。
うさぎはバハルス帝国皇帝の妹クリスティーヌになっていたのだった。
ジルクニフに似た美しい金髪に赤い瞳、絶世の美女に生まれ変わっていた。
それからの日々は大変だった。
皇女が記憶喪失であるという事実はすぐに箝口令が敷かれ、体調回復後は今までの記憶を補うように再教育がなされた。
そしてなにが起こったのか身体は人間であるクリスだが、ステータス等は種族を除けばプレイヤーのときのまま引き継がれたようであった。
幸いなことにそのときの道具やレベル、スキルはそのまま使うことができた。
だが人間という種族のため身体は貧弱であるので強固な防御などが必要であった。
そしてうさぎはクリスとして日々を過ごしていくうちに気付いた。気づいてしまった。
ユグドラシル最終日に不死の薬を飲んだことを。
その影響で王宮内で毒を盛られて暗殺されかけたときも全く毒が効かなかったことで、不死の効力(超蘇生効果)はクリスになってからも引き継がれていることに気付いた。
皇女が死なないという異常事態に対応してくれたのが兄であり、ここまで生きてこれたのは皇帝のジルクニフのおかげである。
皇女が猛毒を盛られて生きているということを隠すように情報操作をし話が広まらないように様々な方法でクリスを守ってくれた。
兄がいなかったら今頃魔女裁判にでもかけられているか、皇族偽装の疑いで処刑されているかもしれなかった。とても感謝している。
では、何故ジルクニフはクリスにこのように親切にしてくれるかというとクリスには帝国にとってとても大きい価値があるからだ。
クリスは不死なうえステータスも引き継いでいるため、ここの世界ではとてつもなく強い。
また隠密行動も得意なため(うさぎの時代に気配をけしながら行動していた結果)ジルクニフからはスパイとして様々な場所で活躍し、他国の情報を集めるように言われていた。
その見返りとしてジルクニフは皇女クリスの立場を守るということで約束が交わされていた。
もちろん、皇女なのでかならず戻ってくる、無理はしないという条件付きであった。