数日後
美夜「はぁ、ここのところ稗田さんの家で幻想郷のことについて勉強してたから、まともに外を歩くのは久しぶりね」
海斗「・・お前らが何日もかかるのが悪いんだろうが。俺はあんなの一日あれば十分だ」
陽「へん!おめーの頭と俺らの頭を比較すんじゃねーよ」
伊佐也「まあまあ、そう卑屈にならないで下さいよ陽くん。・・でも、良いんですか、由姫さん。僕達と一緒にいて」
由姫「私は、貴方達に助けられましたから、少しでも恩返しがしたいんです。ご迷惑なら慧音さんのお家でお留守番していますが・・・」
すると、伊佐也が手を顔の前でブンブンと振ってそれを否定する。
伊佐也「いやいやいや!そういう意味で言ったんじゃありませんよ!僕達のやろうとしていることは危険なんで、ついて来ても大丈夫かなって思っただけで・・」
まあ、それは思うよね。私達より歳が下なんだし、怪我でもしたらどうしようってのはあるかもね。・・でも、この子はそういった覚悟はしてここに居るんじゃないのかなぁ。
と、伊佐也が動きを止めて私達が向かっていた方向とは反対の方へと向き直る。
海斗「どうした?何かおかしなことでもあったか?」
伊佐也「あ、いや、そういう訳じゃないんだけどね?・・・ただ、あそこに居る二人の子供から、死の匂いみたいのがしたんだ」
・・・死の匂い?そんな匂いあるのカナ?いや、でも伊佐也は伊邪那美の息子だから、感覚で判るんかね~。
海斗「・・・どの二人だ?」
伊佐也「そこの団子屋で草団子を食べてる二人組だよ。・・・でも、これが本当かは判らないんだけどね・・」
美夜「兎に角、その子達に話しかけてみましょ」
陽「そーだな。こんなとこでウジウジしててもしゃーねーだろ。・・・おい、おめーら、今日どっか行く予定でもあんのか?・・例えば、なんか危険な場所とかな」
その子供達に向かっていった陽は、行き成りドストレートなことを聞いた。
二人は少しの間ポカンとしていたけど、顔色がみるみるうちに変わっていき、「おっちゃん、金は置いてくぜ!」という言葉を残して走り去っていった。
海斗「あそこまでの反応。ほぼ黒と見て間違いないだろうな」
あんなあからさまな挙動不審はこっちに疑って下さいって言っているようなもんだろう。
伊佐也「これで、ハッキリしましたね。今日の夜に人里を見張っておきましょう」
その一言に伊佐也を除く全員が頷いた。
その晩
人里に二つしかない出入り口を二手に分かれて見張っていたときだった。
海斗、伊佐也、由姫のグループ
由姫「あの二人、来ませんね。もしかして、あっちの方から出たんでしょうか?」
海斗「いや、その可能性は低い。あっちも確かに出られるが、方向的に見てあちら側に人間に危害を加える妖怪が潜む場所は少ない。だから、必然的にこちら側が本命になるという訳だ」
さっきから、伊佐也くんの目線があっちこっちへ向いています。一体どうしたんでしょうか?
伊佐也「・・・・・もしかしたら、僕達に気づかれて出口を変更されたかもしれない」
海斗「・・ふむ、その可能性は考えていたが、まさか本当に使うとは」
むむん、私には、何を言っているのかさっぱりです。
海斗「伊佐也、先導しろ。お前があいつらの匂いを辿れ。出来るだけ早くな」
伊佐也「・・・判った、こっちから出られたと思う。一応、由姫さんは美夜さん達に連絡してきてくれない?」
由姫「はっ、はい!」
そう言うと、私は全力で走って美夜さん達を呼びに行った。あの二人の子供は伊佐也くんが助けてくれると信じながら。
陽、美夜グループ
美夜「・・・暇だねぇ」
陽「・・ああ、全くだぜ」
幾ら海斗の方が本命だからって、由姫ちゃんまで連れてかなくてもいいのに・・。
私達は入口の近くでさっきからず~~~~~っと待機していた。
陽「・・・ん?あっちから足音がするぜ。これは・・・・、おそらく走っている音だ」
私は疑問に思いながらも陽が顎で示した方向を見る。
美夜「あれって、由姫ちゃん?どうしたんだろう?」
目を凝らしていると、由姫ちゃんが凄い急いでいる様子で駆け寄ってきた。
由姫「・・・・はぁっ、・・はぁっ、み、美夜さんっ!あの子達が別の所からっ、はぁっ、出たかもしれないって・・」
その言葉を聞くが早いか、陽が全力ダッシュで海斗達が見張っていった方向へと走り出す。
私は、陽の身体能力と、海斗の頭の良さを信頼しているから、先ずは由姫ちゃんに付き添ってあげることにした。
伊佐也「・・・こっちです!」
僕は、真っ暗闇の森の中を駆け抜け、子供達を追っていた。
先程から、死の匂いが濃い方に向かっているが、それすらも本当に子供達の匂いなのか怪しい。でも、他に周囲から匂いもしないし、これが本物だと信じる。
伊佐也「だいぶ近くなったよ!おそらくもう少しだ!」
海斗「・・・あれだ。妖怪の気配を感じる。子供は逃げているようだが、追いつかれる」
海斗の指さした方向から、妖怪の唸り声が聞こえる。直ぐに海斗が僕を追い越して走り去る。
僕も妖怪に襲われかけている子供の元に行くと、襲っている妖怪が目に入る。
伊佐也(・・・・・こいつは、水虎か。でも、何で普段水場に居るこいつがこんな森の中に居るんだろうか・・?)
と、僕がそんなことを考えている間に、海斗は既に水虎へと殴りかかっていた。
それからは、あっという間だった。圧倒的な膂力で水虎を屠り、水虎は霧のように消えていった。
・・・・・・・なんか、心配して損した気がする。